ACT16 オープニングフェイズ 風見鶏ふうか『巨人だぁぁぁーーー!(絶叫)』

GM:……それは、それは、楽しい高校のクラス行事、キャンプファイアーの日でした。


ふうか:はい!


GM:生徒たちが口々に「もう歩けねぇ……!」「水!」「ジュース!」「ポカリスウェットォォォ!」などと叫んでいます。


クルミ:ちょっとちょっと、何やってんの? この高校のクラス行事(笑)。


銀造:やっぱり、明らかにおかしいな。何でキャンプファイアーの周りに燃料が置いてあったのか。


影介:それはこれから説明があると思うよ。たぶん。


GM:はい。それは、炎天下の最中、一日中山の中を歩かされてー。喉カラの状態になったところで、締めくくりのキャンプファイアーをやっているからです。


クルミ:一体、どんなクラス行事なんだよー(笑)。


銀造:その流れじゃ「うぉぉぉぉ! 終わったぁぁぁ! ビール飲むぞぉぉぉ!」みたいな感じだな。


GM/男子生徒①:「おい、カザミドリ~!」


GM/男子生徒②:「ダメだ、アイツ。お嬢さんだからさー。重いモノとか持ったこと、ねーんだよ」


銀造:ちょっと、一体、風見鶏さんってどんな人?


GM:という感じで、ふうかの前に丸太ん棒が一本突き出されますが。


ふうか:「わーい! 丸太ん棒だ!」って手に取るよー。


GM:お嬢さんじゃねーのかよー。


クルミ:やっぱり、お嬢様だから楽しいんじゃないの? こういう行事。(←偏見)


GM:では、きちんと運べるかどうか。【身体】×5%で、判定してみて。


ふうか:はーい。私、【身体】高いよー。……(コロコロ)……。成功!


GM:あなたは、男子生徒に負けず劣らず、丸太を担ぎますが。「フンッ! モリモリモリッ!」


ふうか:「モリモリモリッ!」とかじゃない! 普通に持つからね。


GM/男子生徒①:「風見鶏って結構、凄いんだな……」


GM/男子生徒②:「風見鶏……アレは結構、ヤレる女だぜ……!」


ふうか:「わーい!」


銀造/男子生徒③:「あれでアホの子じゃなかったら、良かったんだけどなー」


ふうか:アホじゃない。


銀造:何で? 【知力】12とかじゃん。


ふうか:別に低くない!


銀造:まあ、俺も先生だけど【知力】12。あんまりわかんないから、授業中、質問とかやめて欲しい。


ふうか:私だって、ちょっとわかんないことがある時に「こうだよ」って言われると、「そうかなー」って思っちゃう程度だから。


銀造:それじゃバカじゃん(笑)。


GM:まあ、そんな感じにみんなで丸太を組んで、準備を済ませ、楽しいキャンプファイアーが始まろうとしていますが。


クルミ/女子生徒①:「やったー!」


GM/男子生徒①:「オイオイ。まだ、今日はこれで終わりじゃねーぜ? 俺、持ってきたんだよ、アレを。くっくー」


GM:そうすると、キャンプファイアーにみんなで火を付け始めますが……。


GM/男子生徒①:「あれ? ヤベェ……火が付かねえ……!」


銀造/男子生徒③:「誰か《発火能力イグニッションバースト》持ってるヤツ、いねーかー?」


クルミ:何でだよー(笑)。


ふうか:「火が付かない?」


GM/男子生徒①:「やっぱ、着火剤とか使わねーと」


GM/男子生徒②:「コレコレ。……って、なかなか付かねースね」


GM/先生:「オイ、お前たち。火の付け方が悪いんだ。そもそも丸太の組み方が悪い!」


GM:ってなことを先生が言ってますが。


銀造:その先生って俺じゃないよね?


GM:この場にいたかった?


銀造:いや、俺がいたら、C4で一気に……。


GM:アホか! 危なすぎるわ!


銀造:だってー。やりたいじゃん。


ふうか:じゃあ、「へぇ」って感じに見てるかなー。


GM:そうするとだね……〈観察〉を。


ふうか:〈観察〉は42%しかないけど、頑張る!


