ACT27 ミドルフェイズ 風見鶏ふうか 『その光景はもう3回目くらいだよ!!(笑)』

GM:では、みんなが隠れ家―――アジトに入ってきて、お互いに自己紹介をしたり、クライマックスに備えるシーンが始まるんだけど(一同頷く)。クライマックスまで、あと各自1シーンずつしかありません(一同驚く)。傷を治したい人は、誰かの舞台裏で治すことができます。銀造が《精神投影(イメージリアライズ)》の能力で誰かの傷を治したいのであれば、そういうシーンを作ったり、誰かの舞台に登場すればできます。必要な物資・装備を調達したい場合も同じです。


銀造:え? 『C4』とかも買えるの?


GM:買えますよ。装備やアイテム表のところにある『購入修正』で難易度が変わるけど。〈威圧〉か〈交渉〉で成功すれば、ガーデンから、今回の任務用にその装備を回してもらえるだろうね。


クルミ:やったー!


銀造:マジか! C4がもう1個買える!


GM:でも、こうして手に入れた装備は、セッションが終わった時に経験点を使って『常備化』しないと消えちゃうけど。つまり、ガーデンの方で今回のミッション用に貸し出してくれる感じ。


銀造:ロケットランチャーも買えるかも知れない!


GM:戦争する気バリバリじゃねーか!


影介:何個も買えるの?


GM:いや、基本的には1回に1個だけー。


影介:うーん、もしかして僕、〈威圧〉の方が高いんじゃ……。


クルミ:〈交渉〉じゃなくて〈威圧〉だと、感じ悪いね。


影介:確かに。


GM:あと、購入判定には、装備ごとのマイナス修正―――難易度だね。これが加わるから。例えば、『パワードスーツ』なら「-80%」とか。


影介:うわー。成功率がマイナスになっちゃうよ?


GM:まあ、1%だけ残るけどね。その場合には、「何か、奇跡的に装備を回してもらえたよー!」ってことになるねー。まあ、1%にかけるくらいなら、他のことをした方が良さそうだけど。


影介:まあ、そうだねー。


クルミ:そう言えば、『重傷治療キット』っていつでも使えるの?


GM:『重傷治療キット』とかは、戦闘以外のシーンや舞台裏じゃないと使えないね。戦闘中に使えるのは、『疲労回復剤』や『軽傷治療スプレー』。


ふうか:使うのにはアクションとかいるの?


GM:えーっとね……いらない。いつでも治せるみたいだね。


銀造:ってことは、『軽傷治療スプレー』とかは、使わずに取っておいた方がいいな。


影介:だね。戦闘中は『重傷』 を治せないのかー。


GM:(銀造を見つつ)治せるヒトもいるけどね。


銀造:(ふうかを見つつ)治すかどうかはわからないがな?


ふうか:(GMを見つつ)これって、クライマックス前の購入とかのシーンになるの?


GM:いえいえ! まだ、どんな状況なのか、みんなわかってないよね。だから、それを探るんだけど。もし、何にも分からない状態でクライマックスに行ってしまうと、市瀬さんから「キミたちは知らないだろうが、実は……!」とかいう展開になって、かなり不利な状況になるよ。重ねて言うけど、1人1シーンだからね。舞台裏はあるけど。


クルミ:ひぃー! それは大変だー!


ふうか:ちょっと、まだ、なんもわかってないじゃん!(ばんばん!)


GM:いや、だから、それを調べるんでしょ?(笑)


影介:他の人のシーンに登場することもできるの?


GM:もちろん。ただし、その場合はシーンも減るし、舞台裏もできなくなるけどね。


銀造:うーむ。しかし、相棒(バディ)とはシーンを持ちたいような……。


くるみ:そうだねー。


ふうか:相棒(バディ)のシーンに出るとなると、実質的には、シーンと舞台裏が2つずつだね。


影介:そうなるね。……わかった。


銀造:よし。じゃあ、誰から行く?


