終幕、そして一夜明けて
ゼロになったのを確認した俺は、魔法使いの前に立つ。
「覚えとけよ、お前。今度会ったら……」
魔法使いの言葉を遮り、見下すように言い放つ。
「『NOOB』」
「な……」
また口を開こうとしたみたいだが、その前に魔法使いは消え去ってしまったみたいだ。
《称号 復讐者 を取得しました!》
《潜伏スキルを取得しました!》
《疾走スキルを取得しました!》
《レベルが10以下のため、PKペナルティはありません》
《レベルが10以下のため、名声ポイント低下はありません》
……なんか、色々と取得したな、またまたあいつらに感謝だ。
まあいい。
「あー!スッキリした!」
心の底からそう叫ぶ俺。
さて、始まりの町に戻ってログアウトといこう。
―――――――――――――――――――
ログアウトし、現実に戻る。
「ふう……」
うん、別世界って感じだったな。
それにしても、嵌ってしまいそうだ、この『EFO』には。
いやー、本当に立花には感謝だな……
時計を見ると、もう夜の12時だ。
なんか頭が疲れた感じがするが、これがVRの影響だろう。
よし、それじゃさっさと寝ましょう。
――――――――――――――
朝、起きて朝食の準備をする。
皿を机に並べた所で、六花は起きたようだ。
「お兄ちゃん、おはよー」
なんかいつも以上に寝不足っぽいな……
「おはよう。六花、お前昨日ずっとやってたろ」
「へへ、分かる?そりゃやるって、サービス初日だよ?」
「まあ分かるけどな、俺も思ったよりやってたよ」
深夜までゲームなんて、本当に久しぶりだ。
「ふふ、やっぱりお兄ちゃんには勧めといて正解だったよー。それで……何人PKした?」
「おいおいしてる前提か?……一応、三人だ」
少し濁らせてそう答えた
「やるねー、私はまだ出来てないのに!」
そう悔しがる六花。
MPKがPKに入るのかは知らんが、まあそういうことにしておこう。
「……もしかして、一応ってのはMPK?」
おいおい鋭すぎないか?お兄ちゃん怖いよ?
「そ、そうだがよく分かったな……」
「はは、昨日提示板で晒されてたの、やっぱりお兄ちゃんだったんだ!」
……俺、晒されてたのか、まあいいけど。
あの魔法使いかな?犯人は。
「はは、初日から晒しはちょっときついな」
肩を竦める俺。
「いやーそれがね、むしろ晒した方が叩かれてたみたいだから大丈夫だって!」
おう、そんなことあるのか。
「変わったこともあるもんだ。ごちそうさま」
食事を終え、片付けに入る。
「ごちそうさまでしたー!またフレンド送っとくからね!」
「はいはい、ほら学校間に合わんぞ?」
「うわ!早くいってよー」
そう言って慌ただしく部屋へ戻る六花。
さて、仕事といこうか。
――――――――――――――
仕事を終え、夜ご飯を作るまでに少しEFOにログインする。
我が家は少しご飯が遅いのだ。
《始まりの町でログインしました!》
《EFO運営からのメールが届いています》
始まりの町にてインすると、インフォが鳴る。
えっと確か操作方法で……
メニュー、と念じる。
そうすると、目の前にメニュー画面が現れた。
このゲームでは、出したい画面を口に出すか、念じれば出るようだ。
メニューの中にメールの欄があり、それをタップする。
運営インフォっと……うん、よくあるお礼のメールか。
よし、それじゃ狩りにいこう!
――――――――――――
昨日に比べたら、狩場はかなり人がいなくなっており快適だった。
時間もあるかな。
〈スライム level5〉
これぐらいならまあ昨日のようにはならないだろう。
あ、横PKなら歓迎しますよ?
まあ周りに人いるし、流石にないと思うが……
《レベルが上がりました!任意のステータスにポイントを振ってください》
《小刀スキルのレベルが上がりました!》
スライムを2匹倒した所で、レベルが上がる。
えー敏捷に振ってと……
というか、前のマップに比べると随分楽だな。
単純にレベル差もあるが……疾走スキルの取得も大きいように思える。
このスキルは、一定時間走るスピードが大幅に上昇するスキルであり、中々使い勝手が良
い。
発動は念じるだけ、もしくは口で言うだけだから便利!
まだ十秒程しか効果時間がないのだが、充分効果的だ。
このスキルを使い、そのスピードにナイフの突きを載せた攻撃が強い強い。
MPは殆どこれに使っている気がする。
……さて、もう十匹倒したら一旦戻るか。
《疾走スキルのレベルが上がりました!》
十匹倒した所で丁度レベルが上がる疾走スキル。
うん……切りが良すぎて怖い。
始まりの町に戻ろう。
――――――――――――
今日の夜はオムライスだ。
簡単で美味しくて素晴らしい料理だと思う。
……そういえば、ゲーム内でも料理とかって食べられるんだろうか?
ポーションは普通に味がしてたし十分にあり得る話だよな。
うん、楽しみがまた増えた。
「あー!オムライスだ!お兄ちゃん大好きー!」
匂いに釣られたのか、完璧なタイミングで来る六花。
「はいはい、お前の大好きなブロッコリーもあるぞ?」
「うう……お兄ちゃん嫌い……」
「ははは、あのポーションがいけるならこれも余裕だろうに」
実際結構あれは不味い。
「あれは別口なのー。ゲームだし」
「うーん、そんなものか?」
「そんなものー!」
そういう六花。まあ食べさせるけどね。
――――――――――――
「ふう、ごちそうさま」
「ごちそうさまー、それじゃお兄ちゃん!あとでフレンド送っとくよ」
そう言ってから、上の階へ行く六花。
さて、俺も洗い物がおわったらログインしよう。
……うん、嵌ってるわ俺。
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