のみすぎとボスの部屋

「おい、お前ら聞こえてるぞ。放っておけば言いたい放題言いやがって。」

ブチ切れたゴブリンの怒声が扉の向こうから聞こえてきた。

「ゴブリンって言葉通じないんじゃなかったのか。」

「外国語でも小馬鹿にされてるのは分かるっていうじゃない。

そういうのに敏感なタイプなんだよきっと。」

「やれやれ、これだから被害者意識の強い未開人は困るケロ。」

「ヒキニート殿、火に油を注いでおりますぞ。」

「もう我慢できん、お前らそこにいるのは分かってるんださっさと出てこい!!」

さっきよりも怒声が激しくなっている。

「あんたのせいよ!なんとかしてきなさいよ!!」

「うるさいケロよ、俺様の見せ場は終わったから次は貴様の番だクソ女!」

カエルが私をドアの方にぶりぶり押し出した。

一番乗りでボス部屋に入るわけにはいかない。ここが踏ん張り時だ。

私はドアを背に一生懸命踏ん張ったが、その瞬間ドアが開き、

私とカエルは転がるようにしてボス部屋へと雪崩れ込んだ。


「よぉ。」

眼鏡をかけた緑のおっさんがこん棒を片手に超笑顔で話しかけてくる。

こいつがおそらく今回のボスだろう。


「やっと、会えたな。」

出会い頭にこん棒で壁ドンしてきた。

「ひぃっ!」

私は恐怖に尻餅を付きながら横にずれた。

やめようよこういうの。マジで。

ヒキニートの方を見るとアイコンタクトで「こいつボス」って言ってる。

そんなこと状況からわかってるから早く魔法なりなんなり打ってこの状況をなんとかしようよ、と同じくアイコンタクトで返すもニヤニヤ笑うだけであいつには全く伝わってはいないようだ。


「よくも散々コケにしてくれたな。この分の落とし前は帰る前にキッチリつけて貰おうじゃないか。」

「こ、こいつがやりましたケロ!」

こいつ、速攻で仲間を売ったぞ…!

「このクソニート!お前!!」

「俺様は常に強い者の味方だケロ。残念だったな。己の不運を呪うがいいケロ。

ボス、このBBAどうしましょうか、ケロ。」


緑のおっさんはヒキニートを一瞥するとこん棒で殴り倒した。

おっさんナイスだ。



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