一同:………。





 ……返事がない。ただのしかばねのようだ。



 この時、銀造は、超有名な某RPGの有名なセリフを思い出していた。



 まさに野球でいうところの、『お見合い状態』。

 何事も先駆けになるということは勇気がいることなのだ。


 誰かが背中を押してくれなければ前に進めない。

 正確には、押されても前に進みたくないというか。


 だから銀造はこう言うのだ―――「(俺以外の)誰か、勇気を出すんだ!」





GM:じゃあ、まあ、取りあえずシーンを進めますかー。


一同:りょうかーい!


GM:君たちは、市瀬さんが手配してくれたアジト―――一見、ボロいような集合住宅にようやく4人がそろったわけだ。


クルミ:ボロいような集合住宅って(笑)。


GM:まあ、こういう感じにガーデンはあちこちにアジトが用意してある。中には軍事基地の中にあったりする場合もあるけど、今回はボロい集合住宅。「なんで俺たちに回ってくるのはこういうところなんだ!」とか言っちゃいけないよ?


クルミ:大丈夫。こういうところしか紹介してもらったことがないから。きっと。


ふうか:市瀬さん……(ほろり)。


GM:そんな感じで4人が顔を合わせたんだけど、まずやっておかなきゃいけないシーンは……PC①のヒト、風見鶏ふうか。


ふうか:はい!


GM:葛藤が全然なかったよね!? これまで!


銀造:あー、わかるわー。「この能力(チカラ)、便利だから使います」みたいな。


クルミ:そうだよ、そうだよー。


影介:あ、それ。僕もそう思った。


GM:ああ、ファイティングコンピューター的な?


ふうか:うぅ……。こ、これからあるよ! 葛藤!


GM:了解。ではPC①のふうかからシーン、行くよ? あなたが選択できるモノが2つあります。


ふうか:? 選択できるモノ?


GM:はい。その1「鏡」。その2「新聞」。


ふうか:あ、そういうモノか。


銀造:あれ? これって隠れ家(アジト)だから、全員いるってこと?


GM:いえ、ふうか1人です。みんな買い出しに行っているのか、休んでいるのか。


ふうか:新聞!(ぱくぱく)


銀造:→(やじるし)「新聞を見る」みたいな。


GM:あなたは、このアジトの中に持ち込まれた新聞を見ます。……そこには見覚えのあるクラスメイトの顔が。


ふうか:記事を読んでみる!(ぱくぱく)


GM:了解。「奇跡の女子高生!」というタイトルです。「キャンプでクラスメイトを失いながらも歌い続ける」というような記事になっていますね。そして、その記事の写真欄には、あなたのクラスメイト「水無月詩歩(みなづき・しほ)」さんの顔写真が。


ふうか:うん!(ぱくぱく)


銀造:ちょっと!? ふうかサン!? さっきからずっと食べてますけど、食べるのやめたらどうなんですか?





 ちなみに、ふうか(のプレイヤー)が糖分補給に使っているのは「トーハトオールレーズン」である。

 美味しい。ふうかサン、イチ押し。食べるのに夢中になりすぎるのは良くないけど。





ふうか:糖分、切れちゃって~(ぱくぱく)。


クルミ:後で食べなよ、それー。


ふうか:うん、やめるー(ぱくぱく)。


影介:このやり取りだけ聞くと、ふうか(のプレイヤー)がすごく太ってるイメージしか湧かないよね。


クルミ:結構スタイルいいのに不思議だよねー。食べたものがどこに消えていくのか。


ふうか:(ごくん)はい、オッケーでーす! そっか、水無月さんの写真が載ってるんだ。


GM:そして、犠牲者欄には先生の名前が。


ふうか:ってコトは……。


GM:死んでいますね。ありていに言えば。


ふうか:「あれ!? 先生って、亡くなってたの? ……じゃあ、あれは一体誰?」


GM:なるほど。そう独り言を言いながら、背中の傷が痛むわけですね。で、あなたは水無月詩歩のことを思い出すよ。……水無月さんってどんな人? 仲とか良かったの?


