ぼくらのゲーム大戦


 子供の頃、よくわからないその場のノリだけで楽しんでいた遊びってありませんか?

 これは作者自身が実際に遊んだ、てきとうなルールの遊びを脚色したものです。

 いつ遊んだかって? 大体二十歳ぐらいかな。

 

――――――――――――――――――――

 

 何処かの町の何処かの公園、そこで二人の男子小学生が向かい合って立っていた。

 両者の間に漂う空気は剣呑で今にも掴みかかりそうな雰囲気だった。

 

「行くぞ健太!」

 

「来い! 宗太!」

 

 宗太と呼ばれた少年が鞄からケースを取り出す。それはあらゆるジャンルのゲームソフトだった。

 同じく健太もゲームソフトの入ったケースを取り出す。

 

「今日こそは健太に勝ってやる。俺のターン! ドロー! フィールドに『ファ〇コンウ〇ーズ』を召喚! ターンエンド!」

 

 フィールドにウォーシミュレーションの名作がセットされる。

 

「堅実だな、だがそれでは勝てない! 俺のターン! 『提〇の決断』を召喚! 『フ〇ミコンウ〇ーズ』にアタック!」

 

「なに! まさか同ジャンルのゲームをぶつけて相打ちを狙うつもりなのか!」

 

 宗太の考えは正しい、両者のゲームは墓地(と書かれた袋)に送られた。

 そしてがら空きとなった宗太に健太が追い討ちをかける。

 

「更に俺はフィールドに『ド〇ゴンク〇ストIV』を召喚! 特殊効果、カジノコイン838861発動!」

 

 その瞬間宗太の口がニヤリと微笑む。

 

「甘い! トラップカード『リメイク』を発動! これにより『ド〇ゴンク〇ストIV』はPS版にリメイクされる。つまりカジノコイン裏技は使えない!」

 

「やるな宗太、だがリメイクを発動したら、次のターンはそのリメイクしたゲームハードしかだせないぞ。俺はターンエンドだ」

 

「わかってる、俺のターン! 『ファイ〇ーウ〇マン纏組』を召喚! 更に『ジ〇オール』、『ガ〇パレード・マ〇チ』を召喚! 一斉攻撃だ!」

 

 宗太の怒涛の連撃が健太を襲う、更にこの三つのゲームは全て自由度の高いゲームのためコンボが発生し、追加ダメージを健太に与えた。

 

「健太、お前に一つ言っておく。穂乃果とカルラとののたんは俺の嫁だ! ターンエンド」

 

「ファーストアタックを決められるとはな。俺のターン! 魔法カード『アク〇ノートの休日』と『ワ〇ルドネバー〇ンド』を発動、これにより俺の体力は全て回復する。無駄な攻撃だったな」

 

 宗太は露骨に舌打ちをした。

 

「『ベ〇ボーマン』、『ワ〇ダーモモ』、『源〇討魔伝』、『魔〇村』を召喚、アタック」

 

 今度は健太が一斉攻撃を仕掛ける。一つ一つは攻撃力が低いものの、宗太

のフィールドゲーム『ガ〇パレード・〇ーチ』以外を完全に倒した。

 

「ガ〇パレを出すなら『絢〇舞踏祭』と『ガ〇パレード・オ〇ケストラ』、『式〇の城』を出して芝〇コンボを決めるべきだったな。ターンエンド」

 

「くっ、流石健太、つええ。だがまだ終わらない! 俺のターン! 『ポ〇コツ浪漫〇活劇バンピ〇トロット』、『ギ〇ンティックド〇イブ』を召喚! 更に魔法カード『リ〇ートコントロールダ〇ディ』発動! これによりフィールドのロボットゲームは強化される! 一斉攻撃!」

 

 宗太のフィールドゲームが健太のゲームを蹂躙する。だが健太もやられっぱなしではない、健太は場に伏せていたトラップカードを発動した。

 

「トラップカード『四〇八(仮)』発動! 全てのゲームをクソゲーオブザイヤーに指定して墓地に送る」

 

「な、なにぃ!! くっターンエンド」

 

「俺のターンだ宗太。悪いがこれで決めさせてもらう。『侍〇3』、『デ〇ンズソ〇ル』、『レ〇ンボーシ〇クスベ〇ス』を召喚。魔法カード『超〇元ゲイムネ〇テューヌ』発動、これによりフィールドゲームのジャンルは一時的にコメディになる。

 ジャンル固定コンボで一斉攻撃!」

 

「ぐわああああ」

 

 勝敗は決した。公園には決闘の後のもの悲しさのみが漂う。

 健太は最後の一斉攻撃に吹き飛ばされた宗太の元へ駆け寄る。

 宗太は満身創痍の状態で服もビリビリに破れていた。

 

「いい勝負だった宗太」

 

「次は負けねえ」

 

 宗太はゆっくりと目を閉じた。もう思い残す事は無い、ありったけの力をぶつけて倒されたのだ。

 今は清々しい気持ちだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る