Stuck In The Middle With You その4

「...そっちこそ」


彼女はパーカーの端をくいっと引っ張り水着姿を隠しているようだが、服の隙間から覗く際どい黒の布とそれを繋ぎ合わせるレースの網目が彼女の塞ぎ気味の様子が察せた。大方、響が無理やり着せたんだろう。



俺は着ていたTシャツを脱ぎ、突き出すと不思議そうにそれを見ている。


「上からそれ着たら泳げるんじゃないか?」



『....ありがと』


キョトンとした顔から


パーカーを脱ぐと背中、ボトムのサイドはレースアップになっており、他の二人とは飛びぬけてエモーショナルであり焦熱的でもあった...



Tシャツを着ると、それはそれでまた違った趣を見せ、透けて見える黒い水着の間接さがより一層情動を掻き立てる。



『あんたはどうしたの?ほんとはカナヅチとか?』



「いや、そうじゃないけど...」




じゃあ、照美はそう言いこちらの手を引き、水の中へと引き込んだ。


『守さん、この水着いかがですか?』


「似合ってるよ、とっても可愛い」



依由ちゃんは気恥ずかしそうにありがとうございます、と言いながら俺の腕を素肌へ密着させた。


『みんな私が見繕ったんだけど、てるみんが恥ずかしっていうからさ~』


『こんな網々誰だって恥ずかしいわよ!』



みんな笑い合う中、この瞬間だけは先ほどのことを忘れ楽しもう、それが彼女たちに気づかれず余計な心配を与えない最善の策だ。



責め立てる事実とまるで虚構のような享楽にひたすらすりつぶされる感覚の中、そう言い聞かせ4人でひたすら遊びはしゃいだ。












皆で夕食を食べそれぞれ自室へ戻り、いつもなら深く眠りについている時間だが骨が頭から離れず寝付けずにいると、インターホンが鳴った。


ドアを開けるとそこにはパジャマ姿の依由ちゃんが立っていた。


『お話いいですか?』


どっちがどっちに座るかを譲り合った結果、二人してベットの上に座り彼女はいつもより強気に口火を切る。



『なにかあったんですか?』


既に打ち明け、心を楽にしたい。しかし言うことはせず黙っていると彼女はまた腕を身体に寄せ言う。


『やっぱり葉山さんとなにがあったんですか⁉』


「えっ!?」



『リネン室に閉じ込められた時からお二人がどこか気まずそうで...』


夜、男女二人きりベットの上で見つめ合う中、鬼気迫るように続ける。


『もしかして....お付き合いしてるんでしょうか!?』



「違う違う!昨日説明した通りなんにもなかったから!」



『そうですか...』


俯き溜めるように言い終えると、勢いをつけ首を傾ながら顔を突き出し唇へ触れる。



『もし何か悩みがあれば、私でよければいつでも...捌け口にしてくださいね』



そう言い残し、そそくさと部屋を出て行く彼女をただ状況を掴めず閉まる扉を見つめていた。

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