まとめ6 二日目・5

 それから少し移動をして、君たちはココアが盗みを働いた店の前に来ていた。

 君は店先にいる店員に声をかける。


「はいはい、何のご用で――って、こいつ!!」

「っ!!」


 君たちを見た店員が即座に立ち上がり、2人に掴みかかろうと近付いたので君は彼を取り抑えた。


「い、痛っ!? 何するんだ!」


 店員に謝りつつ、君は2人に手を出さないことを約束させるまで放さないと言う。

 すると、店員はすぐに叫ぶように頷いた。


「わ、わかった! 手を出さない、手を出さないから放してくれ!!」


 その言葉を聞き、君は店員を放す。


「いたた……。それで、何しに来たんだよ?」


 謝らせに来たから、店主を呼んでほしい。

 君はそれを告げながら、少女たちを前に出させる。

 君の言葉に店員はきょとんとしつつも、店主を呼び始めた。

 すると少しして店主が店の奥から顔を出し、ココアに気づくと指を指した。


「あ、てめぇ! よくも店の商品を!!」

「ごめんなさいっ」

「ごめんなさい」


 怒鳴りながら近付き始めた店主と彼とともについてきた他の店員に向けて、ココアとミルクが頭を下げる。


「へ……は、はあ?!」


 突然のことで店主は戸惑いを見せ、店員たちも同じような反応をする。

 そんな彼らへと店番をしていた店員が耳打ちする。

 彼の言葉に店主は納得したが、顔を顰める。


「謝られても、商品が帰ってこないんだが……どうするんだ?」


 彼の言葉に君は頷き、金貨を5枚差し出し迷惑料と盗んだ物の代金だと告げる。

 基本、銅貨や銀貨が主流の中で金貨は珍しく店主はギョッとする。


「あ、ああ、わかった。これでチャラにしてやる」


 驚きながらも誰かに奪われたりしないように、店主は君から渡された金貨を懐に大事に入れる。

 それを見て店員たちも手当てか何か食べさせてくれるだろうと検討を付けて喜ぶ。

 だが、その中にも納得がいかないと言う者がいるようだ。


「何言ってるんだよ! 納得いくわけねーだろうが!!」

「お、おい、やめろよ……」

「いいや止めないね! お前らだって、こいつら捕まえたら良いように出来るって喜んでただろ!?」

「そ、そりゃそうだけど……けどよぉ」


 一人の店員の言葉に口篭る店員たち、その言葉を聞いて君は理解する。

 どうやらココアが逃げている最中に彼女の淫紋を見たのだと。

 だから捕まえて、性奴隷にしたら楽しめるそんな下種の考えが残っているのだ。

 美味しい木の実がなってるのに取らない馬鹿はいない。それを納得しながら君はこの子たちの主人は自分だと文句を言う店員に告げる。

 すると彼は憎々しげに君を睨み付けた。


「てめぇ……、よくも俺が狙ってた獲物を横取りしやがったな!! どうしてくれるんだ!! いや、てめぇこいつらの権利を寄越せ! 俺が可愛がってやるからよぉ……!」


 吠える店員はネットリとした視線を2人へと送り、それに気づいた2人は君の後ろに隠れる。

 それにますます興奮したようだ。


「いいねいいね、嫌がるのを屈服させるっての本当たまらんねぇ……。ってことで寄越せ!」


 断る、この子たちは道具じゃない。君は店員に告げていると、騒動が聞こえたのか周囲に人が集まり始める。

 それに不味いと思った店主が苛立つ店員を止めに入る。


「おい、いい加減にし――ふごっ!?」

「うるせぇ! いつもこき使いやがって! 俺たちも楽しむための奴隷が欲しいんだよ!!」


 店主を殴りつけ、店員は君を睨み付ける。


「てめぇもこうなりたくなかったら、さっさと権利を寄越しな。ひひっ」


 店主を殴りつけて気分が良くなったのか、店員が笑い声を上げる。

 それに対し君は首を振る。


「そうかそうか、わかった。なら力づくではいって言わせてやるよ!!」


 君の変わらない態度に沸点が上がったのか、店員が君へと殴りかかる。

 だが君は素早く店員の懐に入ると鳩尾を殴り付けた。


「ごっ!? お、おご……!」


 呻き声を上げ店員はばたん、と倒れる。良い当たりだったようだ。

 倒れた店員を、他の店員が確認するように様子を見ているがどうやら完全に気絶しているようだった。

 それを見ながら一同ホッとした直後、誰かが呼んだのか憲兵が駆け込んできた。


「何事だ!」

「そ、その……こいつがいきなり暴力を振るってきて、店主も……」

「こ、こいづはぐびだぁ!!」


