Stuck In The Middle With You その3


その言葉を聞くや否や、寝っ転がっていた俺と依由ちゃんは同時に跳ね起きフィニッシュポーズを取る。



『あの、水着は....』


『大丈夫、いゆいゆのスリーサイズはしっかり調べて生成済み♪』


響は依由ちゃんの身体のラインをなぞるように手を添わせると、くすぐったそうに体をくねらせ言う。


『なんで...んっ!知ってるんですか....そこは!やめてください!』



『この響アイにかかれば女の子のスリーサイズは逃げも隠れもできないのさ。もちろんてるみんのサイズも計測済み』



「アホらしい...」



口に出しはするものの心で後で聞こうと決意し、女性3人は着替えに部屋を出た。




この間にあの白い塊の解析をすることにし、機材のある部屋に向かい電子レンジのような機械に一つずつ並べていく。


〈確かに地球では死んだ扱いでしょうが、律儀にも石を積み上げるとは恐れ入ります〉


〈私は鬼ではないので崩すことはありませんが、もしお望みであれば棍棒を用意しましょうか?〉


「いいから、黙って調べてくれ」


完全な状態へ戻ったキルケーは変わらず不躾な物言いに断じた。



〈スキャニング開始します〉



ごうんごうん、と駆動音を立てて動き出し、ものの数分で解析を終えた。



「どうだ」


〈とても身近なものですよ〉


「どういうことだ?」


〈人骨です。それも何人もの〉



先ほどまで触っていた’’それ’’から飛びのき体中から血の気が引くような寒気を感じ、声もでない。


〈どれも年は16歳前後、すべて女性です。死因はどの事例にも当てはまりませんが、50年前から1年前のものもあります〉


まともな思考はできず、その瞬間まるで誰かから見られているような感覚に陥り混乱し始めた。


〈3人へ知らせましょうか〉


「ダメだ!」


なぜか。


「みんなを怯えさせるだけだ、原因を俺達だけで....調べるしかない」


そうだ。




焦点も合わず過呼吸気味になると響の声が部屋のスピーカーに流れ驚く


『守!着替え終わったからもう泳いどくからね~!』


頭を抱えキルケーに厳命した。


「いいか、このことは一切口外するなよ。彼女たちに気づかれないうちにこの問題を解決するんだ」


その言葉の中には、彼女らを心配する気持ちと、それ以外の何かがあった。


〈...かしこまりました〉


キルケーは軽口も言わず少し考えるようにして言った。





プレイルームのドアの前で立ち止まり一度平静を保とうとするが、身体がうずくような恐怖と隠すことの罪悪感にどうしたって顔を曇らせてしまう。


重い足取りでドアをくぐり簡易更衣室に置かれている水着へ履き替え、上はそのままプールへ出ると既に響と照美はビニールボールを突き合いながらはしゃぎ、こちらに向かって手を振っている。


パレオのスカートからは青い水着が透けて見え、もう一人はフリフリの白いバンドゥビキニはどちらも水を吸い彼女らの美しさと可愛さの二点をこの上なく引き立てていた。


一方、プールには見合わぬパーカー姿で足だけを水につけた照美が座り縮こまりこっちを見て言う。


『どうしたの浮かない顔して』

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