のみすぎと古代のオーパーツ

「こ、これは…」

「おぱんつだケロ!俺様の幼女レーダーがぐいぐい来ているケロ!」

「誰だよ、古代のオーパーツって言った奴…。」

ハヤグイなんとかのくれたものは、古代のオーパーツではなく、古代のおぱんつだった。小躍りするヒキニートを横目に、残りのメンバーは脱力感に打ちひしがれていた。


「ま、まぁ貰い物だし、ほら、ね!」

微妙すぎる空気を払拭するように言葉を絞り出した私は、ぎゅっと握りしめてうっとりしているヒキニートの手からおぱんつをもぎ取った。

「あぁっつ、何をするでケロよぉ!」

ヒキニートの声が廊下に響いた。そんな悲痛な声出すなよ。


両生類のぬくもりとぬめり気を帯びた布はどう見ても女性用のパンティだった。

「ほらハゲマン、女性装備だろ早く穿けよ。」

「嫌だよ!なんか変な病気とかついてたらと思うとぞっとするわ!」

「ハゲマント殿、ここはひとつトイレで着替えてみてきてはくれんかの?」

「BBAが穿いたらあまりの汚さにおぱんつ様から幼女のオーラが消えてしまうでケロ!」


なんだよ幼女のオーラって。

「その幻想をぶち壊してきてくれるわ!」

私は啖呵を切ると、いつもよりも少し大股でトイレへと向かったのだった。


――― 10分後 ―――


「なんかサイズがきつくてダメだったわ。」

ズボンの上から古代のおぱんつを装備してみたものの、特にこれといった変化は何もなかった。

「あぁっ、おぱんつ様こんな無残な姿になり果てて…おいたわしいでケロ!」

よよよと泣き崩れるヒキニートを無視し、華奢な作りの布をそっと忍者に手渡した。


その後、他のメンバーも入れ替わり立ち替わり装備をしてみたものの、これといった効果は何も起きなかった。

「試してみましたが、頭装備でも体装備でもなかったようですな。」

「持つと異様なフィット感があるのだが素早さが上がるのかがわからないのが悩みどころだな。」

「俺様、おぱんつ様の喪に服すケロ…。」


ま、まぁひとつダメでも、私だけ貰ったアイテムがあるしいいか…とその場は皆に会話を合わせておいて、見られないようにトイレでそっとほくそ笑みながらアイテムの確認をしたところ、胆石のような何かだった。

溜息しか出なかった。


とりあえず皆で酒でも飲んで悲しみを癒そうということになり、食堂に移動することにした。勿論輝さんからは依頼について突っ込まれはしたが、

「俺たちには太刀打ちできなかった、奴からは動力源のこの石を奪うのが俺たちの全力だった。」

「わしのしもべちゃんが食べられてしもうた…」

「運送会社時代に磨いた転送魔法を使ってはみたものの、奴から動力源を抜き取っただけで終わってしまったのよ。」

「オヤジ、このクソ女嘘をついているでケロよ!信じちゃダメだケロよ!!」

「なに本当か」

「こいつ何もしないでケータイいじってました。」

「…。」

「…ごめんだケロ。」

と全力で言い逃れて、ただの大きな胆石を輝さんに渡して強引にクエストクリアに持ち込んだのだった。


後日、ツケの足しにとこっそりおぱんつを鑑定に持って行ったところ、まさかの武器(ブーメラン)扱いだったということをここに記しておくことにする。

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誰も得しない(仮):冒険者編 @yu_3122

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