のみすぎと古代の封印

全裸忍者を追って私たちが隣の部屋に入ると、そこにはマスカット色に点滅するモノリス…もとい、ぬりかべ的な何かと、物凄い速さで反復横跳びをする肌色の男がいた。

この部屋だけなぜか明るかったので、本当に最悪な絵面とこんにちはしてしまった。

「ところでこの部屋、何か様子が違いますな。」

健さんが顎髭を撫でながら壁の模様を眺めている。

「健さんあんまり近づかない方がいいって。」

「ほうほうこれは…」

「ぬぉぉ、壁がヌルって!」

言ったそばから…と言おうとして振り向くと、手をヌルヌルにさせながらレントオール氏が震えている。

「ふむ。これは古代の封印だケロな。塗りこめた生物の脂肪が壁から浮き出てるだけ

でケロよ。蝋と一緒だケロ。大したことないでケロ。」

魔族基準からは大したことないんだろうよ。

思わず白目になった。

「誰か、誰かタオルを…!」

レントオール氏が真っ青な顔をしながら騒いでいる、当然といえば当然だ。

ハンカチしかないですが、とそっと渡してあげた。

めちゃめちゃ感謝された。

「しかしヒキニート殿、封印とおっしゃってましたが、ここには何が封印されていたんですかの?」

もっともな質問が健さんから出る。

「そ、それはケロ…」

「私だ。」

向こうの方からイケメンボイスが聞こえ、全員が声の方向を一斉に向くと

さっきのぬりかべが目の前に浮いていた。

「私の名は、ハヤグイ・ガシュミダ。お前たちの先祖からは『違法の存在』と呼ばれている者だ。」

違法の存在って…お前、古代からなにやってんだよ。

そう思ったのは、私だけではない、はず。

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