まとめ40 出立・6

 彼女たちは全員、下着姿だった。

 確かこの下着は……ベビードールと呼ばれる下着だったはずだ。

 ルーナも度々これを着て君を誘惑していたのを覚えている。

 彼女の艶かしい肌を包み込む、下着姿は窓から覗く月の光を浴びて本当に……綺麗だった。

 そのことを君は思い出していると、視線を感じた。

 視線の先を見ると、恥かしそうに頬を染める彼女たちが君を見ていた。


「おっさん、ボ、ボクたちだって恥かしいんだからさ……、その、感想ぐらい言ってほしいかも」


 サンズの言葉に君はハッとして、そう言ってきたサンズをまじまじと見る。

 彼女たちのベビードールは同じデザインだ。しかし色が違う。

 サンズは彼女の髪色と同じオレンジの色をしたベビードールで、それに包まれる肢体はとても健康的であり……何時もと違って恥かしそうにモジモジしている姿が堪らなかった。


「そ、その……、あ、あまり見ないでほしいな……!」


 見ないと感想は言えない。君が言うと、サンズはモジョモジョ言って黙る。

 それを見計らい、君は可愛いと口にした。


「~~~~ッ!!」


 すると彼女にしては珍しく、頬に手を当てながらその場にしゃがみ込んだ。

 恥かしがるサンズが本当に珍しい。

 そう思いつつ、隣でヒラヒラとした透けた裾を下に引っ張って下着を隠そうとするセインを見る。


「あ、その……お、小父さま」


 君に見られている事に気づいたセインも頬を染めつつ、君から視線を合わせないようにしつつも、チラチラと君を見つめてくる。

 そんな彼女の姿をまじまじ見つめると、純白のベビードールで背中の翼と合わせて、まさに天使の衣装とも言えるような清純さを君は感じた。

 けれど同時に君と彼女をこの世の楽園から堕天させるような幼い色気も感じてしまう。


「ど……どう、です? 似合ってるですかセイン」


 似合ってる、可愛らしい。こんな子が今から……げふげふん。

 少しおっさん臭いことを口にしそうになった君は変な咳をして、黙る。

 けれどセインに聞こえていたようで、恥かしさと喜びが混ざったニヤニヤとした笑みを浮かべていた。


「どうかな小父さん、あちきとクラフのみりょくてきな姿は?」

「褒めてくれてもいいさー♥」


 スミスの腕に抱きつきながらクラフは君を見ながら笑う。

 そんな彼女たちのベビードールは、クラフが黄色でスミスはグレーだった。

 細工に使う金の色と鍛冶に必要である鉱石の色を元にしているのだろうか?

 けれども2人の姿も良く似合っている。

 君がそう言うと、彼女たちは嬉しそうに歯を出して笑う。

 セイン、スミス、クラフの3人のぷにっとしたイカ腹に幼さを感じ、興奮してしまうのは……自分もこれから行う行為に期待しているからだろうか?

 それとも自分の中の新しい扉を開けてしまったからだろうか?

