概要
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「家族」という、一番近くて一番遠い他人。
繋がっているように見えて繋がっていなかったり、繋がっていないようでどこかで繋がっていたり。
言葉にすると想いと違う結果になってしまったり、黙っていたら伝わらなかったり、言葉にさせて貰えなかったり。
上手く距離を掴める人もいればつかめない人もいる、同じ家族の中でも。
同じことを言っているようでどこかがズレてる。
結果は同じなんだけど、途中経過が違う。
目指すものは一つなのに、どんどん広がって行く亀裂。
どうにもならない気持ちを毛糸玉に託す表現が秀逸。
ゆるゆるに巻いた毛糸玉と、かっちりしっかり巻いた毛糸玉、同じサイズでも全然重さが違う。それはまるで心の重さのように。
その固く巻かれた毛糸…続きを読む - ★★★ Excellent!!!優しい味で満たされていく、少女の心。
高校へ通うことができないユキノ。ある日彼女はタバコ屋さんのお家で不思議な「魔女」に出会います。そして、それをきっかけにユキノの中で少しずつ何かが変わっていくのですが──。
ちゃんと愛されているのに、こんなに沢山心配をかけているのに、当たり前のことが当たり前にできない自分。彼女の胸は締めつけられ、心の毛糸玉をどんどん絡ませてしまいます。それは、周りの大人のふとしたひと言だったり、視線だったり、そしてなにより、お母さんの「愛情」が、本当にユキノにとって相応しいものとはズレてしまっているから。そのもどかしさやるせなさ。主人公の母に対する複雑な感情が、まっすぐで正直な一人称によってこちらの胸にぎゅ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!美味しいは元気の源
他のニュースアプリで紹介されていて
読み始めたらとても好きで、ちゃんと読みたかったから
カクヨムのアプリをインストールして
全部一気に読んじゃいました。
タイトルの付け方も上手いなーって。
本屋さんに並んでいたら思わず手に取っちゃいます。
登場人物の皆さんが全部人生を一生懸命生きている感じが
とても愛おしいです。
出てくるご飯もとても美味しそうで、私でも作れそうで
目の前にこれが出てきたら私もきっと元気でる!
と思えるのばかりです。終盤の主人公が絶望した時の食の選択肢は
これからの自分の選択肢にも大きな影響を与えるだろうと思いました。
元気をありがとうございました。
登場人物みんなの幸せを祈…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「おいしい」と感じられた瞬間、呼吸が戻ってきたのかな。体に。心に。
フツウにすること、というのは、何なのか。鎖か、呪いか。
学校に通うこと。人と会話すること。何かをほしがること。
食べること。睡眠をとること。笑うこと。呼吸をすること。
フツウのことがフツウにできない苦痛は、言葉にならない。
ユキノは、不登校になってしまった自分を責め続けている。
母に対する息苦しさと後ろめたさと、自覚しづらい苛立ち。
閉じ籠もったまま、ぐるぐると、悪循環を繰り返す日々に、
突然、ちょっと変なマジョが不思議な料理とともに現れた。
英国育ちの若い男性マジョのニワトコさんは、料理上手だ。
ニワトコさんのホストマザーであるキワコさんも温かい人。
ユキノは、ニワトコさんやキワコさん…続きを読む - ★★★ Excellent!!!子育てに夢中な頑張り過ぎな母と、不登校娘の自立。そこに魔女が。
とくに、主人公の高校生の心の動きが上手い、とても上手にすくい上げられていて自然に物語の中に入れた。作者の視点は常に16歳の主人公とともに有り、悩み、問いかけ、自分の力で立とうとする。それを支えてくれる「魔女の大人たち」が優しい。とても💛心温まる物語。また、私の身の回りにも、多国籍結婚で子どものいる親せきがある。外見は異国人、中身は日本人。これからの人生をどう過ごしてゆくのか、ヒントになった。物語の次の展開、成長して高校生活を終えて、大学生になる主人公も読んでみたい。作者に、「魔女の修行時代の物語。」も描いて欲しい、魅力的な、登城人物たちが「私も舞台に立ちたい。」と言っているようだ。
- ★★★ Excellent!!!ひとりぽっちの少女は、魔女を仲間にした。
誰もが経験した、経験していなかったらちょっとラッキーかもしれない、「戦いたくない相手との戦い」。
ユキノはたった一人で、自分とも、母親とも、学校とも戦っていた。
みんなユキノの味方のつもりでいる。
でも、それはそれぞれが抱いている勝手なユキノ像の味方であって、本当のユキノの味方はしてくれない。皆が「ユキノ像」を守れば守るほど、ユキノはそのダメージを負って倒れてしまった。
でも、ユキノを本当の自分を見てくれる仲間を見つけだし、ささやかな反撃に出る。
ユキノ自身の成長だけでなく、本当のユキノが見えない母親達の成長も見守って欲しい成長物語。 - ★★★ Excellent!!!ひとつひとつ、丁寧に
不登校になってしまった女子高生が、ある日現われた『魔女』によって
少しずつ心を研ぎほぐされていく物語。
どこかぎこちない家庭内の描写は淡々としつつ、少しずつ真綿で首を絞められていくような息苦しさを克明に伝えてくる。
かつて親と境界のなかった――あるいは境界を作っても、当たり前のような顔でそれを乗り越えられてきた子供たちにとっては、ユキノと母親のやりとりの一つ一つが心にちくりと刺さるかもしれない。
そうして強張ってしまっていたユキノの心を、ニワトコさんやネコばあさんを初めとした人々が優しく解きほぐしていく。そして彼らとの交流でユキノは生きる道を見出し、外の世界とも少しずつ向き合っていく。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!悩める大人にも子どもにも、魔女のレシピを
図書館へ行くとよく児童書フロアにも立ち寄ります。寺村輝夫、安房直子、赤木かん子のアンソロジー。懐かしい本を読みふけってしばし、中高生を対象とした今の時代にフォーカスした本も平置きにされて紹介されていることに気付かされます。他の方も仰っていたかもしれませんが、そのうちの一冊を手に取った、そんな心地です。
世界名作劇場の戦争や貧困や別離に翻弄される子がいれば、現代ならではの悩みや苦難がある。魔女との出会いと料理作り、人との縁に、少しずつ転がる主人公の心。彼女が母親との関係で抱える問題に、助けを求め、手段を考え、備え、自ら解決に向かって踏み出す様子は、こちらも息を飲みました。大人にも子どもにも薦め…続きを読む