「ルール」といっても様々あるが、本作のそれはしりとりのルールである。男女が単純なしりとりをする、というだけのお話なのだが、そこにいろいろな「ルール」が詰め込まれているのが面白い。
一つ、単純にしりとりのルール。最後が「ん」だったり、長考が過ぎると負けだとか、よくあるものだ。
一つ、己に課すルール。ビデオゲームなどでよく言われる、縛りプレイというやつだ。特定のテーマの言葉を言い続ける、特定の文字で相手を攻める、など、これもしりとりをする上でやることはあるだろう。
さらに一つ…賞品のルール。買った方が何かを得る、とこれまたよくあるものだ。本作では…まあ、男女間でよくあるアレである。
そんな、一つ一つはよくあるルールだが、それらが一つのところにこうもぎゅうぎゅうと詰め込まれると、なんだかそれだけで楽しくなってきてしまう。おまけに、それら一つ一つが密接に絡み合っていて、本筋は単純なのに、なんだかとんでもないものを読んでいる気がして、とても楽しかった。
そんな本作、最大の「ルール」の使い所は、終盤の山場、一つのオチである、あの場面であろう。ここに関しては、是非とも実際に読んでその面白さを味わって頂きたい。