 そう思いつつ、君はマジックを見る。

 彼女のベビードールは紫色で、透けた裾から見えるお腹と紋様にいやらしさを感じてしまう。


「んっ……♥ お、小父殿……そんなに見られては……熱くなってしまうぞ?」


 悪いが、魅力的だから仕方ない。

 君がそう言うと、マジックはビクリと体を震わせる。


「ん……っふぅ……♥ お、小父殿ぉ……」


 言葉に快感を得ている。とでも言うように、彼女は内股を擦りながら屈みつつ……潤んだ瞳で君を見つめる。

 その姿に満足させたいと思いつつも、全員を見てからと放置をする。


「お、小父殿のいけずぅ……!」

「あるじ、どうかな?」

「ごしゅじん、似合ってるか?」


 マジックの声を聞きつつ、君はミルクとココアを見る。

 彼女たちのベビードールの上の裾がまるで体を隠すカーテンとでも言うように豊満な胸に押し上げられて前へと盛り上がっていた。

 ミルクのミルク色のベビードール、ココアのチョコレート色のベビードール。

 どちらも彼女たちらしい。

 そう思いつつ、最後にフィンを見ると……緑色のベビードールが彼女の体を包んでいた。

 森を愛するエルフだから緑なのだろうが、とても彼女に似合っていると君は感じた。

 ――似合っている。とても綺麗だ。

 そう彼女たちへと言うと、3人は他の子たちと同じように頬を染めつつ微笑んだ。

 そんな可愛らしい彼女たちと、君は今から行為を行う。

 そのことに喜びと同時に激しく興奮をしていることに君は気づいた。

 同時に彼女たちを満足させないとと思いながら、君はネコから貰った精力剤を飲み干した。

 すると体が熱くなっていくのを君は感じ、全身に体力が漲ってきた。

 そんな君へと彼女たちは、


「来てください、ご主人様」

「あるじ、好きにして」

「ごしゅじんのしたいようにしていいから、な」

「お、おっさんを満足できるかわかんないけど、よ……よろしく」

「セイン、頑張るのです」

「スミスと満足させるさー♥」

「クラフと満足させるね♪」

「ククッ、早く……来てくれ小父殿……♥」


 彼女たちの求める声に従うように君と彼女たちとの熱い夜は始まった。

 草木の香り、雌の香り、汗の香り、鉄の香り、甘い香り。

 そんな様々な香りが君の鼻をつき抜け、軽い啄ばむようなキスから始まり……唾液と唾液が混ざり合い互いを求めるキスへと変わって行く。

 甘い嬌声が室内に響き渡り……。

 8人それぞれ別の味が君の舌を貫き、柔らかい肌、しなやかな肌、筋肉質の肌、ぷにっとした肌、それらを指先が手が感じ、君の手の動きに音楽のように彼女たちの声が洩れていく。

 大中小の胸に君の手が沈み、揉みし抱く度に彼女たちが悶え、気持ち良さそうに声を漏らす。

 それから、君と彼女たちの行為の本番が始まり……彼女たちは君と対面したり、君の上に乗ったり、君に背後から覆い被されたりしながら、血を流し……ひとつになれたことに嬉しそうに笑った。

