第4話 Love Potion No.9

Love Potion No.9 その1

青ゾンビを撃退してから1日、俺たち四人はギャリーで各々に割り当てられた自室から起きリビングで朝食を囲んでいた。



わずかに残った非常食の乾パンとドライフルーツを口の中でふやかせ腹を満たしながら今後の展望を話し合っている。


『昨日キルケーによる地質調査で、土壌として適した土が5m下の層で発見されました』


響は数種類の種をフォークで突っつきながら頬杖をついている


〈この層は大気の毒素を含んでおらず地球の腐植土と特徴が合致しています〉


『木も葉もないのに?』


〈かつては緑生い茂る惑星であった可能性もありますが、現状での設備状況では解析しかねます〉


「ともあれその土でその種を植えれば」


『当面の食料は確保できる....でも?』


はい、と手を出し依由ちゃんへ繋げる。


『掘削機はありませんし、手作業で掘り出して運ぶとなると……』


『四人がかりでも一日はかかるんじゃない?』


響は肩をすくめる。



『水もタンクに残った数リットルだけ、その間に船の修理を済ませないとみんな仲良く脱水症よ。まずはろ過装置から修理しないと』


『船内の植物も処理しないといけませんし....』



響と照美は水の確保を、依由ちゃんは船全体に残る植物の焼却と清掃。


それぞれやるべき事があり、俺だけが手持無沙汰であった。


「よし!俺がやる!」



意気揚々と名乗りを上げたものの三人は何かを言いたげにし、誰がそれを言うのかをそれぞれが窺っている。


『....』


『守さん、5mも一人で掘るとなると...』


『そのもやしみたいな腕じゃ厳しくない?』




照美はもはや聞いてさえおらず、響には馬鹿にされ、あの優しい依由ちゃんでさえ無理だと高を括っている。


「あーわかった!待ってろ、一人でやってみせらぁ!」


時代錯誤な男のプライドを肩にかけ、スーペリアの落ちた手すりと剥がれた壁の一部を組み合わせ急ごしらえのシャベルを作り上げた。



空は濁った灰色で風が吹き砂煙がヘルメットを擦っていく中、とにかく彼女らに如何に頼りがいがあるのか見返してやる。


それを一心に船のギャリーからスーペリアを挟み彼女らから見えない場所で初めての肉体労働が始まった。

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