Just The Two of Us その4
〈追いかけませんか〉
「そんな立場にない。それより聞いてたのか」
〈聞かせたくなければ出来たはずでしょう〉
〈もしこの酒池肉林の生活に溺れるあまり妄言性障害および統合失調症に陥ったのでなければ、星野まどかを名乗るものが伝達した通り、この星があなたを中心に回っているならば...〉
〈守、あなたのその莫大で見るに堪えない欠点を補いうる、僅かばかりの優しさもまた仕組まれたものなのでしょうか〉
〈そして私の持つこの感情もまた意図的なものなのでしょうか〉
そんなものプログラムなら、そう言いかけたのを何とか堪えたが、キルケーは目や口の動きだけでそれを見抜いていた。
キルケーはおそらくこちらの映像を切り動力炉が静かに不気味な音を立てて、俺は一人だった。
照美が強気でいるように、 依由ちゃんが甘えるように、響が姉さんを真似るように、俺もまた優しいふりをしていただけだった。
そうすれば誰も離れていかないし、 好かれるだろうという打算があった。
それは姉さんが居てもいなくても変わらない、自分の本質なんだろう。
もしこうでなければ、姉さんは側にいて、この星に来ることもなかったんだろうか。
考えは飛躍していく。
『誠意って、何かね?』
わざとらしい低い声で姉さんは、姉さんの姿をしたものはラフレシアの葉の上に腰掛け見下ろしていた。
「彼女たちだけを返すことはできないのか」
『ん〜無理だろうね、この星の座標は守が今いる場所になる。もしワープ航行で戻ろうとすれば変動し続ける起点を延々バグのように飛び続けることになるよ』
「もういい、 その姿もやめろ」
もはや姉さんのその姿さえ目障りに感じ、八つ当たりするように吐き捨てると、そいつは感情を失ったかのように表情を硬直させた。
次に服が消え素肌があらわになると、今度は肌がまるで蒸発するように煙を上げて、中からはメタルの球体関節人形のような姿が残った。
多少なりとも驚きはしたがそれ以上はなく。
『今が楽しくない?』
最悪だ。
『このまま子供でいたい?』
そうじゃいられない。
『ハーレムを続けたくない?』
馬鹿馬鹿しい。
『地球に未練があるの?』
俺は...帰るつもりはない
声に出しているのか、心を読まれているのかも分からない。
心臓の音がいやに鼓膜へ鳴り響く。
『じゃあいち視聴者になるの?』
「わからない」
この目の前の機械には感情があるかも分からず、淡々と続ける。
『なら、私の頼みを聞いてくれるのかしら』
「頼み?」
『えぇ、私があなたを選んだ理由』
選んだ?一体どういうことだ、こいつは一体なんなんだ。
彼女は身動き一つせず語り始めた。
『私もかつては、あなたと同じ人間だった』
惑星フラター:未開の星でハーレムサバイバル!? @peperon0
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