 それから君と彼女たちは一晩中愛し合い続けた。


 そして――


  →朝が来た。

  →朝が来た。


 チチチッ、と鳥の鳴き声が外から聞こえ、カーテンの開けられてる窓から明るい日差しが差し込み……君は目を覚まし、ゆっくりと体を起こそうとした。

 だが、起き上がることが出来ない。

 どうしてか? 理由は簡単だ。


「んっ……んんぅ……ごひゅじんさまぁ……♥」

「すぅ……あるじぃ……♪」

「むにゃ、ごしゅじんぅ……♥」


 君の腕を枕にしてフィン、ミルク、ココアの3人が眠っているからだ。

 さらに、君に抱きつくようにしてサンズ、セイン、スミス、クラフ、マジックの5人も気持ち良さそうに眠っている。

 結局君は、夜が開けるまで彼女たちの体を堪能した。

 そして、少しだけ眠ったのだ。

 精力剤の効果が強かったからか、君は途中で力尽きること無く彼女たちを思う存分満足させることが出来た。

 当然自分も満足していた。

 その証拠に今君たちが眠っているベッドから漂うにおいは物凄く強烈であり、シーツには彼女たちの初めての赤が染み込んでいる。

 君はそれを思い出し、興奮してしまう。

 それに気づいたのか、クン、とミルクとココアの鼻が動いたのが見えた。

 ……が、精に敏感なのは彼女たちよりももっと凄いのがいた。


「フフフッ、小父殿ぉ……? あれだけしたというのに、まだし足りないのかぁ?」


 薄く瞳を開けながら、若干寝惚け気味にマジックが尋ねてくる。

 ……彼女の言う通り、精力剤の効果がまだ残っているからか、それとも熟れ始めたばかりの青さが残る果実を味わったからか君はまだし足りないと感じていた。

 だが、それを言ったら彼女たちは昨晩の行為で疲れているだろうけど興奮した君を満足させようと頑張るに違いない。

 だから君は大丈夫と言う。


「そうかぁ……では、わがはいはまたねむるぞぉ……すやぁ……」


 やはり眠すぎたようで、マジックは再び目蓋を閉じると普通に眠りについた。

 そんな彼女を見てから、君は軽く目を動かして腕で眠るフィンたちやサンズを見て……まだ時間は掛かるだろうと考え、再び眠りにつくことにした。

 ……それから暫く眠り続けていると、トントンという音が遠くから聞こえ始めたのに気づき、君は目を覚ます。

 いったい何の音だろうか? ぼんやりとした頭でそんな風に思っていると、その音が家の扉がノックされている音だということにようやく君は気づく。

 誰かが来たようだ。

 そう思いながら君は起き上がろうとするが彼女たちはまだ眠っているのか君の腕や体から離れようとはしていない。

 起こすのは可哀想だが、起こさないといけないそう思いつつ彼女たちのほうを見ると……目が合った。


『『『『あ……』』』』


 君を見ていることに気づかれた彼女たちから一斉に声が洩れる。

 どうやら君が一度起きてから暫くして彼女たちも起きたようだ。

 そして目を閉じる君を見て、改めて君のことが好きなんだと感じていた……と彼女たちは君に言う。

 その言葉に嬉しさと恥かしさを君は感じつつ、誰かが来たようだから退いてくれるようにお願いする。


「わ、わかりました」


 フィンの言葉を皮切りに、彼女たちは君の体から離れていく。

 そして露わとなった彼女たちの裸体、それと行為の痕。

 昨日の激しさを物語っているようで、君はそれをなんとも言えない気分を抱きながら見るが……すぐにハッとして、彼女たちに体を洗うように言いながら、君は服を急いで着ると下におりる。

 彼女たちも君に続いて裸のまま下へと下りると、そのまま8人でお風呂に入っていった。

 全員入れる余裕はないと思うのだが……大丈夫だろうか? あと着替えも大丈夫だろうか?

 まあ大丈夫だろう、そう思いつつ君は未だノックされている家の扉を開けた。


「やっと来たみたいだね。おはよう」


 扉を開けるとそこにはネコが立っており、鼻をクンと動かすと……にんま~と意地の悪い笑みを浮かべた。

 どうやらにおいでナニをしてたのか理解したようだ。


「ゆうべはおたのしみでしたね。まあ、エッチなベビードールと精力剤が聞いたようで何よりだよ」


 心底面白い、そんな感じにネコは君へと笑う。

 君はそんなことを言うために来たのかと尋ねると、おっといけない。と彼女は呟き、口を開く。


「頼まれていた物が出来上がったんだ」


 頼まれていた物、つまりはメタルドラゴンが牽くための馬車だ。

 というかどれだけの大きさになったのだろうか?

 そんな不安を抱きつつ、君がネコを見ていると彼女は……


「町の外にあるから見に行くかい?」


 彼女の言葉にどうするか悩んだが、お風呂に入った彼女たちがすぐに上がりそうにないと判断した君は見に行くことにした。

 というかネコを帰らせたとしても、このままだと君は風呂場に突入しそうだったからだ。

 風呂場で二回戦。それは悪くないかも知れない。

 そんな馬鹿なことを考えてしまった自分の頭を振りながら、君はネコと共に町の外へと歩いていく。

 するとでかい家が立っているのが見えた。

 その姿に若干嫌な予感を感じつつも、歩いていくと門番が君たちに気づいたようだった。


「あ、ネコさん! これ何なんですか!? いきなり置いてかれたんですけどっ!?」

「ああ、悪いね。これ商品なんだよー」

「しょ、商品ですか!? こんなデカい家なんてこんな所に置かれても邪魔なだけですよ!?」

「大丈夫大丈夫、これは移動するための拠点だから」

「え? ……あ、車輪が付いてますね。でも、動くんですかこれ?」


 下に付く車輪に気づき、門番は頷く。

 けれどその表情は不安そうだった。

 当たり前だ。これはどう考えても動くか動かないかと聞かれると動かないだろうとしか思えないのだから。

 門番も不安がっているが、君も正直不安になっている。

 何故なら、君が注文した馬車……というか移動する家の形は、

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