Let's Twist Again その5
あわただしい一日、恒星も沈み星雲がまるでラッセンの絵のような耽美的な青を、空と地表の水に映していた。
姉さんはキルケーが精製し用意したパスタを調理して運んできた。
『はいカルボナーラ。好きだったでしょ二人とも』
円卓に並ぶ大ぶりな皿を置き、取り皿を配ると照美は立ち上がり言った。
『待って、キルケーでも倫理コードがある限り有精無精関係なく卵は作れないはずよ!』
照美は机を叩き天井、もといキルケーに向かって叫んだ。
〈彼女の声調は最高権限として登録されています。書き換えの形跡もありません〉
『私ってば魔法使いの才能、あるかもね!!』
『....本当に何者なのあんたのお姉さん』
「俺もわからなくなってきたところ」
腰に手を当て胸を張る姉さんをじっと見ると方眉を上げ不敵に笑う。
照美は考えるを諦め座り、落ち着き様に姉さんが一言放った。
『で?守は誰と付き合ってるの?』
全員が工藤俊作も顔負けの吹き出しで咳き込んだ。
『まどか姉さん...』
響は胸を叩きながら勘弁してよ、と言わんばかりに弁明するとすかさず返した。
『だって響なんて守からプロポーズされた夜、私に...』
『わー!!!』
大声で姉さんの声をかき消しわざとらしく叫ぶ。
『美味しそうなカルボナーラ!!頂きまーす!!』
『じゃあそこの子猫の依由ちゃん?さっきからいじらしそうに守のこと見てるけど』
『わっ!私は...その.....』
依由ちゃんの顔は確かにボンっ!と音を立てショートし彼女もまた食事に手を付けた。
『ならこちらのハリネズミ、照美ちゃんは....?』
ハリネズミか、言われてみれば少し似ているかもしれない。
しかし照美は姉さんをギロッっと睨みながら口いっぱいにパスタを詰め込んでいた。
「姉さんこの話は止めよう....」
『あんたも男なんだからここの全員の面倒見るぐらいの甲斐性ないと、ねっ!』
胃の中へ詰めたものが飛び出す勢いで背中を強く叩き、豪快に皿の上に大きく持ったカルボナーラを平らげた。
俺達4人は黙々と食事を終えごろごろと横になりながら、本来ならば使い捨ての皿を姉さんは流し場へ持っていき綺麗にゆすいでいた。
照美と依由ちゃんはひそひそと向こうを見ながら話しているが、あらかた姉さんを信じきれないのだろう。
『味は....変わらないね』
響が寝っ転がりながらこちらに密着し耳元を手で覆い囁く。
「....あぁ見事に学食レベルを安定して保ってるな」
『そうじゃなくて、何から何までそっくりってこと』
「そりゃあ姉さんの手作りだからな」
そう言うと少し黙り、咎めるような目つきで言う。
『守.......本気で信じてるの?』
答えることはせず、姉さんが洗い物を終えてこちらに戻るや否や、ソファに深く腰かけ素足でぐりぐりと俺の頭を弄り回す。
『自分が自分であることの証明は誰にもできない』
「誰の言葉?」
『私』
意味深に笑うと響の手は耳元から俺の頬へ移動し、動物のように顔に顔を擦りつけてきた。
「なにしてんだよ!」
驚きよりも恥ずかしさで顔を押しのけようとするが、その手をそのまま掴み深い谷あいへ押し込んで、あの時...と甘く吐露し始めた。
『あんたの告白...実は嬉しかったんだよ?でも何かが変わっちゃったらどうしようって、だから断っちゃった。でも今なら...いいよ?』
響の目はとろんとし、顔もどこか赤らみ熱い息を吐いている。
手から伝わる激しい脈は響のものなのか、俺のものなのか....
そんな、ここには照美も依由ちゃんも姉さんまでいるっていうのにそんな....
頭がグツグツと煮立ってくると、いつの間にか背中には依由ちゃんが足を絡め首元を一筋舐めた。
『守さん....もっと私に話してください、頼ってください、どんな恥ずかしい要望でも守さんなら....!』
なんだなんだ一体何なんだ!慌てふためいていると、顔に影が落ちそちらをみると照美が立っていた。
「て、照美!この二人がいきなり....おいなんだよ」
黙ってこちらを見ていると思うと、彼女もまた目がとろんとし、ハァハァと息を漏らしてる。
『あのバケモノに掴まるとき私を助けてくれたこと...かっこよかったわ....お礼になんでも一つ言うこと聞いてあげる』
みんなして様子がおかしい、いや美味しい状況だが唐突に異常だ!
「姉さん!」
前門の響、後門の依由ちゃん、そして上から照美。そしてそれを楽しげに見ている姉さんに助けを求めるが、ソファから立ち上がり部屋を出て行こうとする。
『さっき言った通り、楽しんで』
去り際にそう言い残し3人の美女に揉まれながら頭がぼぅーっとし始める。
『寝る場所に食べ物が確保できたら.......あと必要なものは?』
極上の笑顔で照美は服を脱ぎ始め迫りくる下着姿へ引きつる顔で返した。
「あー.....スタバ?」
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