のみすぎと裸絞め

洞窟に入って懐中電灯をつけようとごそごそと鞄の中を漁る。

が、元々観光用に整備された洞窟だったので意味がなかった。


「おーい交代だぞ…って誰だお前ら!」

って言っているような気がした。

入口で倒した緑の小さいおっさん、ゴブリンの別の個体に早速見つかってしまった。

自分に近しい種族だったらちょっとの顔の差はわかるけど、

ゴブリンの差なんかわかんないから…。

ゴブリンが明らかにヤバい奴らが来たと震えている。

わかる。

私も逆だったらそう思う。

急いで仲間のいる部屋に駆け込もうとしたゴブリンの首根っこを

忍者が捕まえ、後ろから抱き着くようにそのまま裸絞めに持ち込む。慣れてるなぁ。

ぐぅ、というくぐもった声をあげゴブリンは動かなくなった。

「裸絞めだ。気道を絞めるのではなく頸動脈をメインに絞めると、こうやって相手を気絶させることができる。腕力がなくてもできるから、ハゲマンお前も自衛のために覚えたらどうだ?」

「いや、いいっす。」

速攻でお断りした。


泡を吹いてドサっと倒れたゴブリンをヒキニートが蹴っている。

「こいつめ!俺様に歯向かうからこういう目に遭うんだケロ!!」

「お前何もしてないじゃん…」

全裸忍者が呆れながらも、おもむろにゴブリンの服の中をまさぐりはじめた。

「えっ。(何するつもり?)」

「えっ。(まさかそっち側ケロか?)」

「よし、ここだな。」

「そこがイイところなのですな。」

健さん切り込んだー!


「あ?俺はノーマルだぞ。」

一番アブノーマルな格好をしている奴が何を言うのだと思って引いていたら

単に鍵とか通信機を持っていないかを確認し、回収しているだけだった。

あぶないあぶない。


「ん、通路が騒がしいようだが?」

「おーいお前どうした?」

多分そんな感じだろう。声がする。

詰所のゴブリンたちがどうやら気付いたようだ。


「今のうちに移動しますぞ」

健さんが何事もなかったかのようにしれっと切り出した。

そうだよ。

めっちゃ戦闘した気になっていたけど、まだ入り口だったよ。

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