のみすぎと団体さん

「これでさー、いきなりドア開けてボスとかいたらウケるよねー。」

何の気なく開けたら、いた。


「お前、引きいいな。」

「えっ?」

「キィィ!」

鋭い声を上げてゴブリンの団体さんが襲い掛かってきた!

「うわぁぁぁぁぁ!!」

私は団体を見て腰を抜かしてしまった。

しまった動けない!!

「一旦撤収するぞ。」

「あ?え、うん。」

モザイク男の小脇に抱えられ私は部屋を出た。


あとの2人が待つところまで戻ると、忍者は私をドサッと地面に転がした。

「ふぅ。逃げるのに抱きかかえてたが、思ったより重かったなハゲマン。」

「体のことは、言うな。」

私はモザイク野郎をぎっ、と睨みつけた。

「貴様らの漫才はいいから、さっさと偵察してきた部屋の事を話すでケロ。」

ヒキニートにはげんこつを張っておいた。


カエルの粘膜でぬめった拳をハンカチで拭きながら、さっきの緑色の団体がいる部屋の近くまで移動する。

「イテテテ、このパーティの主砲の俺様をもっと敬うでケロよ。」

「お前何もしてないじゃん…。」

「これから活躍するでケロ。異国に転移したヒーローは仲間のピンチの時に隠された力を覚醒させ、圧倒的な力で華麗に勝つのが定石だケロ!俺様のことだケロ!!」

「せめて戦闘せずに穏便に解決できればいいんだけどな。物資を渡して立ち退いて貰う交渉をするとか。」

「言葉の壁がねー。」

「貴様ら無視かケロ!」

「そういえばどうしてお前は俺らと会話できるんだ?」

一糸まとわぬ男がヒキニートに尋ねる。

「あぁ、それは、この国のアニメやゲームをいち早くチェックして紹介するのに言葉が必要だったから覚えたでケロ。お気に入りのアニメを見ていると心がぴょんぴょんするケロぉ。」

好きなアニメでも思い出したのか、ポワワンと嬉しそうな顔をするカエル。

「あんたさぁ、こないだ人間の女はダメとか言ってたじゃん。」

「二次元は別腹だケロ!」

「ところでお前、ゴブリンの言葉はわかるのか?」

「魔界の標準語はあるから通じなくはないケロ。」

「あんた交渉してきなさいよ!」

「われわれにはヒキニート殿だけが頼りですじゃ。」

「やれやれ、貴様らのような下等生物のために魔界のエリートたるこの俺様が一肌脱いでやらんこともないでケロ。女、ひとつ言っておくが貴様は頼むときの物言いにもっと気を付けるでケロよ!」

下手に出ればこいつは…。

「さすが魔界のエリートは心が広いですな!」

健さんのよいしょを真に受けて調子に乗ったヒキニートは、意気揚々としながらゴブリンの団体がいる部屋へ突入して行った。


健さんおそるべし。

「亀の甲より年の功ですぞ。」


--5分後--


「ダメケロ。訛りがひどくてよくわからなかったでケロ。これだから自治区に住む先住民は。」

魔界のエリートしっかりしろよ!

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