のみすぎと忍者の弱点

「ふむ、いい拡張でしたな。」

晴れやかな顔をしながら健さんが部屋から出てきた。

聞かなかったことにしよう。


「か、拡張とは何だケロ?」

震えながらヒキニートが健さんに質問する。

あ、そこ聞くんだ。

聞いちゃうんだ。

勇気あるなー。

「ヒキニート殿、いい質問ですな。限界を超えるために鍛練があるのですぞ!」

健さんから答えになっていないコメントが返ってきた。

いや、敢えてそう言わせてもらおう。

正 解 に 辿 り 着 き た く な い 。


始終無言のまま、私たちは洞窟の奥に進んだのだった。



「おっと、前の方から何か声が聞こえるぞ。」

前の方の暗がりを指して忍者が言った。

私たちは三叉路の西側に当たる方向をしばらく歩いていた。

そろそろ強敵が出てもいいだろう。尺的にも。

「ちょっと私たちさっきのでSAN値足りないから、先に様子見て来てよ。」

「うむ、俺様もちょっと休憩したいケロ。リアルで見るのはキツかったケロ。」

さっきの健さんの魔法を思い出してウッとなった。


「え、無理。」

裸マスクがいつもにないシリアスな声で答えた。

「貴様、ひょっとして忍者のくせにグロ耐性低いでケロか?」

「いやいや君一応忍者でしょ。偵察くらいササッと…」

「グロも大丈夫だし偵察くらいできるんだが、あの、ほら…

一人じゃ行けないからついてきて?」

「はい?!」

忍者が急にかわいこぶって内股になり始めた。

たちの悪い冗談だとも思ったが、様子からどうやら本気らしい。

「お前は小学生のトイレ行きたい女子か!」

「一人で偵察行けない忍者とかマジ終わってるでケロな。」

「モザイク殿、わしがついていきますかの?」

「それはいいです。」

なぜか敬語になっている。要らないだろうけど察した。

「もうこの際ジャンケンでいいだろ。お前らどっちか一緒に来てくれ!」

肌色が切ない声を上げた。

「はいはい。さっさと決めて休みたい、賛成。」

「俺様が負けるはずはないから賛成ケロ。」

「ジャンケンの鬼と呼ばれたわしの強さをみせましょうかの!」

なぜか健さんも参加していたが、自分に当たる確率を下げるのに黙っておいた。



「まだだ、まだ終わらんよ。」

「もういい加減勝負はついたケロ。観念しろ女!」

「ご、5回勝負だ!」

「ハゲマント殿、往生際が悪いですぞ。」

「ハゲマンいいからさっさと行くぞ。」

「いやだーーーーー!」


結局ジャンケンで負けた私がついていくことになった。

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