第5話 Uranium Fever

Uranium Fever その1

3人の美女が床に眠るリビングでむくりと起き上がり、酔いの残る身体で軽装スーツを着てギャリーを出る。


墓に手を合わせた後、背伸びをして深呼吸すると辺りを今一度見渡した。


広大な砂の大地、ぽつぽつと砂から膝を出す岩々。空には宇宙望遠鏡を覗き込んだような幻想的な星々の光。


あの光と光の間の深淵には地球があるのか、まさか自分があんな星にホームシックを感じていることにハッとした。


「何もないけど、でも....ここでいい」


リキュールの余韻も最後に、言い聞かせるようにして口に出しギャリーへ戻り、未だ眠っている3人を起こすとそれぞれの寝起きの顔つきや仕草を今この瞬間自分だけが見ているという優越感が男としての欲望をどこか満たしていた。


昨日のプレートとは別の味を選び、それぞれが黙々と食べ終わりあまり喋ることもなくダラダラとスーツを身に着け、船へ向かいプラントルームへ入る。


中はテニスコート程の広さ、手前には光や湿度を調整し管理する部屋。


ビニールのれんで仕切られた奥には二人ほどが往き来できる幅の通路、それを挟むように上下に回る回転式の棚が両端にあり、


棚には空のセルトレーや植木鉢が固定され船の墜落時割れずにいたようだ。



土を通路の真中に起き、4人横並びになり皆どこか楽し気に土を入れ種を一つ一つ植えこんでいく。


あるだけの種を仕込み、プラントから出て管理システムを操作すると天井からミストが吹き出しすと中に充満し紫のライトが植物に当たる。


『順調にいけば明日明後日には実ってくれるわ』


「凄いな、あとは肉でもありゃイイんだけどな~」


『贅沢言わないの』


笑みを浮かべながら照美は宥めると、キルケーからの通信が入った。


〈失礼します、ここから126km先に墜落した船の半身を発見しました〉


響は俺の肩を寄せ言う。


『んじゃ、こいつ借りてくから』

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