 鼻血が流れる鼻を押さえながら、店主が怒鳴り声を上げる。

 店主の言葉を聞いて、追い付いてきた憲兵とともに気絶している元店員を抱えて立ち去っていく。

 そして辺りは静かになり、君たちは気まずい雰囲気の中で立つ。


「えと、だ……だいじょうぶか?」


 鼻血を流す店主に心配そうにココアが尋ねる。

 彼女の言葉に店主は苛立ちを見せる……が、彼女が悪いわけではないと理解してるようで、彼女へと……。


「ああ、だいじょうぶだ……」

「そっか。よかったー」


 血を見て心配してたのだろう、店主の言葉にココアは笑顔を見せる。

 その笑顔に店主の毒気は抜けたのか、彼女を見た。


「なあ、犬の嬢ちゃん。うちの食べもん美味かったか?」

「うまかった! な、ミルク」

「おいしかった。だから本当にごめんなさい」


 笑顔のココア、頭を下げるミルク。そんな彼女たちを見て、ポリポリと頭を掻きつつ……君を見た。


「おい、たまにで良いからさ……嬢ちゃんと買いに来てくれよ」


 君は店主に頷くと握手を交わす。

 そして気まずそうな表情をする店員たちを見ながら、決して手を出さないこととバカな真似はしないように言っておく。

 君の強さを見ていた店員たちは凄い勢いで首を振る。


「なーおっさん。腹へったー」


 ココアの催促を聞いて、君たちはその場を離れた。

 とりあえず、いちど家に帰って料理を作るとして……その間、彼女たちをどうしておくべきか。

 あとフィンの掃除はどうなっただろうか。

 そんなことを考えながら、君は彼女たちを見ながら考える。

 ああ、そういえば服もどうにかしないと。

 そう考えながら君は……。


   フィンに任せて、2人をお風呂に入れる。

   2人だけで、お風呂に入らせる。

   2人を座らせ、フィンの様子を見る。

  →今度こそ雑貨屋で、服を買う。


 そうだな。折角外に出ていることだし、先にやるだけやっておいたほうが良いか。

 君はそう思いながら、ココアとミルクの2人へともうひとつ寄り道をすることを告げる。

 すると、ココアはますます嫌そうな顔をした。


「うぇー……、早くなにか食わせろよー!」

「あるじに従う」


 その一方でミルクは君へと頷く。

 とりあえず君は周囲を見回し、肉串が売られている屋台を見つけたのでそれを2本購入して2人に渡す。


「に、肉っ!? た、たべてもいい……のか?」

「あるじ、ありがとう。いただきます」


 ごくり、と生唾を呑み込むココアと対照的にミルクは君から肉串を受け取る。


「あっ! ず、ずるいぞミルク! オ、オレも……はぐはぐ……わふぅ♥」


 ミルクが取ったことに文句を言いながら、ココアも君から肉串を奪い取ると即座に齧りついた。

 そして口の中に広がっている肉の旨味とタレの味わいが素晴らしいのか嬉しそうに表情を蕩けさせる。


「もぐもぐ、おいしい」


 ミルクのほうは黙々と肉を食べているが、美味しいからか尻尾が嬉しさを表現している。

 君は彼女たちが食べ終わるのを見守り、美味しそうに食べる表情を見守る。

 そして一足先にココアが肉串を食べ終えると君の視線に気づいたのか顔を赤くした。


「な、なに見てるんだよ! かってに見るんじゃねー!」


 そんなココアを優しい瞳で見ていると、ミルクも食べ終わったのかけぷと小さくゲップを上げ……君が見ると気づき難いレベルで照れているようだった。


「あるじ、あまり……見ないでほしい」


 その言葉に反省しながら君はミルクに謝る。

 けれど彼女も怒っていなかったようで、首を軽く動かし返事をする。


「問題ない、ごちそうさまでした。あるじ。ココアもいう」

「う……その、あ、ありが……わぅぅ! な、なんでもないっ!」


 ミルクに促され、ココアも礼を言おうとしたようだが、君に靡きたくないと思っているのか顔を真っ赤にしながら頭をブンブンさせてからプイと君から顔を背ける。

 そんな彼女の様子にミルクは眉を垂らすと、君に頭を下げた。


「あるじ、ごめんなさい」


 相棒の代わりにミルクが謝っていることに気づいている君は、ミルクの頭へと優しく手を置いてからゆっくりと撫でる。

 そして今は心を開いてくれなくても、これからがあることを告げた。

 君の言葉にミルクはコクリと頷く。


「ありがとう、あるじ。あたしはあるじがいい人って信じてるから」


 その言葉だけで十分と告げ、君は2人を連れて雑貨屋へと移動した。

