のみすぎ、はじめてのおつかいをする

のみすぎとさわやかな朝

国民宿舎、くたびれ荘

私たちの冒険は、ここから始まる


さわやかな朝だ。

小鳥がチュンチュン鳴き、カーテン越しに夏の光が注ぐ

起き抜けのコップ一杯の水が、私に活力を与える


私の名前は酒野美杉(さけのみすぎ)、どこにでもいるフツーのアラサー

王様に嵌められて勇者候補として冒険者登録された意外は何の特徴もない適齢期の女

ちょっとお酒が好きすぎるのが玉に瑕かな☆


…ウッ

ヤバい、ゲロ吐きそう



私たちの朝は、二日酔いから始まる


ドンドン

「早くトイレあけなさいよ!後が詰まってんのよ!」

私は怒りに任せてボロい扉を蹴飛ばす。

バリッ

あ、穴が開いた。

あとでポスターでも貼っておくか。


ここは築50年を誇る国家公認の勇者候補(冒険者)の宿泊場、くたびれ荘。

年数が経っているだけあって名前の通りくたびれている。

マスターの輝さんにリフォームしないのかと聞いたところ

お値ごろ価格の滞在費が高くなるけどいいのかと返され黙るしかなかった。


ってそんな説明してる場合じゃないって。



酸っぱい臭いが喉の方までこみ上げてきて、ひゃっくりの様に咽る。

だが、その間隔も徐々に短くなってきていてそろそろ我慢の限界に達しそうだ。

朝から廊下をゲロまみれにする訳にいかない…!

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