ふうか:ほわほわーん。うーん……仲は良かった! 明るくて元気な人だった。


GM:了解。そうすると、その時の再現映像が画面に流れます。……キャンプの炎の巨人の前で、地面にゴロゴロと転げ回っている丸焦げのクラスメイト。その前に立っているあなたの背中に深々とナイフを突き立てる……水無月詩歩の顔が。


銀造:しかし、判定に失敗したから、まったく思い出せなくて最後の最後に思い出すとは……。


影介:先生、完全に濡れ衣だったね。


ふうか:「何で!? 何で、詩歩ちゃんが!?」


GM:あなたと仲の良かった水無月さんが、背後からナイフで背中を突き刺し、あまつさえ、それだけでは飽き足らず、グリグリと……。その時の彼女の顔は? どんな表情?


ふうか:悪い笑顔、かな?


GM:やっぱりぃ?(笑) では、その悪い笑顔で、あなたの傷をナイフでグリグリと抉(えぐ)っているシーンを思い出している、と。悪いヤツだなー。


影介/詩歩:「わ、私が売れるためには、これしかなかったのぉぉぉ!」


GM:売れるためにやったのか!?


クルミ:生け贄だー。売れるために何かと契約したんだー。


ふうか:「詩歩ちゃんは、悪魔と契約したんだ……」


GM:まだ、ふうかはネフィリムという名前は知りませんからね。


ふうか:「悪魔を倒せば……!」って、元に戻るのかな?


GM:どうでしょう?


ふうか:「絶対に悪魔を倒して、詩歩ちゃんを元通りにする!」


GM:いいでしょう。目の前にある鏡には、決意を秘めたあなたの顔が写っています……が、火傷は治ってますけど、髪の毛の色ってこんな感じでしたっけ?


ふうか:ん?


GM:確か、オーダーの発現箇所って「髪」でしたよね?


ふうか:うん、そう。それが青くなるの。


GM:元の色は何色だったんですか?


銀造:金髪だったら、青くなってもあんまり違和感がないねー。


影介:確かに。


ふうか:青味がかった黒髪だよー。


GM:どのくらい色が変わるんですか? 全部? それとも一部分だけ?


銀造:髪全体が青色なのに、眉毛だけ黒いとかだと相当ヘン。


影介:じゃあ鼻毛も青色になった方がいいね。


GM:鼻毛!?


銀造:ヒロイン枠に鼻毛とかあるのか!? むしろあってはいけない感じだけど。


GM:まあ、いいや。どこが青くなるの? 髪全体? それとも部分? 筋が入ったり?


ふうか:じゃあ、めっちゃ青くなっとこうっと。全体的に。


銀造:まあ、髪が青い女子高生とか、アニメやイラストなら普通じゃん?


クルミ:でも、実際には、真っ青な髪の女子高生とか歩いてたら、コスプレかと思われるよねー。目立ちまくり。


GM:あ、ルールブックに書いてあるじゃん。「スペックカラーの決定。オーダーは普通の人間とは異なる遺伝子のため、体のどこかに特徴的な色素を持っている。その多くは髪や瞳に現れる」だって。


ふうか:やっぱり、一筋だけ青いのにしようかなー。


GM:ワンラインだけ色が青色なんですね。それなら、「そういうオシャレな人もいるかもね」って感じなのかな? では、あなたは鏡に写った自分の髪を見て、以前の自分とは変わってしまったことに気がつく、と。そして、さっき起こった病院での出来事は一体何だったのか?


ふうか:ホントに。「何だったんだろう……?」って。


銀造:じゃあ、ここで登場しようかな。相棒(バディ)だしね。


GM:鏡を見てる女の子の後ろから覗き込むとかサイテーだよ! 判定どうぞ。


銀造:……(コロコロ)……成功だよ。じゃあ、後ろからススッと現れて「……あれはネフィリムですよ」と。


ふうか:「ネフィリム?」


銀造:「あれはただの幼体(ワーム)級。……つまり親玉は別にいるということだ。……そして君は……幸か不幸か、オーダーになったんだ」


ふうか:「……オーダー?」


銀造:背中の傷を指して「この傷はまだ痛むのか?」と。


ふうか:「まだ痛いです」……[軽傷]1個分は傷があるしねー。


銀造:「そうか。じきに楽になるぞ?」って言うとおかしくなるねー。


GM:だったら言うなよ!?


