クマさんにやられました。
早速、このエリアのモンスターでも見ていきたいな……
えーっと、雑貨屋で地図を買えるんだったか。
―――――
買ってきました。
どうやらこのラロックアイスは、このラロックアイスシティから東と西に行った所にまたゲートがあり、そこから戦闘エリアとなる。
ちなみに南は始まりの草原へのゲートだ。
またマップの大きいワープ石みたいなのから、始まりの町へと飛べるらしい。非戦闘エリアは基本ワープ出来るって感じかな?
さて、東か西か……どっちにしよう。どっちでもいいか。
「……全然減ってねえな」
東のゲートへと歩きながら、俺は装備の確認をしておく。
うん、被弾もあまりしてないし耐久値は大丈夫だな。
また提示板か露店で装備の確認はしておこう、レベルがもう少し上がったら、流石にまた何か良いものを着れるだろう。
出来れば敏捷がもっと欲しい。防御も欲しい。2発耐えるか3発耐えるかの違いは結構大事だ。
紙防御でも、紙なりに防御は大事だからな……
《ラロック・アイス・スノウフィールドに移動しました!》
ゲートを潜れば、そこは雪の降る銀世界。
中々移動がしんどそうだが、これはゲーム。見れば付近で戦闘している奴らは、軽快に動いている。大丈夫だろう。
さて、ひとっ走りするか。
―――――――――――――――
「……ふう、走った走った」
モンスターを見つけては避けて通り……かなり遠くまで来れたんじゃないの?
スタミナエキスをポケットに入れていたが、それが切れかけたので俺は一度走るのをやめた。
都合よくあった大きな石に隠れ、息を潜める。
どうやら、俺の予想通り中々に広いらしい。結構走ったけどまだ次のゲートへの道は見当たらないからな。
そして、周りのモンスターを見れば……
〈バーバ・ヤーガleve30 アクティブ〉
うっひょーたかいたかい。
何やら杖のような物を持った、宙に浮くダルマのようなモンスター。
流石にここで狩りを行っているような奴らはまだいないらしい。
……アイツ、やっちゃう?
いやいや、流石に無理だわ。見るからに遠距離攻撃系だし。
多分一発で俺の末代まで死ぬんじゃない?
「……」
黙ったまま徘徊するソイツは、格上を示す赤文字ネームと共に中々に威圧感を放っている。
しかも最初からアクティブ。やる気満々だ。バレたら終わり。
まあいいや、もうちょっと先のモンスターでも見て――
「っ!」
石の影から出ようとすると、急に背筋が凍る感覚。
後ろだ、後ろに何かいる。見なくても分かる程、その存在だけが感じられた。
俺はそのまま石に隠れて、数秒を過ごす。
《気配察知スキルを習得しました!》
その後流れるインフォさん。
いやあ怖かった、一体何だったんだ、今のは。まあ新しいスキル習得できたしいいよね。
恐らくこのスキルはまんまの意味だろう。近くに何かが接近した際に教えてくれる感じ。なんで今習得できたのかはわからん。
「さて、もうひとっ走――」
意気揚々に石から出た時、俺は後悔した。いや、後悔する暇もなかったかもしれない。
俺の後ろには、見上げる程の茶色の巨体……クマさんがいた。
地の底から聞こえる低い吠え声。
それを耳が捕えた時には、もう遅かったのだろう。
気配察知が捕えた時には、もう近付いていたのだろう。
コイツもまた、潜伏のような何かを使っていたのか。
……まあ、死んだからどうでもいいか。
《貴方は死亡しました》
《助けを待ちますか?60秒経つと、自動的に付近の非戦闘エリアで復活します》
俺は今、半透明人間の状態で寝転がっている。
前にPKされた時と異なり、勝手に戻らないようだ。まあでも助け何て来ないだろうしな……いいえっと。
《ラロック・アイス・シティに移動しました!》
《デスペナルティとして、ステータスが減少します》
俺は本日二度目のこの場に降り立つ。
ステータス減少は、ステータスの5%が減少している。俺は極振りだから敏捷だけしか減らない。極振り万歳。
あちゃー、防具の耐久値もごっそりいかれたな。まあまだ5割はあるしいいだろう。
「……さて、どうしよっかな」
なんかデスペナのせいでちょっとやる気が削がれた。
時間もいいぐらいだし、そろそろ落ちようかな。
……そうだ、ちょっと試したい事がある、それだけやって落ちよう。
―――――――――――――――
「うおおおお!」
今現在俺は、バーガヤーガとさっきのデカいクマさん……ジャイアントベアーに追われている。
名前そのまんまだろって?そんな突っ込みする余裕も今はない。
……事の経緯は簡単だ。俺は、モンスター同士で何とか戦わせる事が出来ないか考えた。
俺が倒してもいいが、難易度がクソ高いだろうし時間も掛かるだろうし、これが通用したら色々使えるじゃん?
そしてバーバヤーガに華麗に喧嘩を売り(その辺の雪玉をぶつけた)、怒り狂ったソイツの杖から放たれる炎の弾を避けながら近くにいたクマさんの後ろに回る。
バーバヤーガの炎弾がちょうどクマさんに当たるよう俺の立ち位置を調整、そして見事当たって、大怪獣バトルが繰り広げられる……はずだった。
結果として今俺は逃げ回っている。そういうことよ。
まあ分かっちゃいたが、どうやってもモンスター同志で争わせるのは難しいらしい。
あと100発ぐらい炎弾当てたらヘイトも変わるかな。ああ、その時はもう死んでるか……
「……撒いたか」
俺の敏捷に感謝しながら、アイツらを撒いてまた石の影に身を潜める。
同時に、何か風景が変わっていく。……何だ?
《これから一定時間、『スノウタイム』となります》
《モンスターの出現数とリポップ速度、ステータス、経験値が上昇します》
上空から大量の雪が降ってきたのは、このスノウタイムとかいうやつのせいか。
うっひょーすげえ。こんなの北の大地でも見たことない大雪だ。
……なんかもう、多分俺帰れないわ。出現数増加って言ってるし。
まあ俺の足ならいけるかもしれんが、スタミナエキスも消費するし、最悪この雪で速度デバフがかかる可能性もある。
これがリアルなら死んでた。
よし決めた!今日はここで落ちよう。それがいいな。
EFOはどこでもログアウト出来るんだが……戦闘後10秒経つまでログアウト出来ない。
もし俺がクマさんにケンカを売りそのままログアウトなんて事は出来ないわけ。
まあまあよくあるシステムだ。
おやすみなさい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます