Let's Twist Again その4

「3人はいつも一緒だった。姉さんが死んで響が引っ越すまで」



あの日を虚空に見つめながら話し終え、それをただ痛々しく聞く照美と依由ちゃんへ向かって正座を構えた。


「あれは間違いなく姉さんなんだ。もしなにかあったら俺が責任を取る....だからどうか姉さんをこの船に迎えてくれないか」



二人は顔を見合わせ諦めたようにため息を吐いた。


『もちろん守さんのお姉さまということでしたら疑うことはありません』


『それじゃあ新しい仲間に挨拶しようじゃない』


「ありがとう!!」


思わず二人を強く抱きしめて言うと照美は声を上ずって身体を逸らせ、依由ちゃんはそっと手に手を添わせた。


『ちょ、ちょっと!なに!?』



「ごめんごめん、嬉しくって。じゃあ姉さんのとこに行こう!」






数分前、響は部屋に姉さんと二人きりになり距離を取っていた。


自分で呼び出したにも関わらず響から何かを発することはなく、それを姉さんはそれに痺れを切らし口火を切る。



『出るとこ出て、私よりも高くなったのにあの頃に逆戻り?』



『....』


下を向き長い黒髪で隠れた顔には涙がスッと落ちていた。


『焦んなくていいから、言えるまで待つよ』


撫でるような声で慰められると、意を決して、震える口で、響はか細い声を絞りだした。



『ごめん...なさい』



『なにが?』



姉さんは少し厳しい口調で聞き返す。



『姉さんが死んで、私は閉じこもって....窓から見えるあなたのいない家が辛かった....』


話し始めると留めていた波が溢れ、嗚咽しながら言う。


『だから守にも言わずにあそこから引っ越して忘れようとした。全部まどか姉ぇの真似なのに』


『私がまどか姉ぇになろうと思ったけど、それもできなくて...自分がなんなのかもわからなくて...』



 

『それが謝った理由?』



ついには言葉も無くなりただ泣く響はコクっと頷くと、姉さんは腕を組み仁王立ちになりいつものように構えた。




『自分が悪くないことで謝るな!』


響もまた直立になり、こちらへ詰め寄ってくる姉さんは、ガニ―に負けず劣らずの迫力を誇っていた。


『急に居なくなったのは私、だから響が謝る必要はないでしょ?』


少し腕を伸ばし頭を撫でると、それでも響は姉さんに縋るようにしてごめんなさい、ごめんなさいと続けていた。



『はいはい、まどか姉ぇはここにいるから。.....ごめんね一人にして』




俺達3人が部屋の前で待っていると、姉さんと鼻先を赤くした響が出て来ると、2人は親指を立て俺に言う


『お待たせ!』




「姉さん、遅れたけど...友達を紹介するよ」


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