銀造:そう言えば、《†サイオニックヒーリング》で傷を治す時に、成功率が100%超えてるから、ふうかだけじゃなくて、自分の傷も一緒に治したりできるの? ぶっちゃけ、ふうかよりも深手を負っている状態なんだよねー(笑)。


GM:そういう使い方はできないよ。


銀造:そっかー。残念。まあ、ふうかの傷を治しておくよ。[軽傷]1個しか傷がないみたいだけど。5マス分も治るのに。……(コロコロ)……96? 一応、成功。


GM:ホントにギリギリの成功だなー。


銀造:「あんまりふうかを治したくない、それよりも自分を治したい」とゆー想いが強かったのか(笑)。


ふうか:治ったー!(喜)


銀造:では、背中の傷に手をかざしながら「……相当な大火傷を負っていたはずなのに……なぜ、この背中の傷以外が治っているのか……見当もつかないよ。ここまで治す能力(チカラ)は、残念ながら僕にはないからねぇ」と。


ふうか:……悲しそうに黙っている。


GM:何が悲しいの?


銀造:背中を触られたことが? イヤ、触ってないけどね。


GM:まー、確かに悲しい出来事ではあるよねー。……って違うでしょ!?


ふうか:うーん……。私は生き残ったけど、みんな死んじゃったから、かな?


銀造:「……話してもらえるかな? その時のことを。……君には、そのネフィリムを恨む理由があるだろうし。僕にも……もちろん、ある。……でも、君は何もしなくていい。すべて僕がやるから」


ふうか:じゃあ、キャンプファイヤーのことを話すよ。


GM:まあ、そのくだりはみんな知っているから、細かく話さなくていいよ。かくかくしかじかってヤツ? だから、一番印象的なところを説明してくれれば。


ふうか:「キャンプファイヤーの火の中から手が出てきて、みんな引きずり込まれちゃって……」


銀造:そこまで聞いたら、ガッと肩を掴んで「引きずり込まれた!? 火の中に!? それは本当なのか!?」


ふうか:「えっ!?」と驚いて「何か知ってるんですか!?」と言って……。


GM:ふむ。それで、『炎の巨人』の説明をする、と。


ふうか:そうそう。そんな感じ。


銀造:で、その説明を聞いたら、『炎の巨人』が何かわかるかもしれない……! 具体的にはネフィリムとしてのデータが。


GM:いいでしょう。では、これに関しては〈調査〉判定を。


銀造:うむ。できれば、《†サイオニックパワー》で、ふうかの心の中の光景を読み取るという方法で。あと、〈知識:ネフィリム〉も使いたいんだが……。


GM:何で、2つも使いたがるんだよ!? 両方ともプラス30%もあるだろうが。


銀造:や、ホラ、〈調査〉が36%しかないし、失敗したくないじゃん。カッコ悪いから。


GM:……まあ、いいよ。両方認めてプラス60%で。つまり96%。


銀造:ありがとー! ……(コロコロ)……88。普通に成功。


GM:じゃあ、あなたは、女子高生の肩を抱きながら……。


クルミ:なんでだよー。


銀造:うむ。演出的には、相手の瞳を凝視して、その中にダイブ。心象風景の中に入り込んでいく感じ。


GM:了解。では、あなたは、あたかもその場面にいるかのように、ふうかの心の中の光景を見ます。そこには燃えさかるキャンプファイヤーの周りで黒焦げになっている大勢の生徒。……そして、その近くにゆっくりと立ちはだかる、3メートル近い炎の巨人。さらにその背後では背中からナイフでブッスリと刺されているふうかの姿が。


ふうか:その光景はもう3回目くらいだよ!!(笑)


影介:確かに。刺されすぎ(笑)。


GM:という心象風景を見るけれども、あなたが見た感じ、この炎の巨人は、単純な破壊衝動や人間に対する殺戮衝動といったものに基づいて行動しているわけではなさそうだ。


ふうか:ふうん?


