Stuck In The Middle With You その2
日は沈み始め、スーペリアへ戻り着替えのため依由ちゃんと別れるとラウンジに顔を出すと二人はフロアコーナーのソファーに身体を沈み込ませていた。
響はヘンリーネックのタンクトップ、照美は綿のもこもことしたパーカー姿、後ろから依由ちゃんがネグリジェのようなワンピース姿で現れる。
『どうしたんですか守さん?』
〈歩行できることを忘れたのでなければ、皆さんの部屋着に釘付けのようです〉
ソファから彼女らの多様な服まで自在に生成できるキルケーには口の悪さも気にならなくなるほど、ここでの生活には無くてはならないものになっていた。
『二人ともお疲れ~』
響は寝っ転がったまま答え、照美は身体を起こしただただ笑顔で迎えてくれる。
『おかえり』
何気ないその言葉はたまらなくここでの生活をより満足いくものにしてくれる。
帰る場所があり、そこで待ち迎え入れてくれる人がいる。そんな当たり前のはずだったことが、なによりも嬉しい。
部屋の中心へ立ち、投影機のリモコンを取る。
「んじゃあ本日の活動報告~!」
『ドンドンパフパフ~』
わざとらしさに軽く一瞥くれると渋々起き、真剣でござい、という目つきで響と照美は横になり、依由ちゃんは正座でこちらへ注目した。
先ほど録っていた映像を大きなモニターへ映し出す。
『お次は隕石?』
照美は怪訝に
『ここはシールド張ってあるから大丈夫~』
響は楽天的に
『ここ数日多発してますね』
依由ちゃんは真摯に
それぞれの反応を見せる中、俺はなにか気がかりで胸騒ぎがしてならない。
「星の変容原因は依然としてわからず、引き続き調査を行う。っと、今日はこんなところかな」
『成果なしってことね』
「じゃあ照美はなんかわかったのかよ...」
口先をとがらせへそを曲げていると照美は後ろから両肩に手を置き俺をソファに座らせた。
『拗ねないの、こっちももう手詰まりだし。当分の間はこのままゆったりよ』
目を丸くして彼女を見る。
『なによ』
「いや....てっきりもっと頑張れ、原因究明を厳とせよ!って姿勢かと...」
『私のことをなんだと思ってんのよ…たまにはダラダラしたっていいじゃな~い』
照美は身体を伸ばしながら寝っ転がり居心地よさそうにしている。
心を打ち明けてくれたのか、前とは違い色々と隙を見せるようになった。
照美のショートパンツを抜けた先の太ももについ目をやっていると、その上に毛布をかけ俺を見て鼻で笑い飛ばした。
見ていたのはこちらにも関わらずなぜかこちらが恥ずかしくなり、彼女から少し離れて座りソファへ飛び込んで横になって言う。
「響、解析機空いたか?」
『あぁあの白いのもう入れといたよ、今日の夜には結果出るかな』
この星が姿を変える中、何度か見かけた珊瑚の死骸のような塊はその後いくつも見つかり、既に数十を超える数を回収していた。
「サンキュー、確認しとくわ」
『そ、れ、と』
響は仰向けの状態から身軽に跳ね起き、フィニッシュポーズをとり俺と依由ちゃんは小さく拍手をすると、どこからともなく拡声器を取り出した。
『地球から飛び立っておよそ1週間、日本では夏!』
「はぁ」
『そこで!我がスーペリアのプレイルームをプールとして開放しまーす!!!』
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