のみすぎとゲスい道

気を取り直して下水道に入ることにする。

下水道は、てっきりマンホールからそのまま入れるのかとばかり思っていたが、

どうやら管理用の入口というものがあるらしい。

鉄格子の南京錠を開け、教えて貰ったパスコードを入れて下水道内部に入る。

「パスコードが『gesui』はさすがに安直すぎると思うんだ…。」

ゴゴゴと低い音を立てながらスライドするドアを見て、私は思わずつぶやいた。

「役所らしいといえば役所らしいが…まぁそんなことはいい、早く行くぞ。」

さっきから横でウズウズしていた全裸の男がダッシュで潜って行った。

が、すぐに戻ってきた。

えっ…何か忘れ物でもしたの?それとも何かいた?と聞こうとした矢先

「なんでお前らすぐついてこないんだよ!俺だけだと先に行けないじゃんかよ。」

おい。

「…モザイク殿は、ぼっちが怖いんじゃったな。」

と健さん。

そういえばこないだそんなこと言ってたよなー。認めたくない事実だけど。

「一人で動けない忍者ってクソだケロな。」

ヒキニートが吐き捨てるように言った。

まったく同感だよ。だけどお前が言うな。

はー、かといってここで先陣切るのは嫌だし、やっぱ私が助け舟を出すしかないのか。

「はいはい一緒について行くから、何かあった時は守ってよ?」

全くキャラに合わないような可愛い口調で言ったので若干目が泳いでいたが、そこは勘弁してもらえるだろう。


「ハゲマン…具合悪いなら早めに言えよ?」

「BBAのぶりっ子はキモイでケロな。」

「無茶しやがって…と言ったほうがよいですかなハゲマント殿。」



ちきしょーーーーーー!!


私は恥ずかしくなって、下水道の暗闇へとダッシュしたのだった。

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