GM:どうぞ。


ふうか:何かないかなー。使える能力とか。……ねえ、他にないの? 使える技能。


GM:どんな技能?


ふうか:うーん……。思いつかない。いいや、〈観察〉で。ほりゃあ~! ……(コロコロ)……。ダメだー。失敗。


GM:では、あなたは気づかない。


ふうか:気づきたかったー。


GM:そう。あの時、気づいていれば……と思ったかも知れないが、あなたはキャンプファイアーの丸太を組み直して、着火剤で火を付けるのに集中していた。


GM/男子生徒①:「付かねえ! 付かねえよぉぉぉ!」


GM/男子生徒②:「もっと着火剤入れろよぉぉぉ!」


クルミ:何でそんな感じに!?


GM:という感じに、みんなが一生懸命に火を付けようとしていますが、なかなか火が付かなくて。


ふうか:うん。


GM:すると、近くにいた男子生徒があなたの方を向いて……「風見鶏……! お前って……髪の毛、青かったっけ?」と。


ふうか:「えーーー!?」


GM:で。実際に透かしてみると「あれ? こんなに髪の毛、青かったっけ?」って。


ふうか:あのさー。これって、もう誰も助からない感じだよねー……。


銀造:いや、何人かは助かるんじゃない? たぶん。


ふうか:「みんな逃げて!」って大声で。


GM:なぜ?


ふうか:いや、何となく。だって、ヤバイ感じじゃん!


クルミ:あー、髪が青いから。


銀造:ん? ああ、自分が怖いの? っていうか、何で髪の毛が青いだけでそんなに怖いのか、意味がわかんないけど。


クルミ:そうだよ。どうせみんな死ぬんだから(笑)。


GM:身もフタもねー!


ふうか:じゃあ、「何で、私……、髪……青いの!?」って言って。周りの人たちに話しかける。


GM:あなたがそうやって髪の毛を触っていると……、急に髪の毛がバサッと広がるんですが。


ふうか:え? 何?


GM:そして、目の前でキャンプファイアーが「ぐらっ」と崩れます。


ふうか:! じゃあ、逃げる!


GM:了解。では〈回避〉を。


ふうか:私、〈回避〉はねぇ。高いんだ♪


GM:あ、そうなんだ。


ふうか:あーーー……。高くなかったー……。65%しかない……。


GM:では、ロールを。


ふうか:どーんまい♪ セイッ! ……(コロコロ)……。出たー。成功!


GM:どうすると、キャンプファイアーの丸太が、ふうか目がけて……まるで、誰かが後ろから押したように倒れ込んでくるんですが。


ふうか:え? どうすればいいの?


GM:いえ、今、あなたはそれを避けたんですが、さっき、あなたに「風見鶏、髪、青くね?」って言った男子生徒が巻き込まれて、腕を潰されています。


銀造:あー! ふうかが避けたからだー。


ふうか:じゃあ、その人を頑張って連れて逃げよう! 「わーわー! 逃げて! 逃げて!」


影介:先生、何やってんだよ?


GM:先生の方は、今、崩れてきた丸太を見て、腕を挟まれた男子生徒の方に走ってきます。


銀造:え? それってどんな感じ? 「俺が助けてやる!」みたいな感じなの?


GM:いえ、「どうしよう、どうしよう!」って感じです。完全にパニック。


ふうか:それじゃあ、私も「わー! わー!」ってパニックになるよ。


GM:……そうするとですね。さっきまで火が付かなかったはずのキャンプファイアーに火が付くんですが。


影介:! そう言えば、誰かの髪の毛が……!


ふうか:違うでしょ! 「何で? 何で?」って。


GM:何が起こったのか。……それをきちんと見ることが出来るかどうか。【意志】×5%で判定を!


ふうか:【意志】!? ……50%しかないよー。ハイ、お願い! やりまーす! ……(コロコロ)……49! やったー! ギリギリ成功!


銀造:チッ!(←マナー悪し)


GM:……あなたは見てしまいます。炎の中から立ち上がるモノを。


ふうか:え!? 何!? 何が立ち上がったの!?


GM:それはだいたい身長が3mはあろうかという巨人。


ふうか:!