 店の中へと入ると扉に付けられているベルが鳴り、来客を知らせる。

 ベルの音を聞き付けて、ネコが顔を出した。


「おや珍しい、一日に二度も来るなんて何かあったのか……って、また増えてるね? 君はなにかい、奴隷ハーレムでも今更つくるつもりなのかい?」


 現れた君にネコは驚いたのだがすぐに君の後ろにいるココアとミルクに気づき、苦笑した。

 一方で2人は遠くから店は見ていたが中に入るのは初めてだったのか、店の中にある物をキョロキョロと見回している。

 2人が店の商品を壊さないように気を付けるようにしながら、ネコに彼女たちの服と買い忘れていたフィンの靴と靴下を注文する。

 それを聞き、ネコはにんまり笑いながら頷く。


「なるほど、了解了解。この子たちに着せたい服だね? まあ、無難に尻尾があるし、獣人は動き易さを求めるからミニスカートとか短パンが良いね」


 ネコの言葉に君は納得しながら頷く。


「おーい、そこのワンニャンコンビー。試着してみたいからこっち来なー」


 そして2人に声をかけた。


「な、なんだよ? しちゃく? 何をだよ!?」

「あるじ、いい?」


 戸惑うココアと、君に確認を取るミルク。

 君は彼女に頷くとミルクはココアの手を掴む。


「行こう、ココア」

「え!? ミ、ミルクっ、はなせよオレは行かな――わふんっ!?」


 駄々をこねるココアを黙らせ、ミルクは奥へと行く。


「とりあえず君も更衣室に来て、彼女たちに似合うか見てみてよ」


 ネコの言葉に頷き、君も更衣室へと向かう。

 中に入るとすでに着替えが始まっているのか楽しそうなネコの声がカーテン越しに聞こえる。


「うーん、幼いからぷにぷにだねー。イイネイイネ、入れ替わりたいほど良いねー!」

「よくわからないけど、へんたいはつげんだって思う」

「あははっ、余は満足じゃー!」

「わ、わふっ!? こ、こんなの着るのか!? そ、それに、これは何か短くないか……?」

「大丈夫大丈夫、幼女は見られてなんぼだよー!」


 ……ネコの変態発言が聞こえる。珍しく大興奮しているようだ。

 君がそう思っているとしばらくして、カーテンが開かれココアとミルクが着替え終わった姿が晒された。


「とりあえず、初めはミニスカメイド服だよ。あのエルフの子は買わなかったけどこの子たちのこれはどうだい?!」


 興奮しながら、ネコは少女2人を君の前へと押し出していく。


「わ、わわわ、わふっ、わふぅっ!?」

「あるじ、見て」


 押し出されたココアは顔を真っ赤にしながら、壊れたように鳴き続ける。

 一方でミルクは自身の服装を君に見てもらいたいようで、両手を広げながら君に見せる。

 彼女の言葉に従い、君は2人をマジマジと見る。

 彼女たちの着ているメイド服はフィンが着ていた物と少し違っていた。

 彼女が着ていたのが活発やんちゃなイメージだとすると、2人が着ているメイド服は彼女たちの特徴的な魅力を引き出している物だった。

 つまりはおっぱいを強調している作りなのだ。

 少女なのに2人のおっぱいだけは成人済み。

 そうとしか言いようが無いそのおっぱいを強調し、ムチッとした肉付きの谷間が君の目に焼き付く。

 そして下半身はミニスカートに短めの靴下という生脚を曝け出しているものだ。やわらかそうで、ぷにぷにっとした少女の脚。

 それをマジマジと見つめていると、突然くるりとココアが後ろを向いた。


「い、いいかげん見るのやめろよっ! このへんたいおっさん!!」


 怒鳴り声を上げるココアは怒りを表すかのごとく尻尾を逆立てる。

 が、彼女は気づいていないようだ。いま着用しているメイド服はまだ獣人用に加工を施されていない物であるということに……。

 結果、彼女のスカートは捲れ上がった。

 君の視界に映ったのは、先ほどの汚れたパンツではない新品パンツだった。

 けれど、面積が普通よりも低い……なんというか、要所を隠すためだけの薄い布と呼ぶべき物だった。

 お陰で彼女の尻尾の付け根が見えて、小振りなお尻も丸見えだ。


「ローライズって言うんだよ」


 ジッと見ていた君にネコが笑みを浮かべつつ告げる。

 ローライズ、素晴らしい物だと感じつつ見ていると君の袖がクイと引かれた。


「あるじ、あたしのも見る?」


 そう言って、ミルクは君に見えるようにスカートを捲りあげた。

 すると彼女の白い下腹部とともに、ココアと色違いのローライズが晒される。