影介:! 命令に従っているのか!


GM:そのとおり。


銀造:え? どういうことスか?


GM:うむ。ネフィリムの中にはいろいろな階級がある。何とか“級”ってヤツね。一般的に君たちが知っているのは、例えば『ワーム級』という一番ザコ。別にミミズの形をしているわけではないけど、ただ単に人間を喰い殺すだけの存在。大きさも小さい。


ふうか:うん。


GM:んで、その次が『キメラ級』。いろんな生物の寄せ集めみたいな形をしているんだけど、これもせいぜい動物程度の知性しかない。


影介:そうなんだ。


GM:その上には、さらにいくつかの階級があるんだけど、正確な正体は不明と言われているんだ。


ふうか:へー。


GM:今回の『炎の巨人』は『ブロッケン級』。巨人型のネフィリムだね。で、これは人間並みの知性があると言われている。


クルミ:そっかー。


GM:同じようなタイプで、さらに強力なネフィリムとして『ルシファー級』というのがある。


影介:名前の段階で明らかにヤバそうなんだけど。


銀造:悪魔の名前だしな。


GM:これは過去に数回しか現れたことがない。


影介:え!? 現れたことがあるんだ!?


GM:数回、ですけどね。


ふうか:やばーい!


銀造:ということは、今回のブロッケン級はチョロイ、と。


GM:そうそう。チョロイよ、ブロッケン級(笑)。


銀造:やったー!  ルシファー級に比べたら、超チョロイよ、ブロッケン級! ってアホか! チョロくないわ!


GM:ソンナコトナイヨー。


ふうか:でも、……お強いんでしょ?


クルミ:なに、それ(笑)。


GM:まあ、そうですね。強いよー? ブロッケン級! というわけで、銀造は、この『炎の巨人』が『ブロッケン級』だということはわかりました。


銀造:で、この『炎の巨人』の正式名称とかわかったの?


GM:いや、わからない。正確には、銀造がこれまで確認してきた文献などの中に該当するネフィリムはいないよ。


ふうか:新種発見!


銀造:とゆーか、知らないことが多いだけなんじゃ……。


影介:確かに。


銀造:まあ、いいや。じゃあ、「……これはブロッケン級……!」と独り言のように。しかし、実際のところ、大丈夫なの? このメンツで。どのくらい強いの?


GM:えーとね。ハッキリ言って、2人組だとキツイ。4~5人のチームで当たらないとムリ。


銀造:そうかー。それを3人でやるのかー。


GM:え? 誰を抜いてるの? 自分?


銀造:イヤ、ふうか。だって、まだふうかって数に入ってないでしょ?


GM:なるほどー。


銀造:あ、でも勝手に入ってきちゃったらしょうがないけど。


クルミ:入ってこいと。


GM:ああ、フリね。誘い受け的な。めんどくせー!


銀造:あ! そう言えば、このビジョンで見たヤツは、10年前のブロッケン級と同じなんですか?


GM:いや、わからない。10年前は、手だけしか見てないから。


銀造:じゃあ、勝手に「あの時の巨人と同じかもしれない……!」と思い込もう。


影介:思い込み(笑)。


ふうか:じゃあ、私も。「みんなを殺したヤツが、例えどんなヤツでも……絶対に倒す!」って拳を握りしめるよ!


GM:あれ? そこは弓じゃないんだ。


ふうか:だって、弓、使えないし。弱いから。


GM:弱い?


ふうか:あ、でもコストなしで撃てるから、使えるかも!


影介:何か、ずいぶんとデータ的な話だね。


ふうか:というわけで、弓をギューッと握りしめる!