影介:でかっ!


銀造:それって、マジじゃん!


GM:いや、もしかすると、それは単なるあなたの妄想かも知れませんよ?


ふうか:「巨人だぁぁぁーーー!」(絶叫)


GM:その巨人は、手も足もすべて炎で出来ています。


影介:何だ、それ!?


GM:で、その巨人は、さっきまで腕を丸太で潰されていた男子生徒をヒョイと持ち上げると、自分の顔に……。


ふうか:何で!? その人、私が連れて行ったんだよ!?


GM:なるほど。ではあなたも一緒に……。


ふうか:あ、そういうことか! ちょ、ちょっと待って(焦)。


GM:では、あなたの指がブスブスと焦げていきます。


銀造:あれ? どうしたの? 何か、自分の命が危うくなると……(笑)


クルミ:「キャー!」とか言って手放すんじゃないの?(笑)


ふうか:じゃあ、「キャー!」って言って手放すよ……。


銀造:あー、やっぱりそうなっちゃうんだ。まあ、仕方ないよね。死にたくないし。


影介/ふうか:「犠牲は必要だぁーーー!」


ふうか:言ってねーし!(怒)


GM:では、炎の巨人は、ゆっくりと男子生徒を持ち上げて自分の顔のところに「ギューッ」って持って行きます。嫌な臭いが充満しますが。


銀造:まあ、その男子生徒が君にとってどのくらいの人かによって変わるよねー。その反応も。


ふうか:うーん……。普通の人?


影介:名前も知らない人。


GM:クラスメイトですよね!?


銀造:やっぱり、あれか。この男子生徒って「俺、このキャンプファイアーが終わったら結婚するんだ」とか言っちゃってたんじゃ。


GM:そんなフラグあるのかよ!?


銀造:で、結局、名前知らないの?


ふうか:知ってるよ! 名前あるよ! 普通のいい人。イジメとかしないし、いじめられてもいない人。


GM:じゃあ、あなたの見ている前で3mくらいの巨人は、その男子生徒の熱いキスを浴びせて上半身を完全に黒焦げにします。


銀造/男子生徒①:「ファーストキスだったのにぃぃぃーーー!」


GM:言わねーよ!(笑)


銀造:そう言えば、みんなどんな反応なの?


GM:みんな呆然と立ち尽くしている感じ。


ふうか:私も動けない感じ。「うわぁぁーーー!」って立ち尽くす。


GM:了解。では、巨人はあなたの足をグッと掴みます。


ふうか:! 逃げる! 逃げる! 「ヤダ! ヤダ、ヤダ!」って。


GM:では、〈回避〉か〈観察〉。好きな方で判定を。


ふうか:やだ! どっちも低いよー!(泣)……じゃあ〈回避〉。ねえ! これって失敗したら、いきなり死んじゃうの?


GM:さあ? どうぞ。


ふうか:うぅぅー……。えいっ! ……(コロコロ)……。成功! 良かった!


GM:了解。では、あなたは自分を掴んできた手を振りほどいて、逃げようとします。その直後に「ブン!」という音がして―――その巨人には尻尾があるんですね。炎で出来た尻尾。それが大きく振り回されて、周りにいた男子生徒たちが丸焦げになるんですが。「アバァーーー!」


ふうか:……。


GM:で、あなたの目の前で、先生も燃えているんですけど。


クルミ:……何か、いきなりヘビーなオープニングになってるんだけど。


GM:先生は、「風見鶏ィィッッ!」とか言いながら、あなたを助けようとしたのですが、幸か不幸か、あなたが巨人の手を振りほどいたことによって、尻尾の直撃を受ける形に……。あなたの方は無傷ですが。


ふうか:……先生、ゴメン。


GM:辺り一面に肉の焼ける臭いが……。あちこちには、体中を焼かれた生徒が地面をゴロゴロと転げ回っています。


影介:生きている生徒もいるんだね。


GM:はい。でも、そのうちの一人は、たった今、炎の巨人に頭を「バキッ」と踏みつぶされましたけど。


ふうか:……。


GM:実体があるようですね。あなたはどうします? あなたの手には炭になった先生の手がついていますけどね。


ふうか:「逃げる……? 逃げるしか……」って。泣きながら逃げるよ……。


GM:了解。では、〈特性能力〉の判定を。


ふうか:〈特性能力〉? 100%あるよ!


