夜に身体が溶けたとて、消えぬ心が光りだす

 悩みというものを自覚した時、少年は夜に猫へと変じる―――
 自身は普通だと感じ、何か特別なものを求める少年、三田村くんに起きた奇妙な異変。最も身近に感じていた特別が普通に、普通なはずだった自分が特別に。そんな変化の中、ふと自分の気持ちを理解した彼は、夜の闇へと飛び出していく…
 繊細で不安定な人の心は、まるで気まぐれな猫のようで。その、どこか遠くへ行ってしまいそうな危うさに、読んでいて胸を締め付けられる思いでした。
 普通でも、特別でもない人達の触れ合いが、妙に心を揺さぶってくる…そんなお話です。

このレビューの作品

夜猫ジュブナイル

その他のおすすめレビュー

銀ノ風さんの他のおすすめレビュー64