絶倫のレヴァンテイン〜前編〜


またやってしまいたした。村雲氏との会話から生まれた問題作。

戦慄のレヴァンテイン第二章、十五話を性的に改変した内容です。

氏の懐のでかさに感服

レヴファンのお方には不愉快な描写が多々含まれているので、ブラバを推奨します。

要は、メリ×スレの悪夢が再びです!


――――――――――――――――――――




『次はキミだよ! JDッ!!』



 ダインスレイフの真紅のモノアイがこちらに近付いてきたのか、それともこちらが吸い込まれたのか。JDは錯覚した。


 ぐんと接近した深緑をたたえた機体は、そのまま手にしたヴァイブをメリッサ・グラムへと突き付けんとする。



「くッ……!」



 一時距離を取ろうとJDは瞬時に機体を後退させた。尚も性神は猛追する。



『待ってたんでしょ? キミも。だから来てくれたんでしょ? 風俗店ここに!』


「女子大生えええええ!!」



 下がりつつメリッサ・グラムはヴァイブを引き抜き、振るう。


 性欲を体現したヴァイブと迫り合い、舞った火花はネオンに溶けた。



『違う、違うんだよ。そんな荒々しい性技じゃないんだよ、キミを高みへと誘うのは。……もっと静かな、カラダの奥底から湧き上がるような……さあッ!!』



 互いの機体に搭載されたカメラアイの光が交錯する中、対の棒が絡み合い、歪な金切声を細く、長く上げる。


 級の握る男性器コントロール・レバーが意図する方向と逆の力を返す。それだけ目前の忌まわしき機体、ロキの駆るダインスレイフの精力がやや勝っているということか。



 ──だからって……。



「だからってなあ!!」



 腕から手の平へと力を渡し男性器コントロール・レバーを。腹の底から足の裏へと力を渡し脚コキ《フット・ペダル》を。渾身の力で以て押し込む。


 メリッサ・グラムの腕部装甲の奥から不協和音が響き渡り、脚底部のレッグ・スライダーは本来の方向に進めないことに苛立ったかのようにアスファルトから煙を上げる。


 拮抗した性と性。


 いつ、どちらかがそのバランスを崩してもおかしくはなかった。



『わからないヤツだな、キミも! もっと自分に素直になりなよ! 興奮を精力に、快楽を快感に変えるんだ! ボクは! 本当のキミとヤリ合いたいんだよッ!』


「ふざけるなあッ!」


『またひとり、誰かをヤラなきゃなのかい? そうでもしないとキミは昇天しないと?』



 ダインスレイフは突然鍔迫り合いを解くと間合いを空けた。


 静かに屹立するその姿、その雰囲気に圧され、級の動きも止まる。



『くっくっ……本当にキミは世話が焼けるヤツだね。なら、教えてあげるよ』



 ロキの乗るダインスレイフは、手にしたヴァイブの切っ先をソープの方へ向けると、湿った声音で語り出した。



『キミのオトモダチさ……今、あそこでイキかけてるよ?』



 級の全身の血管が大きく脈打つ。


 流れる血潮が沸騰するかのような感覚。


 眼帯の奥に眠るかつての左眼が熱を持ち、疼き出した。



『イキかけてる……いや、もしかしたらもうイってるかもしれないね? 本当は一発で仕留めたかったんだけどサ。口に一発、尻に一発。いやー、すごい出血の量だったよ? ボクたちが出る頃には意識も途切れ途切れな感じだったし』


「…………」


『でもでも? もしかしたらまだ生きている……かも? ほらほら、まだ生きてるなら早く行かないとイっちゃうかもよ? 生きてるかな? イってるかな? どっちかな? ……くっくっ……なるほどね、こう使えるか……ならさっさとイカさなくて正解だったね! さあ、JD!! 早くボクを仕留めないと、オトモダチがモノになっちゃうかもよ? 貞操を確かめたいなら! 本当のキミで! この、ボクを──』



 舌舐めずりをする不快な音が、級の身に付けたインカム越しに鼓膜を震わせた。



『──もう一度、イカしてみせてよ』


「貴様はあああああああッ!!」



 その語気は、まさに怒りそのものであった。


 その思いに応えるかのように、メリッサ・グラムの両脚側面部のグリューエンラケーテⅡのハッチが勢い良く開き、白濁液マイクロミサイルが十重二十重に放たれた。



『このミサイル……覚えてるよ……! 忌々しい記憶……ボクがイった元凶ッ!!』


「ならばもう一度イカ! 地獄に落ちろッ! 貴様の存在そのものが……元凶なんだよッ!!」



 ダインスレイフは左右に後退しながら器用にタンパク質と水分の雨をかわすと、両腕をメリッサ・グラムへと向ける。黒一色のシールドの陰から砲門が覗く。



「──ッ!」


『イケ』



 一対の禍津の光が奔流となって撃ち放たれた。


 すんでの所でメリッサ・グラムを捻らせるように回避させ、ダインスレイフへとひた走る。背後で爆発と熱を感じた。


 反撃とばかりに左腕の内蔵型指テクマシンガンが火を吹く。発射炎マズルフラッシュの花が闇夜の中で咲いては散り、互いの機体を照らしては動作をコマ送りにさせる。



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