第8話:アース王の逆鱗

「一体、何事だ?」


 行事に参加する為、準備を整え遅れてしまった王、王妃、第一王子が異様な雰囲気が漂う広間に目を向け、王が発言した。


「父上!私はアリスとの婚約をマデリーンとの婚約を決めました。私の妻となるマデリーンをしいたげた罪でアリスをとし魔の森へと為に引き立てました!」


 褒めてくれ・・・と言いたげに胸を張るヴァカス。


「「何だと?!」」「何ですって?!」


「そなた・・・今、何と申したのだ?」


「ですからアリスと婚約を破棄し・・・「馬鹿者っ!!」」


 怒りと言う名の魔力が込められた雷が落とされ、ヴァカスに掛けられて居た魅了の魔法が解けてしまっただけでなく、掛けられて居たの魔法が解けた。


「ち、父上ぇ?!何故、怒鳴られなければならぬのですか」


「そなたはアリスフィーヌ嬢との婚姻を破棄した、と申したが、王家からの打診を王子が反故ほごにし、別人との婚姻を宣言するとは阿呆なのか?」


「あ、阿呆?!」


「アリスフィーヌ嬢との婚姻は王家から申し込み、アイリス・セレンティア夫人の許諾を貰って成し得た事柄。それを・・・それをお前はぁ!!」


「アリスフィーヌ嬢を魔の森へと捨て置く・・・と言いましたか?わたくしは、お前こそ森へと捨て置きたく思いましたわ!」


 王妃の怒りは凄まじく、ヴァカスがガタガタと震える程に殺気を放って居る。


「で、ですが母上、私はマデリーンとするうちに真実の愛に気付いたのです!アリスはマデリーンを階段から突き落としたのですよ?!それを処罰して何が悪・・・「阿呆だな」は?」


 兄も呆れる程の能無しっぷり。


「階段から落とされた瞬間を見た者おるのか?」


「い、いえっ」


「苛めたと言うならば、アリスフィーヌ嬢が、その言葉を発する瞬間をのか?」


「・・・いい・・・えっ」


 その時、レンシル王子が何かに気付き


「マデリーン嬢に魔法封じのかせを・・・」


 と魔法師長の次男に指示を出した。


「はっ・・・はい!」


 即座に付けられた魔法封じの枷・・・それによって完全に支配下から解放された。


「何をなさるのです?!貴方はアタシを愛してるって言ったじゃない!」


「・・・俺では無く、ヴァカス様と結婚するのだろう?」


 確かにヴァカスはマデリーンと婚約すると宣言して居た。


「あ・・・(ヤバイ・・・逆断罪パターンだ。バッドエンド一直線かも?!)」


「ヴァカス、本当にマデリーン嬢と婚姻したいのかい?」


 レンシルからの問いに


「・・・判りません。アリスにも判って居ません・・・」


 と、情けなさ満載で下を向いた。


「・・・マデリーンと呼ばれる女性を牢屋へ・・・」


「ちょ、ちょっと待ってよっ!!アンタ、アタシを好きだと言ってくれたでしょ!?」


「ヴァカス様と結婚する女など興味は無い。俺の婚約者との仲も引き裂いておいて何様だ?」


「うっ・・・(マジ、ヤバイ!結婚出来ないまま断罪されたらアタシの計画も終わっちゃう!)」


「連れて行け」


 騎士団団長の次男によってマデリーンは退場し、宰相の次男は冷や汗タラタラ状態。


「そなたたち、どうやら魔法を掛けられて居たようだ」


「「「「えっ!?」」」」


 レンシルから衝撃の事実を聞かされた次男たちは、まんまと踊らされて居たと知る事となった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る