お金が入りました。

 《レベルが上がりました!任意のステータスにポイントを振ってください》




《雪熊の爪を取得しました!》




《称号【格上狩りⅡ】を取得しました!》




何度か穴に落として武技の連打を繰り返せば、俺の勝利で激闘は終わる。




ああ可哀想だ……死に際がまさか、『ケツにナイフ刺さって死んだ』になってしまうとは。




哀れなクマさんよ、俺はお前の事を忘れない。




消えていくクマさんを見ながら、俺は手を合わせるのだった。




……やったあレベルが上がったぞ。




しかも格上狩りの二段階目だ。多分累計で何回か何だろう。




あと素材アイテムっぽいのも貰った。




「……戻るか」




クマさんに飛ばされた製造品のナイフを回収。




落とし穴は運営の想定内なのか、一度使用したら消えるらしく後片付けもいらない。ちょっと勿体無い。




落とし穴に用いたナイフはしっかり回収出来た、耐久値結構減ってるけど。




綺麗に熊さんは全部の落とし穴に掛ったおかげで地面は平らだ。それだけ体力も多いって事なんだが。恐ろしい。




まあそういうわけで、ここを通った名も知らぬプレイヤーが尻にナイフを突き刺す悲劇は起こらない。




俺は雑貨屋で買っておいたリターンストーンを取り出し、使用する。




これは一番最近行った非戦闘エリアへと戻る事が出来る便利なアイテムだ。




「リターン!」




――――――――――――――――




気になったのが、俺の取得した素材アイテムのお値段だ。




「やっぱないよな」




取引提示板を見ても、『雪熊』シリーズの素材なんてない。




まあ誰も居なかったし、そりゃそうか……




うーん、どうしたものだろう。




□□□□□□□□□□□□□




【雪熊の爪】




素材アイテム。力強い熊の爪。




武器、もしくはアクセサリーに用いる事が出来る。




品質:2


レアリティ:3




□□□□□□□□□□□□




説明の通り、そのままでは意味が無い素材アイテム。




生産職の方々に調理して貰わないといけないタイプだ。




しかしまあ結構進んだ先のモンスターだったからな……レアリティも3は初めて見たよ。




「うーむ」




迷った末、これは取引提示板に出す事にした。




どうせ持ってても意味ないし、早い内に売った方が絶対に良い。




もしかすれば、今この瞬間にクマさんは狩られ始めているかもしれないからな。




□□□□□□□□□□□□□




【雪熊の爪】




素材アイテム。力強い熊の爪。




武器、もしくはアクセサリーに用いる事が出来る。




品質:2


レアリティ:3




出品者:――




出品者コメント:ラロックアイスの深部でドロップしました!かなりレアっぽいのでお早めに!




□□□□□□□□□□□□




値段は手数料コミコミで69999azl。ぼったくりだって?いやいやとんでもない。




出品者コメントもそれっぽく書いておいた。




コメントにはレアっぽいとか書いておいたが、恐らくこれはそんなにレアじゃない。多分ノーマルだ。




一匹買ってレアアイテムが出るなんて現実は甘くないからな。あくまでも『ぽい』だから!僕知らない!




まあ売れなければ値段を下げるだけだ。




さて、それじゃ露店でも――




《貴方の出品した『雪熊の爪』が売却されました!》




《『雪熊の爪』売却により、69999azlがインベントリに追加されました!》




取引提示板を後にしようと思った瞬間、そうインフォが流れる。




ええ……マジで?




あ、ああ……本当に追加されてるわ。




これで俺の手持ちは一気に100000azl近くとなった。




誰だよ買ったの……まあでもいいか。




早く倉庫に入れておこう、全く落ち着かん。




――――――――――――――




「毎度あり!」




ラロックアイスの倉庫屋さんに先ほど取得したazlを入れておく。




因みに倉庫は利用金額が要らない。中々ありがたいね。




こんな状態でフィールドに出たとして……スリ、PKなんかもしされたらヤバいからな、よしよしこれで大丈夫だ。




懐が軽くなって安心した所で……ある考えが頭に過る。




――これ、儲けるチャンスなんじゃないの?

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