のみすぎとまごころの人材派遣

洞窟内の倉庫の中を調べさせてもらう。証拠がないか探すためだ。

「いいものが全く無いケロ。ここ、シケてるケロな!」

ヒキニートが物色しながら途中で見つけた可愛い柄の木綿のパンツをそっとズボンのポケットにねじ込んでいるのが見えた。

「これこれヒキニート殿、不正の証拠を探しに来たのですぞ。

ささ、早くさっきポケットにしまったパンツを元の所に戻してくだされ。」

指摘されたカエルはいまいましそうな顔をしながら、さっきくすねたパンツを

ズボンから出して大切に守るようにギュッと握りしめた。

「1枚くらい俺様に対する村の幼女からの謝礼として頂いてもいいはずだケロ。」

ふんぞり返りながら言い放ったよ、このクソカエル。

「ふむ…。ヒキニート殿はそのパンツを女児の物だと確信して憚らないようじゃが、そのぱんてーはわしが鑑定するに幼女のものではないですぞ。」

健さん、召喚の他に鑑定スキルも持ってるのかすげー。私は感心した。

「な、なんだと…ケロ。百発百中の俺様の幼女レーダーからは、ロリババアの匂いがプンプンするケロよ!」

なんだその幼女レーダーって。そんな危険な物、世の中のために早く狂ってしまえ。

「ロリババアは正解じゃが、残念ながらこれはロリータ趣味のリアル婆の持ち物ですじゃ…。」

ヒキニートの顔が凍り付き、宝物のように握りしめていたパンツをそそくさと元の場所に戻した。

「あ、危ないところだったケロ…健さんは俺様の命の恩人だケロ!」

「ほっほっほ、礼には及びませんぞ。」

2人はがしっと固い握手を交わしていた。


…ふぅ。


アホは放っておいてさっさと探そう。

日用品が乱雑に積まれた山をガサガサとかき分けていると、何やら怪しい書類があった。さらっと目を通したところ、どうやら売買契約書の控えのようだ。

「これ、怪しいんじゃない?」

私は忍者に見つけた書類を手渡す。

「おお、サンキュ。この書面に見覚えはないか?」

「あぁ。この国の文字はわからんがこの判は見たことあるぜ。」

ボスと忍者と私の3人で覗き込んだ書類には、まごころの人材派遣 フルスペックチートと書いてあった。

これは怪しい。絶対に怪しい。ブラック会社勤務が長い私の勘がそう告げている…!


中身を詳しく確認すると、それは人身売買の契約書だった。

ボスからの話も総合すると、どうやら派遣されるゴブ側には労働者派遣の契約を

雇用する村側には売買契約書での契約を結んでいるようだった。

「これは立派な証拠になるぞ。よくやったハゲマン、俺の心友!」

と、忍者は嬉しそうに私の背中をばんばんと叩いた。


全裸の友達なんか、いない。

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