のみすぎと心の準備

下水道に潜るには水道局の許可がいるとのことだったので、私たち一行は翌朝

忍者に引き摺られるようにして宿を出た。

「なんだお前ら、朝から元気ないな。絶好の捕り物日和だというのに。」

「昨日準備してて眠いのよ…出発はもっと後にしてよ。」

「俺様はデリケートだから朝は弱いでケロ。」

「ほっほっほ、ヒキニート殿、ハゲマント殿、二人ともまだ若いのにだらしないですのう。」

「一緒にしないでよ!」

「一緒にしないでケロ!」

こういう時だけは息がぴったりだ。なんだかなぁ。

「ハゲマンよぉ、お前は明日の準備と言って酒飲んでただけじゃないか。」

「心の準備よ!」

そこで援護射撃のように抉るのやめようよ!という目で全裸忍者を睨むと

「俺、ワクワクすっぞ。」

と某世界的アニメのバトルジャンキー主人公みたいなセリフが返ってきた。

勘弁してくれ。

「ヒキニート殿、昨晩は随分お楽しみでしたの。」

「おおおお楽しみとか俺様何もしてないでケロ!」

某国民的RPGの宿屋のオヤジかお前は!

健さん、そこはそっとしといてやろうよ…。

「『ひとりでできるもん!~はじめてのぱふぱふ~』なんて

俺様はそんなもの何も知らないでケロよ!見てないでケロよ!!」

カエルは動揺のあまり、言わなくてもいいことまで口にしてしまったようだ。

「人の趣味にとやかく言うのはアレだが、お前もうちょっとマシなの選べよ…。

今度俺の『実録・忍びの秘蔵コレクション』貸してやるから。」

そっちの方が気になる。



「さて、そろそろ見えてきましたぞ。」

健さんが指した先に、少し派手な色をした建物が見えてきた。

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