のみすぎと食い物Gメン
あのあと、レントオール氏からの貰いゲロで辺りが酸っぱい臭いに包まれたり
ヒキニートがゲロの海に足を滑らせ自撮り棒ごとダイブしたりする事件(笑)があったが、無事に次の部屋へと移動することができた。
はー、つっかれたー。
これはもうあれの出番。もうアレしかないね。
エナジードリンコォ!
コッソリと持ってきたジュースをアルコールに変えておいたのだ。
今回はマスカットのジュースを私の唯一の特殊能力でアルコールに変えたのだ。
唯一というのがせつないけど。まぁここは棚上げしておこう。
うまくいっていればマスカットワインが出来上がっている、はず。
キャップを捻ってボトルに口を付ける。
マスカットの芳醇な甘さが口いっぱいに広が…らなかった。
ベタ甘い安っぽい甘さの変なアルコール飲料ができただけだった。
これなら甲類焼酎をお湯で割った方が100倍ほどマシだった…!
あまりのまずさに私はその場に勢いよくマズ汁を吐き出した。
「クンクン、甘い匂いがするでケロな。さては貴様、隠れ食いをしているケロな!
俺様にも寄こすでケロよ!!」
食い物Gメンを気取ったヒキニートが酒の匂いに気付いて迫ってきた。
ゲロまみれで。ゾンビパニックよりも質の悪い魔族だ。
「あんたなんかにあげる酒なんかないわよ!」
「女、俺様をナメていると粘液の僕にしてやるでケロよ。」
自分の被ったゲロを手にこそぎ集めて私に付けようと準備をするカエル。
どこまで卑怯な奴なんだ…!
よし、こうなったら
「ほらあげた!悔しかったらとってみなさい!」
酒のボトルを上に掲げて持ちながら、ゲロまみれのカエルを左右に避ける。
「小学生でも今時そんなちゃちなからかい文句は言わないでケロ!
女、幼稚園から教養をやりなおすでケロよ!!」
カエルがボトルを取ろうと目の前でジャンプしている。
小学生を相手にしてるみたいでウケるわー。
と思って避けていると、後ろから黒い影がサッと動き、私の持っていたボトルを掠め取って行った。ほんの一瞬のことだった。
「あ、あれ!?ボトルがない!!あんたなんか変な魔法使ったでしょ!」
「BBA、言うに事欠いたケロか!」
「いや、ちがうぞハゲマン。あの影は…」
「ハヤグイです!ハヤグイガシュミダがでました!!」
「なに!そうか、奴か!!」
レントオール氏の言葉を聞くやいなや、我先にと全裸が影を追って暗闇へとダッシュしていった。
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