第35話:事後処理
盛大な残念劇を計画して居た王族たちだったが、自滅した形となり計画は
「当初の目的として盛大な残念劇を仕掛けるつもりで有ったがアース王が暴走し、王妃によって王への断罪は慣行。ヴァカス様は未だ謹慎中で元凶で有ったマデリーンだったか、そやつは絞首刑に処せられた。となると・・・」
「ヴァカス王子への残念劇以外、残って居ませんね」
「そうだが既に謹慎されておる王子に残念だと思わせる必要は有るだろうか」
「それは全ての事柄を知って居れば不要な事だと思いますが、アリスと私が婚約した事は知らされて無い可能性も有りますよ」
必然的に王が暴走した事や結婚を宣言したマデリーンが断罪された事は、伝わって居る可能性が有る。
しかし色々な事が「起こり過ぎた故」に「伝えられて居ない可能性」も有る。
「そうなるとヴァカス王子が知って居るか否かを探る必要が有るのだが、直接は無理だろう?」
「アリスに願い出て闇の精霊様か風の精霊様に探って頂くしか方法は無いかと」
こっそり調べるなら風か闇にお願いするしか無いのだが、アリスだけが契約して居る精霊に、婚約者とは言え願い出て良いものなのだろうか?と不安に思って居た。
【
突如として現れたのは闇の精霊。
漆黒の衣装に漆黒の髪色・・・美しい顔立ちで有りながら闇に溶け込める姿に、一同が唾を飲み込む。
「・・・宜しいのでしょうか。私は契約者では有りませんし加護を頂いて居る訳でも御座いません。闇の精霊王様に願い出れる立場では無いと思っております」
【我が姫を救ってくれた王子だ。感謝すれど恨みを抱く事は有り得ぬ。その王子が願っておるのだから希望を叶えてやるのも王の務めぞ】
「そうおっしゃって頂き光栄に存じます」
【ヴァカスが姫とウィル王子が婚約すると知って居るか否かだけを確認して来るとしよう】
そう言い残し、闇へと消えて行く絶対的な王。
精霊王や妖精に愛されて居るアリスを絶対に幸せにしなければ・・・と決意を新たにするウィル。
その頃、アース王城では馬鹿を「しでかしてしまった」王が、贖罪の意味を込めて全ての事柄の事後処理にあたって居た。
* * * *
(自分でしでかした事とは言え、何たる事をしたのだろうか)
ヴァカスが宣言してしまったアリスの国外追放処分を無効にする処理、ヴァカスを魅了の魔法と言う禁断の魔法で誘惑したマデリーンの処分、マシューから届いたエヴァンスとアイリスの離縁状の処理、アリスを養女にすると言う書状の受理・・・と多種多様な書類が山積みとなって居るのだ。
「・・・そのように山となった理由は
辛辣な言葉で登場したのはレンシル。
呆けて事務処理すら手を出して居なかったギルヴィアに代わり、公的な書状で急ぐ物だけはレンシルが代筆したのだ。
「・・・判っておるわ」
カリカリ・・・と羽ペンで記入する音だけが、事後処理を雄弁に語って居る状態となるのだ
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