のみすぎと踊り食い

「やれやれ、この俺様を危険な外に出すとはあのクソ女、戻ったらお仕置きが必要だケロな。どちらが上か、立場をはっきりわからせる必要があるケロな。まぁスタイルだけはいいから裸で躍らせてゲコ動にうpするのが妥当ケロな。」

ヒキニートはぶつぶつと文句をつぶやきながらゲソ足の方へ戻ろうとした。

その時、

「踊り食いはまだやったことが無い」

どこからかイケメンボイスが聞こえた気がした。

「…気のせいかケロ。」

カエルは歩みを止め周りを見回し、何も無いことを確認すると

ゲソ足の方へ再び歩き出した。


一方その頃、私はレントオール氏のゲロの介添をしていた。

ひとしきり吐いてスッキリしたのか、レントオール氏は苦情を言ってきた。

「ハゲマントさんですっけ。一体なんてもの渡してくれるんですか!

お陰で死ぬかと思いましたよ!」

死ぬかと思ったって大げさだなー。ただの酒じゃん。

心の声が顔に出てしまっていたのか、レントオール氏の顔が真っ赤になっていく。

色々と忙しい男だ。やれやれ。

何か言いだしそうなレントオール氏をナチュラルな感じに無視して

私はゲソの方へと戻ろうとした。


「見つけた。」

ななななんかイケメンボイスが聞こえた気がするんですけど…!

私は驚きのあまり10cmほどその場で飛び上がってしまった。


ゲソ足シェルターの前に、あの直方体が浮かんで何かしているではないか。


私は確信した。

ヒキニートも確信した。

こいつ…ゲソを、喰ってる!

某人型汎用兵器のような貪欲さでしもべちゃんの脚を掴み、

ぐいっと直方体の中に吸い込んでいく。

「わ、わしのしもべちゃんが…!!」

状況になすすべもなく打ちひしがれている健さんが

四つん這いになりながら叫び声をあげている。

「これが踊り食いというやつか。悪くない、悪くないぞぉぉぉ!」

ハヤグイの歓喜の声が響き渡る。

こっちはシェルターを食べられて大迷惑だ。

呆然としながら目の前の状況を眺めていたら、高速で近づいてくる肌色の物体があった。数話ほど出番の無かったあいつだ。

あ、横にきた。ホント、皆がピンチだというのに今までなにやってたんだろ。


「こんなとき、どうしたらいいかわかんねぇな。」

「笑えば、いいと思うよ。」

私は遠い目をしながら、全裸の忍者に告げたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る