ラブラヴ5-10
あたし、後藤大吾! 夢見る三十歳の男の子で、どこにでもいる普通の女子小学生!
悩みはちょっと筋肉質なところかな、時々ボディビルダーに間違われるのほんとプンプンしちゃう!
そして今あたしは絶賛全力疾走中、スネ毛が風に揺れてるわ。
「大変! ちこくちこく〜!」
実は今日目覚まし時計を粉砕しちゃってお寝坊したの、もう今月四回目だよ。
リブステーキを咥えて猛ダッシュ。
道を走る車を追い抜いてあたしは風になるの。
でもそういう時に限って事故は起こるもの。あたしは角から出てきた男の子を跳ね飛ばしてしまった。
大変! あの子五メートルもはじき飛ばされてしまったわ、大丈夫かしら。
あたしはすぐに駆け寄ってその男の子を抱き起こしたわ、頭から血が流れてて腕も変な方向に曲がってて内蔵も破裂してそうだったけど命に別状は無さそう。
「無事で良かった」
その時男の子が血を吐きながら何かを言った。
「
「ご、ごめんなさい! 余所見しちゃってて」
「
男の子は地面に血反吐を吐きながら歩き去ってしまった。
「なによ、そんなキツイ言い方しなくてもいいじゃないっ」
あたしはすぐに男の子が歩いて行ったのとは別の道を走って学校に向かったの。
懸命に走ったおかげでギリギリ遅刻せずに済んだわ。
「あっ後藤ちゃんおはよう」
「すみれちゃんおはよう」
この娘は親友のすみれちゃん、十歳になってもぬいぐるみが手放せない可愛い女の子、本人は「好きなものは好きだからいいの!」と言っていたわ、そういう所もまた可愛いのよね。
そしてホームルームの時間になって先生が教室に入ってきました。
「はーいみんな静かにして、今日は皆に新しいお友達を紹介します」
「転校生だって、すみれちゃん知ってた?」
「ううん、どんなぬいぐるみさんなんだろうね。仲良くなれるかな」
すみれちゃんは自分以外の人間がぬいぐるみに見える不思議な女の子、可愛いよね。
「さあ入って」
先生に促されてその子は入ってきました。
その子は自分の衣服を血で真っ赤に染めてる変わった子。指からは今でも血が垂れてます。
あれ? あの子ってもしかして。
「ああー! あなた今朝の!」
そう、朝あたしが通学路で轢いた男の子だったの。
こんな偶然あり!?
「グボアッ、ゴボゴボ(お前今朝の! 同じクラスかよ)」
思わぬ形で再開したあたし達、これって甘酸っぱい恋の始まり? それとも血にまみれた闘争の始まり?
あたしの普通な女子小学生生活は一体どうなるの!?
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