GM:100%あるのかよ!?


銀造:まあ、みんな100%振ってあるけどね。


ふうか:良かったー! ……(コロコロ)……。成功!


GM:あなたには風の声が聞こえるんですが。


ふうか:「風の……声!?」


GM:そう、炎を吹き消すような強い風が……! ただ、風が中途半端だと、余計に火が強くなるかもね。


ふうか:じゃあ、「全部、消して!」って思うけど。


GM:すると、あなたの周りに風が吹き始めます。炎の巨人の手や足を構成している炎もその風で揺らいでいきます。そして、あなたが巨人を見る度に、風は強くなっていく……!


ふうか:うん。


GM:で、あなたが目を反らすと風は弱くなる。


ふうか:……「もっと強くなって!」って願って巨人の方を見るよ。


GM:では、あなたはその風の力をどう向けるの?


ふうか:どういうこと?


GM:風の力の向きはあなたの思うままです。


ふうか:ほかの生徒は?


GM:巨人の尻尾の一撃でほとんどすべての生徒が地面に倒れ伏していて、生き残っている生徒もいますが、悲鳴らしい悲鳴もなく、今は、ただ「ひゅーひゅー」と音を立てているだけです。


ふうか:……竜巻を起こして炎を消す!


GM:了解。そうすると、地面から砂が巻き上がり、あたりの炭やらを巻き込みながら、炎の巨人を中心に竜巻が起こります。炎の巨人の姿が揺らいでいきます。


一同:おおーーー!


GM:あの。すみません。目一杯、背中が痛いんですけど。


ふうか:え? どういうこと?


GM:あなたの背中に深々とナイフが刺さっているからです。


ふうか:「何で?」って。


GM:しかも、刺さった後、上に向かってグイッと。


ふうか:「だ、誰!?」って背中の方を見ようとする。


GM:了解。あなたが意識を失う前に見たモノは……! 〈観察〉を。―10%で。


ふうか:えー!? もともと42%しかないんだけど……。何か使えないの? 《†ストームブリンガー》とか。《風候操作ウェザーキャスト》に関係する技能の成功率に+30%。


GM:えーと……、それなら出来るね。風の中で何が見えたのか、だからね。どうぞ。差し引き+20%で〈観察〉を。


ふうか:もちろん使うよー。62%か。……(コロコロ)……あー……99だ。え!? 99!?


GM:ファンブルだね。決定的に失敗した。


ふうか:あー……(溜息)。


GM:あなたは、あなたの背中を刺した人物の顔を勘違いする。その顔は……、あなたを庇って死んだ「先生」の顔です。


ふうか:絶対、幻影じゃん!


GM:そうです。あなたを庇って死んだはずの先生が、あなたの背中を刺したのです。


ふうか:マジかー……。


GM:しかも刃渡り15cmくらいのナイフで。グリグリと。


ふうか:死んじゃうじゃん!(怒)


GM:あなたは、体からドクドクと血が溢れ出すのを感じながら意識を失います。あなたが意識を失った後、あちこちでこだまする「アハハハハハ!」と高笑いする女の声が聞こえます。


クルミ:「あちこちでこだまする」って? たくさんいるわけじゃないんだよね?


GM:はい。風でこだましているだけです。


クルミ:そっかー。


ふうか:…………(絶句状態)。


GM:……終わり!


クルミ:終わったねー……。


GM:えーと……。次、行くよー!(無駄に元気よく)


ふうか:…………(放心状態)。





 ―――とここに来て、ついに(というか早速)タイトル『風見鶏、炎上』の謎が解けた! のか?


 満身創痍状態の主人公、風見鶏ふうか。


 風見鶏さん、大炎上!

 しかも先生に背中まで刺されちゃった!(←大誤解)

 おかげでプレイヤーは放心状態!


 でも、まだまだオープニングフェイズなんだぜ?


 コ、コイツは大変だぁぁぁーーー!(←他人事)

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