のみすぎと人を選ぶ酔い止め

「まったく、仕事でなければ叩き出してるところですぞ。」

とプリプリしている健さんをなだめながら、私はレントオール氏をジト目で見た。

レントオール氏は全く意に介していないようだった。

ヒキニートは相変わらずケータイをいじっていた。

「たまには役に立ちなさいよ!自称最強の魔法使い(笑)なんでしょ?」

カエルは画面から一瞬顔を上げて

「貴様の言い方で俺様、傷ついたでケロ。女、頼み方をもっと勉強するでケロ。

そんなことでは社会に通用しないでケロな。やれやれ。」

やれやれポーズまでつけてドヤ顔してきた。くそぉ。

「御託はいいからさっさと片づけてきなさいよ最強(笑)!」

私は勢いに任せてぶりぶりとカエルをシェルター(?)から押し出した。

「貴様、後で覚えているでケロよ!」

カエルの遠吠えが聞こえたような気がするが無視しよう。

私は戦闘が終わるまでシェルターで優雅に飲むのよ。

「は、ハゲマントさん…酔い止めとか持ってませんか?私、シェルターのイカ臭が強すぎて、さっきから催しそうなんですが。」

ヒキニートを外に押し出したタイミングで、真っ青な顔をさせ片手で口許を押さえながら、レントオール氏が話しかけてきた。空気読めよ。

生憎、酔い止めなんてものは持って…って、あったわ一つだけ。

「人を選ぶと思いますが、それでもよければこちらをどうぞ。」

私は隠し持っていた小瓶のウイスキーを手渡した。自分用に用意した迎え酒だ。

「あっ、ありがとうございます…ってうわっ喉が灼ける!水!水っ!!」

レントオール氏の顔が附子色に変わり、えずく感覚が短くなってきた。

本格的にヤバい兆候だ。

シェルター内で吐かれるとまずいので、私は渋々シェルターの外に出ることにした。





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