第7話 Stuck In The Middle With You

Stuck In The Middle With You その1

あれから数日経った。メインコアを取り付け完璧な状態へと戻ったキルケーにより生活に必要最低限の機能は復旧し、


動力部と一体化しているラフレシアに変化もなく、水は大気から清々されろ過される。


プレートの食事には、俺達が植えた野菜が食事に彩りや触感も与え、すっかりここでの生活に満足できるまでになっていた。



皆で食卓を囲み、談笑し、日々この星の調査と逃げたゾンビの生き残りを探すため、俺と依由ちゃんはキルケーと響が作ったホバーバイクに乗り、辺りを走っていた。



この星も砂の大地からは大きく様相を変え、砂は白み、その上には薄く水が張り空を写している。


不完全な終わりを迎えた惑星状星雲が水に反射し宇宙を股にかけて走っているような錯覚に陥る。






そんな超現実的な地表から、ぽつぽつと木が生え始めている。


向こう側が隙間から見える網目状の幹をしたその木は、先端から広がり傘状に広がり緑の葉をつけている。



この姿より何より驚いたのは、この星の大気から人体を害する毒素をこの木が吸い、外でもスーツを着ずとも良くなったことだ。


キルケーでさえこの木のメカニズムは解明できず、たった数日で2mほどの高さで姿を現したこの木の樹齢は測定すれば百年近くという結果が出ては皆困惑していた。


『まるで私たちに媚びてるみたい』


そう照美は言っていたが、媚びるも上等。是非とも上目遣いでご機嫌伺いして貰いたいものだ。




とにかくわかってることは水鏡の大地に肉眼でも見える写真のような様々な星雲、毒素を吸う木、そして美女3人。


地球では一生得ることのなかった文句なしの現状に心満たされているということだ。


『守さん、あれなんでしょうか?』


後ろに座り、胴に回していた腕を横へ伸ばし話しかける依由ちゃん。


伸ばした指の先へ近づくと、木は折れその周囲には岩が散らばっている。



「またか」


『回収しておきますね』


トングで岩を掴み、ホバーバイクのサイドバックへ入れた。


ここ数日、砕けた岩が散らばっていることが多い。




「よし、じゃあ今日はここらで切り上げようか」

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