 黒、黒だ。白い彼女の肌を引き立てるように黒色のローライズが彼女の股間を覆っている。

 思わずガッツポーズを取りかけるが、君は抑える。


「どう? 似あう?」


 ミルクの問い掛けに君は頷き、頭を撫でる。

 すると彼女は嬉しそうに尻尾を揺らめかせる。


「いい反応だねー。それ買う?」


 君の反応を見ながらネコは楽しそうに尋ねてきた。

 正直これは欲しいと思う、だがこれはいけない。

 そう思いながら君はなんとか抑えて、別の物も見せてほしいと言う。


「OKOK、それじゃあワンニャンたちこっち来て、好きな物選んでみようかー」

「わ、わふっ!」

「わかった」


 ネコの言葉に頷き、2人は店舗のほうへと歩いていく。

 メイド服のままで良いのだろうかと思ったが、客も少ないし問題はないのだろう。

 そう思いながらしばらく椅子に座って待っていると、荷物を抱えたネコたち3人が戻ってきた。


「今度はこの子たちが選んだ物を着せてみるよ」


 彼女の言葉に君は頷き待つ。

 そしてカーテンからネコの声がかけられた。


「とりあえず、先にミルクちゃんからで良いかな?」


 君はその言葉に了承をすると、カーテンの向こうからミルクが姿を現した。

 そして彼女は自身で選んだ服を見せるように、自ら台の上に立った。


「どうかな、あるじ?」


 そう言って君に見えるように立ったミルクを君は見る。

 彼女が着ている服、それは東方の大陸で一般的に着られているキモノと呼ばれる物だった。

 黒色のキモノは膝辺りまでの長さで、彼女の白い肌に良く映えている。

 そのキモノの上には同じ丈の白色のエプロン、頭にはホワイトブリムに近い物があった。

 白と黒の合いまったその服装を見ているとネコが説明を入れる。


「これは東方大陸で女給の服なんだけど、こっちでは和メイドって呼んだほうが良いかな?」


 和メイド、その言葉に納得しているとミルクはくるりと回り始める。

 後ろを見ると、エプロンの紐が長いのかキモノの裾辺りまで伸びている。

 君が似合うよと言うと、彼女は嬉しそうに尻尾を揺らめかせ……君を見る。

 それが何を意味しているのか君は理解し、君はミルクを手招きする。

 君の手招きでミルクは君の元へと近付くと……すとんと君の膝の上に乗った。

 やわらかいぷにぷにとした感触と温かさが君の膝に伝わる。


「あるじ、なでて」


 その言葉に従い君がミルクの頭を撫でると彼女は嬉しそうに尻尾をもぞもぞ動かし、動く尻尾が君の脚に当たりこそばゆい。

 ミルクのほうは君の手のひらが心地良いのか、気持ち良さそうに目を細める。

 そして君は気づく……、彼女のキモノの隙間から覗く魅惑の隙間を。

 キモノというのはこんなふうに胸が大きな人が着るとこうなるのかと納得しつつミルクを見ていると、ネコが声をかけてきた。


「えーっと、ココアちゃんのお披露目しても……いいかな?」


 ネコの言葉に君が頷くと、ミルクも頷く。


「うん、いいよ。あるじ、ココアの服も見てあげてね?」


 ミルクの言葉に頷き待っていると、ココアが自信満々に飛び出してきた。

 結果、彼女の胸が大きく揺れるのだが彼女は気にしていない。

 そして台の上に立つと、君へと指を付きつける。


「どうだ! オレに変なことをしようとしても絶対にむ――って、何やってるんだーーっ!!」


 膝上のミルクを見て吼えた。

 吼える彼女を見ると君が抱いた印象は、少年執事だった。

 真っ白なブラウス、茶色のチョッキ、それと太ももを大きく曝け出している薄茶色の短パンという服装だ。

 何というか動き易さ重視にして、活発なココアに似合っていると思う。

 それを君は告げるとココアは顔を赤くした。


「な、何言ってるんだよてめー! これはおっさんがすけべな目で見ないようにするもんなんだよ!」


 彼女はそう言うが、似合うものは似合うのだ。


「う、うぅぅ、わぅぅぅ……!! く、くそーーっ!!」


 どう言えば良いのか分からないのか、ココアは地団駄を踏む。

 それを君たちは温かい目で見る。


「それで、君はどれを買っていってくれるんだい? なんなら両方買って行っても良いんだよ?」


 お披露目が終わったのを見届けたネコが君のそう告げる。

 それを聞きながら君は……。

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