のみすぎと一肌脱ぐ男


簀巻きにしたボスをぺちぺちと叩いてみても一向に起きる気配がない。

もしかして:急性アル中

ゲロで気道を塞がないように角度を変え、体勢をずらしながら横に寝せ直した。

いつもやっていることなので手馴れたものだ。

部屋から漂う強烈な酒の臭いに、部屋の外にいたゴブリン達もボス部屋にぽつぽつと入ってきた。今更感がパないけど、様子から見るにおそらく非戦闘員だろう。

「あいつらどうするんだ?」

「俺たちのボスを倒されたと残党に暴動を起こされ、連続戦闘するのはキツいですな。」

うむ、と忍者は大きく頷き

「依頼でやむなく倒してしまったが、こいつらの事情を聞くと一肌脱いでやりたい気持ちもあるな。」

貴様はこれ以上何を脱ぐというんだと言った後に、

「やれやれ、俺様が言葉も不自由な貴様たちのために一肌脱いでやるケロ。

有難く思うケロよ。」

待ってましたと言わんばかりに会話に割り込んできた。


「今度は嘘はなしで頼むぜ。」

「俺様に任せて大船に乗った気持ちでいるケロ!」

泥船の間違いじゃないだろうか…。


「とりあえずまず、他に人間の言葉がわかる人がいないかだけ聞いてきてよ。」

不安な気持ちしかなかったので、頼んでも被害が出ないレベルのリクエストを出した。

「女、グレートな俺様の申し出に水を差すなケロ。貴様は俺様のやる気を削ぐことにかけては天才的だケロな、そこだけは褒めてやるでケロ!」

という憎まれ口が返ってきたが、万能の俺様でも耳は2個しかないケロからな、とちゃんと聞いてきてくれるとは約束してくれた。


大丈夫なのか…。

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