狂戦士
「へ、ええ、私とですかあ?」
困惑するように、何時もよりワンオクターブ高い声を発するカオリ。
「ああ」
「ほ、ホントに言っているんですか?」
カオリは未だ、困惑の言葉を発する。
「ははは、大マジだよ、カオリ」
「ええ、そんな、漆黒さんと、闘うなんて――」
その言葉だけ見れば、カオリは拒絶の反応だ。しかし――その『表情』は、それと『真反対』だった。
彼女の雰囲気が徐々に変化していく。
やがてそれは、最初とは別人と言える程にまで。
「しょうがない、ですよね、漆黒さんが言うなら……」
口元を横に歪ませて、カオリは肩にかけた斧を抜く。
「漆黒さんが、私と闘いなんて、言うのなら――」
その目をギラつかせて、カオリは俺を見据える。
「やりましょうか」
―――――――――――――――――――
「形式は、普通のPVP方式で良いよな?」
「任せます、何でも良いですよ」
ん?……いいや、何でもない。
今のカオリには、冗談が通じなさそうだ。
「んじゃ、早速」
「ええ」
《決闘専用フィールドに移動します》
決闘方式は、夜と全く一緒のもの。
アイテムあり、回復あり、何でもありのモード。
俺にとっても、カオリにも一番だろう。
「へえ、こんな感じなんですね!」
「ああ……初めてか?」
「はい!」
カオリは嬉々として決闘フィールドを眺めている。
あちこち歩いたり、壁を触ってみたり。
唐突、斧を取り出して、壁に向かって振るってみたり―――――
「っておい!お前何やって――!?」
バッコーン!そんな漫画の効果音が聞こえた気がした。
「……へへ、流石に頑丈ですね。壊れないんですか」
《決闘開始まで、10秒となりました》
同時に聞こえるアナウンス。
俺はひょっとしたら、かなりヤバい奴に喧嘩を売っちまったのか?
「フィールドが早々壊れてたら駄目だろうが、はは」
苦笑というよりかは混乱の笑みを浮かべ、俺はそう言う。
「へへ、それじゃ――」
笑うカオリ。
「漆黒さんも――――壊れないで下さいね?」
《戦闘を開始します》
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