のみすぎとゴブリンの裏事情

「お、俺様が一体何をしたというケロ…。」

こん棒を叩きつけられたカエルは大の字でピクピクしていた。

ボスは声で分かるっつーのと吐き捨てた後、こう続けた。

「馬鹿め!人間共の言葉くらい村の技能研修生時代に覚えたぜ!あいつら異民族だからって舐め腐って散々農場で俺らのことをコキ使いやがって!!」

「えっ、原住民の武装ゲリラって依頼人の村人からは聞いたけど。」

「あぁ!?あんな奴らの言葉を鵜呑みにしやがったのか愚か者共め。いいかお前ら耳をかっぽじってよく聞け。俺たちはな、ゴブリンの技能研修生グループだ。俺らは皆、ヘンピナ村の奴らに騙されて身ぐるみ剥されて寮という名の牢屋に入れられた。その中でもうまく逃げられた者たちがこうして洞窟に身を寄せ合い、本国に帰るためのチャンスを狙っている。だが国に帰るには身分証がいる。盗みは取り返すために仕方なくやったことだ。」


これ、私たち関わらない方がよかったんじゃないかなぁ…。

明らかに警察レベルの話だぞこれ。


「そもそもゴブリンの過激派って言った奴誰だっけ…」

「お、俺様は何も知らないでケロ!誤解だケロ!!」

くそ、味方サイドテキトーな奴しかいない。

全くもって真実が見えないじゃないか…。

頭を抱えていたら、横から声がした。


「お前らの事情はわかった。そして同情もする。

が、仕事は仕事だ。すまないがおとなしく捕まってもらおうか。」

「だとコラ…って、う、うわぁ!」

私とカエルを庇うように立ちはだかった忍者の姿を見たボスおっさんがうろたえている。これはチャンスだ。


「嘘がうまい原住民め、ここは俺様が魔族の本気魔法を見せてやるでケロ!

俺様の雄姿をしかと目に焼き付けるでケロ!エクスプロージョン!!」

謎のキメポーズ(笑)をしながらヒキニートが呪文を唱えた。


が、何も出なかった。


「おかしいケロ、設定では圧倒的な爆裂魔法が出て相手が消滅するはずケロが…おっと魔力が足りなかったケロ。」

「ケータイなんか充電してたからだろうがぁぁぁぁ!!!」

私はカエルを思い切り蹴飛ばした。

スッキリはしたけど、貴重な戦力がなくなってしまった。


駄目だ、終わった。

投げやりになった私は現実逃避に隠れて酒を飲むことにした。

ボス部屋にあった水を魔法で酒に変えたのでいくらでも飲み放題だ。

もうどうでもいいわ。

戦闘が終わるまで隠れて飲んでようそうしよう。


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