夜猫ジュブナイル

作者 佐々木匙

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★★★ Excellent!!!

思春期の悩みというやつは意外と厄介で、ほんの些細な、ほんとうの世界になんの影響も及ぼさない事であっても、それで「僕たちの」世界は簡単に行き詰まってしまう。そんな高校生たちの、悩みや葛藤を抱えながらの道行きをやわらかな祝福が包む一作。

★★★ Excellent!!!

 悩みというものを自覚した時、少年は夜に猫へと変じる―――
 自身は普通だと感じ、何か特別なものを求める少年、三田村くんに起きた奇妙な異変。最も身近に感じていた特別が普通に、普通なはずだった自分が特別に。そんな変化の中、ふと自分の気持ちを理解した彼は、夜の闇へと飛び出していく…
 繊細で不安定な人の心は、まるで気まぐれな猫のようで。その、どこか遠くへ行ってしまいそうな危うさに、読んでいて胸を締め付けられる思いでした。
 普通でも、特別でもない人達の触れ合いが、妙に心を揺さぶってくる…そんなお話です。

★★★ Excellent!!!

「自分は誰にも必要とされていないのではないか」、「自分が生きてきたこれまでに意味なんてなかったのではないか」、という疑問を抱えた時に読みたい一作。
もちろん現実はこの作品ほど上手くは回らないかもしれないし、答えを見つけてもそこに続く道は並大抵の努力でどうにかできるものではないかもしれない。
けれども、自ら軽んじている身の上が誰かにとってかけがえのない存在だったりするのかもしれない。自分のこれまでが結実する何かがあるのかもしれない。夜に溶けるには、まだ少しだけ早いのかもしれない。

長瀬夜子。平々凡々な高校生を自認する三田村真也が「夜の化身」に見立てた彼女は、コンビニに行くし、進路調査用紙は適当に書くし、カップ麺を食べてネギを手で拭う。そして些細なキッカケで知ったバンドの音楽をアルバム全部聴いているような、いたって普通の女の子なのだ。

★★★ Excellent!!!

悩みらしい悩みも、特徴らしい特徴もない。
そう思っていた少年が白紙の進路希望を出してから、不思議な事が始まった。
少年の悩みが、思いが、彼を夜へと走らせる。
それを導いてくれるのは……クラスの『謎の転校生』の少女。
それから彼と彼女は、
同じように『悩み』を抱えるクラスメイトたちと出会っていくことになる。
誰にでもある若き悩みが、ままならなさが、彼らの姿と存在さえもを変えてしまうのだ。

それが彼らの思春期の形。