概要
叔父と私の日常は、少し奇妙で、ひとつ足りない。
昭和初期の帝都・東京。潔癖で頑なな女学生・羽多野翠と叔父の酒浸りの文士・大久保純は、翠が謎の透明の怪人に懸想をされた事がきっかけで怪異に巻き込まれるように。「百に届くにはどこか足りない」連作短編集。
帝都つくもがたり(https://kakuyomu.jp/works/1177354054882353483)の続編になりますが、ここからでも読めるかと思います。
さらに続編帝都つくもちぎり(https://kakuyomu.jp/works/1177354054884209862)、番外短編帝都つくもあつめ(https://kakuyomu.jp/works/1177354054882852127)もあります。
帝都つくもがたり(https://kakuyomu.jp/works/1177354054882353483)の続編になりますが、ここからでも読めるかと思います。
さらに続編帝都つくもちぎり(https://kakuyomu.jp/works/1177354054884209862)、番外短編帝都つくもあつめ(https://kakuyomu.jp/works/1177354054882852127)もあります。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!女学生の前に現れたのは、恋する怪異──あなたは一体、なぜ私をみつけたの
レトロな風合いの、物悲しさと切なさの、怖すぎない怪異譚。
前作から引き続いて、期待を裏切らないおもしろさだった。
昭和の初めの東京で、女学生の翠が出くわした不思議は、
人恋しさの有り様を潔癖で頑固な彼女の心身に突き付ける。
10代の少女が感じる、大人の恋愛観への「気持ち悪さ」。
強気なようでいて壊れやすげな翠が瑞々しくて、いとおしい。
翠の叔父の大久保は作家で怖がりで、ときどき少し頼もしい。
彼の周りには如何わしい新聞記者や猪突猛進な編集者がいて、
彼同様に変わった人々ではあるけれども、心強くもある。
翠は彼らと共に怪異に向き合い、ひとつ、前に進んでいく。
古めかしさが好ましい独特の文…続きを読む - ★★★ Excellent!!!怪異を通じ、人に触れ、少女は前に進む
美しい筆致で綴られる、少女の成長物語が嫌いな人っています? いませんよね。
前作では、怪異に触れるその時を切り取り、怪異と向き合う人の過去を浮き立たせることで、人間ドラマを描いておりました。しかし今作では、短編集でなく連作にすることで、怪異と触れ、時には対決することで、成長していく少女の心を丁寧に描いております。
その根幹のコンプレックスは、心ない人にはバカにされてしまいそうな、青く、しかし切実なものです。だからこそたどり着いた「他者の存在を認める」という結論は、人為らざる存在を相手取る怪異ものとして、百点満点と言えましょう。
また、脇を固めるサブキャラも、さすがに前作のメインキャラな…続きを読む