のみすぎと俺の大事なもの

「貴様、この腹痛を直せるというのか…イタタ。」

違法の存在は、直方体をこんにゃくのようにしならせ色を変えながらこちら側を向いた。色を変えているのは人間でいうところの表情的なものなのだろう。ころころと忙しいやつだ。


やれやれとしたポーズをキメて悦に浸っていると、その姿を見て横からやれやれとした表情で「おい、早くやれよ」と忍者が声をかけてきた。せっかちはモテないぞ!と心の中でつぶやいたら、「昼も夜もせっかちはモテないですぞ」と健さんが肌色の忍びに声をかけていた。そんなところでシンパシーは感じたくはなかった。


まぁいい。

「ハヤグイ、その腹痛を私の魔法でなんとかしてやろうって言ってんのよ!」

私は点滅する違法の存在に声を張った。

「なんでもいい、この痛みから逃れられるのであれば早くしてくれ!」

「態度次第ね!」

こういうのはナメられるとダメなのだ。


「俺の大事なものを貴様にやってもいい、頼む…!」

「誠意が足りないなぁ…(チラッ」

「どちらが悪役だケロ…。」

「そ、そうだ!お前たちに古代のオーパーツをやろう!」

古代のオーパーツ、だと…?


オーパーツ。それは古代のロストテクノロジーがぎっしり詰まった夢とロマン溢れる素敵アイテム。水晶のドクロ然り、恐竜の土偶然り、幼い頃に某オカルトマガジンにワクワクし胸をときめかせた人も多かったはずだ。私もそのクチだった。

そ、それをくれるというのか…!

めちゃくちゃソワソワしながらニヤニヤしていると、「ここに不審者がいます」と肌色の男から突っ込みが入った。不審な格好をした者に言われたくなかった。


「うほほ本当にそれをくれるというのか?」

私は思わず声が上擦ってしまった。

「ゴリラとの合いの子のような声を出す女よ、違法の存在と呼ばれて久しいが俺は約束は守る。」相変わらずのイケメンボイスだ。しかしハヤグイなんとかよ、私はちょっと喜んだだけで、決してゴリラとのハーフではないぞ!と声を大にして言いたい。

言うとクソカエルが揚げ足取りをしにくることは必至なので黙っておくが。



「…よしわかった!転送!!」

頷くまでにちょっとした間はあったが、私は勢いよく頷くと魔法を発動させたのだった。

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