Let's Twist Again その3
『もう...限....いよ!』
騒々しい機械音が遠くから聞こえ照美達がわめき合っている。
扉そのものを熱切断カッターか何かで壊そうとしているようだ。
『早く!守さんの身が!』
何を....寝ていただけなのに....?
バンっ!と破裂するような音の後、扉を倒し中へと踏み込んできた。
『守さん!!...え?』
『あんたね...どんだけ心配したと思ってんのよ』
怒りながらもどこか呆れたような3人にハッと気付くと、俺は姉さんの胸に埋もれて眠っていた。
先程から聞こえてこない響がいつになく静かな声で言う。
『まどか姉ぇ、ちょっと私にも付き合って』
すっとその場から離れると姉さんは響へついていく。
『はいはい、姉ちゃんはみんなに平等だよ〜』
『お姉さんってなんだが響さんに似てらっしゃいますよね?』
『ほんと、あのなに考えてるかわかんない喋り方とか』
「あぁ…響は姉さんに憧れてたから」
まだ幼かった頃、響はずっとだんまりで一言も喋らなかった。
ーーーーーーーーー
周りはみんな帰り、迎えを待つのは俺ともう1人だけ。
『ごめんね!ちょっと遅れちゃった』
姉さんが制服を着たまま走って入ってくる。
『あれ?そのお人形ちゃんは………守の彼女?』
「ちがうよ!この子喋んないんだ」
『はす向かいの遠山さんだよね!うーん1人だけにするのもなぁ.....ねぇ私達と一緒に帰らない?よし決まり!じゃあ園長先生に話して来るね!』
彼女はいつのまにか俺の服の端を掴み、一言も交わさなかった。
バタバタと音を荒げ戻ってくると、しゃがんで小さな女の子と目線を合わせ言った。それもとても嬉しそうに。
『お母さんに連絡したら、イイって!一緒に帰ろう!!』
『……りがとぅ』
3人は握った手を振りながら家へ帰る途中、姉さんは響にずっと話しかけていると少しづつ口数は増えていく。
『響ちゃん、きっと君は美人さんになるね!間違いない!』
『…ほんと?』
『モチのロン!目指せスーパーモデル!ねぇ守?』
当時は姉さんを盗られたような気持ちであまりいい気分とは言えなかった。しかしそんなことも姉さんにはお見通しだ。
『なにむくれてんのさ守、美人2人と一緒に帰れるなんて滅多に無いんだから』
「むくれてない」
一計を案じまたしゃがんで言う。
『ご飯食べ終わったら迎えに行くから!家でゲームしようよ!守もいいでしょ?』
「姉さん強いからやだ」
まだ拗ねきっている俺へしょうがないな、と耳打ちした。
『響ちゃんにいいとこ見せな』
それから小学校に上がるころにはすっかり姉さんに感化され、おしゃべりでおちゃらけ掴みどころのない性格になってしまった。
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