のみすぎとビギナーズラック
後ろの方で伸びている健さんに声をかけるが返事はない。
「仲間がいるから俺は強くなれる!よくも健さんを!」
と言いながら肌色の奴がボスの前で高速反復横跳びをしているのが見えた。
速さに拘るだけあって、肌色が2人に見える。汚い残像だなぁ。
おっと見ている場合じゃなかった。健さん健さんっと。
「健さん、おきてー。」
ううん、と寝ぼけ眼の声は出たがまだ目覚めないようだ。
水でもかけたら起きるかしら。あ、でも今酒しか持ってないわ。
まぁいいか、かけちゃえ。
穴から手で掬って数杯程度をかけたところでむせながら健さんが目を覚ました。
「若い者にはまだまだ負けんぞ!って、ハゲマン殿一体何を
…うわっ酒臭いですぞ!」
「よかった健さん目を覚ました。この酒は気付だよ。」
嘘も方便だ。
「お前らそこで何をしている!」
ヤバい、ボスが気付いてこっちに来る。
しもべちゃん今お風呂らしくて来れないって言われた…と落ち込んでる健さんの手を引き逃げようとテンパってる私達を見て、「逃がさんぞ!」と、
こん棒を構えてまっすぐに走ってきた。
が、穴があることに気付かなかったようで
ボスは情けない声を上げながら酒の海にダイブしていった。
うわぁ、パニックを起こして立てる高さなのに溺れている。
これこそ本当に酒に溺れるというやつだ。すげー。
暫くして、真っ赤になって気を失ったボスが穴から顔を出した。
浮いてきた、というほうが正解な気もする。
とりあえず気が付いた時に抵抗しないように縛っておこうか。
まさか、サービスで入れておいた酒がボスにクリーンヒットするとは。
地獄への道は善意で舗装されているとはいうけれど、まさか当事者になるとは思わなかったなー。人生、まさかまさかの連続だなー。
…ま、まぁ。なんというか。
合掌。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます