のみすぎと俺の嫁

バイトが終わり、くたびれ荘に戻って食堂で輝さんから貰ったアレを食べていると、

「女、今日もご苦労であったケロ。俺様の可愛い嫁たちの新装備を買うのにありがたく使ってやるから貴様のバイト代を俺様によこすでケロよ!」

中二病とロリコンという不治の病を2つもこじらせた、魔界カエルのヒキニートが現れた。

本当はヒキガエルのニートというが、語感がいいのでヒキニートと呼んでいる。

なお、ニートとは魔界の言葉で「無垢な魂を持つ者」らしい。絶対に嘘だ。

新章が始まって少しは心を入れ替えたのかと思ったが、このクソカエルは、ケータイのゲームの課金をするのにバイト代をよこせという安定のクズっぷりを発揮してきた。カエルのくせに嫁何人いるんだよ。

こういう時のお約束は、「とりあえずグーで殴っとけ」だ。

「イテテ!このクソ女、腕力にものを言わせて俺様のイベント攻略を阻止するとは許されないケロよ!慰謝料として明日のバイト代も俺様に献上するでケロ!」

カエルが頭を押さえながら何かを言っている。無視だ無視。こういう時は無視に限る。

「おやおや、賑やかですが何かありましたかの?」

そこにひょっこり顔を出したのはチート老人の健さんだ。

どのへんがチートなのかというと、この国であまり持っている人がいない召喚魔法を使えるところだ。ちなみに彼の召喚獣はしもべちゃんというが、自信のあるパーツしか出さないシャイな娘なので全体がどんな形なのかは、みんな知らない。

想像の範囲から出ることはできないが、健さんの本名が倉田健一といい、BAR・不毛地帯での常連時代のあだ名がクラーケンということから、きっとイカなのではないかと噂されている。

「健さん、このクソ女が性格悪すぎて俺様のピンチを助けてくれないでケロよぉ。」

目をうるうるさせながらナチュラルに嘘をつくカエル。

健さんは、なんと、と大げさに驚いた後にこう続けた。

「ヒキニート殿、ピンチとは?もしこのわしに助けられることであれば力になりますぞ。」

「実は女の子を助けるためにまとまったお金が必要なんだケロ。俺様、困っている女の子がいたら正義で心が疼いて放っておけなくなるでケロ!」

「なんという立派な御仁じゃ。少ししかありませんがこれを人助けの足しにしてくだされ。」

健さんは懐からお札を数枚出すと、ヒキニートに手渡した。

「ありがとう健さん、健さんは世知辛いこの世の中に現れた天使だケロ!」

魔族にも天使の信仰はあるのかと疑問を投げかけるよりも早く、

ヒキニートは健さんから貰ったお札を握りしめ

「臨時収入ゲットだケロ!待ってろ俺様の嫁たち!!」

と言い、猛ダッシュで階段を駆け上がって行った。


こども銀行券とは知らずに。

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