第9話 Let's Twist Again

Let's Twist Again その1

『美人になったね響、元気だった?』


船へ戻り広間へ入ると響は唖然とし、その場で膝から崩れ落ち、意識は遠くへ飛んでいきその場で倒れた。


照美と依由はただならぬ警戒心で鎮圧用ショックガンを持ち狙いを定めている。



「姉さんに、そんなもの向けるなよ....なぁ!!」



前に立ち、思いっきりの怒声で叫ぶと二人は動揺し酷く悲しい顔で銃を持つ手が震えている。



『こら、男が女の子怯えさせるんじゃない』





でも、と続けるより先に姉さんは前に出て深々とお辞儀をした。


『うちの愚弟がごめんね!私が守の姉、星野まどかです。弟がお世話になってます』


俺の頭を上から押し付け無理やりお辞儀をさせた。



きょとん、とした二人は銃を下げてどうしていいかわからずにいる。


依由ちゃんは倒れている響を運び、照美は俺を手招き耳元で言う。


『どういうことなの!?』


「そんなこと俺が知るかよ」



余計な茶々を入れられまいと姉さんの元へ行き、腕を引っ張ってここから離れようとする。



「姉さん!俺が船の中案内するからついてきて!」







2人して広間から出ていくのと同時に響は目が覚めむくっと起き上がった。


『大丈夫ですか?』


『うん...守は?』


『自称姉と散歩しに行ったわ』


たった半日で岩の怪獣が現れ、青ゾンビが寄生し、一貫の終わりと思いきやそれを消滅させた人間、それも姉と言い張る女の登場に残された3人は頭を抱えている。


『もしかしてこの船の生き残り?』


『名簿にはありませんね』


『でも見た目も声も、あの頃のまどか姉さんそのまま...』


〈透過解析したところ人間の体そのものです、DNA鑑定も姉弟と答えを出しています〉



『....死んだ....のよね?』


照美は恐る恐る聞く。


『守から聞いてた?そう、数年前にね...』



『...そう...だったんですか』


依由ちゃんは顔を俯かせ続けた。


『みなさん知ってらしたんですね...』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る