のみすぎと男の誇り
違法の存在、ハヤグイ・ガシュミダと対峙する私たちの後ろで、相手が移動したのも気付かずに一心不乱に反復横跳びを続けている成人男性がいた。
「ふはははは、この速さにはお前もついて来れまい…!」
目をカッと見開きながら頭巾一丁で汗を飛び散らせている肌色の物体は、ウチのチームの斥候、神速のモザイクこと全裸忍者だった。
「って、いねぇ!勝負から逃げるのかこの卑怯者め!!!」
すごい勢いで走ってきた。
「うわぁ…。」
最悪なビジュアルを見て、レントオール氏がドン引きしている。
わかるよ、私もだもん。
「男の誇りを汚す者には、死こそ相応しい!」
全裸がハヤグイの後頭部(?)に向かってきりもみキックをかました!
見事に延髄…的な所に当たったように見えたが、全く効いていないようだった。
「ふむ、いまのは何かね。」
相変わらずのイケメンボイスだ。
「む、この俺の忍術が効かない…だと。流石、俺が強敵(とも)と呼ぶ者。」
いやそれただの蹴りだろ。
そしていつライバル認定したんだよ。
「モザイク殿、面ではなく角を狙うのですぞ!」
健さんが敵の弱点を知っているのか、なんか的確そうなアドバイスをしてる。
「健さんどうして奴の弱点を知っているのだケロ…。」
お前の言いたいことはよーくわかるよ。
「よし、カドだな!」
忍者がハヤグイの左角に狙いを定めて、クナイを投げた。
が、次の瞬間、ハヤグイに向かって投げたはずのクナイが突然私たちの後ろから降ってきた。
「うわっ、危ない!」
「えっ、なにこれ!」
「何をするでケロ!」
間一髪でクナイを避けた…のではない。
横から出てきたゲソ足がクナイを弾いたのだった。
運動神経が事切れている私は本当に間一髪だった。危ない危ない。
「みなさん早くこっちにきてくだされ!」
健さんがうねるゲソ足の隙間から手招きをする。
どうやらしもべちゃんを召喚したようだ。
「ところでいったいさっきの飛び道具はなんなんですか。
あの覆面の方はノーコンなんですか!おたくら危ないのは恰好だけにしてくれ!」
危ない場所から離れ、シェルターの中(ゲソ足)に入ったからか
ホッとしたレントオール氏がキレ始めた。
わかるけど、「おたくら」と一緒くたにされるのだけはムカつく。
そこだけは一致していたのか、全員がムッとした顔をしていた。
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