銀造:じゃあ、そこに真剣な目で「……君はオーダーとして目覚めたばかりだ。その弓がどれほど役に立つか知らないが……戦いに行くのはやめた方がいい」と。


影介/ふうか:「アッ、ハイ」


ふうか:勝手に返事すんな!(笑) 「私がオーダーとしての能力(チカラ)が発現したっていうのは、『炎の巨人を倒せ』っていう意味なんじゃないかと思います。私も一緒に戦いに行きます。連れて行って下さい」って言う。


GM:じゃあ、PC①が覚悟を決めたところで、シーンをカットするよー。


銀造:(間髪入れず)「莫迦(ばか)なことを言うもんじゃないッッッ!」


影介/効果音:「パシーン!」


クルミ:平手打ち!?


GM:何か、アホみたいな展開が続いているんだけど?


銀造:「馬鹿なことを言うもんじゃない。確かに君はオーダーの能力(チカラ)が目覚めた。

しかし、竜巻を起こしたりする能力(チカラ)があろうと、“ブロッケン級”相手では命を落とすかもしれないんだ!」


ふうか:「でも、何かの力になれるかもしれないじゃないですか!」


銀造:「いや、アレくらいの相手なら、僕一人で十分なんだ。君の助けは要らない」


GM:ますますめんどくせー。


銀造:まあ、そういうフリだから。ホントは来て欲しいの。スゴク。キテ。カッテニ。


クルミ:ホント、面倒くさいねー。


ふうか:ねー。まあ、ついてくんだけどね。実際は。


GM:じゃあ、いろいろと揉めつつも、ともに炎の巨人と戦うことを決めたと。


銀造:そうそう。そんな感じでまとまったので、退場します。傷を治しながら。


GM:ん?


銀造:ついでにいいよね。キズ。治しても。治すよー。


クルミ:ダメでしょ!?(笑)


銀造:チクショー! ふうかが何か言ってくれれば治せるのに。「そんなに傷を負ってるのに……ムリだよ」とか。


ふうか:え? そんで、自分で治すの? 自分の傷。


銀造:そう。そうしてくれると治しやすい。ホント、助かる。


ふうか:「あなたもキズ、負ってるじゃない」


クルミ:半笑いだし(笑)。


ふうか:半笑いじゃないよ?


GM:完全に半笑いだよ(笑)。キャラ変わってんぞ。


銀造:「こんな傷くらい、大したことはない」と言って、傷口に手を当てると、みるみると……。


クルミ:結局、治すんだ(笑)。


GM:なんじゃそりゃあ!?(笑) ……まあ、いっか。クライマックス前だし。《†サイオニックヒーリング》どうぞ。


銀造:やったー! ……(コロコロ)……34。成功。全部治った! やる気で治った!


GM:ではここでシーン終了で。おさらいすると、まず銀造とふうかは相棒(バディ)として絆を確認したということ。それから、ふうかは、みんなを殺した悪魔『炎の巨人』を倒して『水無月詩歩』を止める、と。


ふうか:うん!


銀造:あとは、炎の巨人が水無月詩歩を操っているのか、それとも水無月詩歩が炎の巨人を操っているのか、だな。


ふうか:どうせ倒すから、どっちでもいいけどね!


一同:えー!?





 何とシステマチックな発言か!


 「どーせ私が殺すんだし?」みたいな?



 ヤベェ!

 超Cool!

 ヒロイン力が半端ないよ!


 「どーせ私(あーし)が殺(や)るんだし? おめーらは指でもくわえて見てろっつーの」みたいな?


 ふうかサン、マジでパネェっス!





 というわけで、舞台裏。

 クルミがサービスと入浴剤をふんだんに盛り込んだ入浴シーンを展開。

 影介が近所の公園で小さなお友達が遊んでいるところを見守るという日常シーンを展開。

 入浴剤と小さなお友達でリフレッシュ(?)して、それぞれ傷を癒やしたのであった。

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