ACT21-② 光影介 『……ところで”ふぁいあーたーたー”ってナニ?』

GM:では、あなたは早速、取材会場に向かったわけですが。


影介:はい。


GM:あなたは、取材許可を得た会場で、兄ちゃんの機材のメンテナンスをしているぞ。


銀造:(囁くように)盗聴器! 盗聴器!


影介:盗聴器、持ってないよー……。


GM:黄一郎-――兄ちゃんの方は、「やった! 生(ナマ)カサイだよ!」とか言って感動してます。


影介:あのさー。カサイさんってどんな感じの人? 見た目とか。雰囲気とか。


GM:はい、えーとね……。サングラスを掛けてます。無精ヒゲです。


影介:(アゴを触りつつ)この辺りに?


GM:そうそう。


クルミ:オシャレで無精ヒゲなの? それとも、汚い感じ?


GM:イメージ的には無頼系って感じ。


銀造:つまり、ファッション。


GM:そうすね。ですから、ちょっとワルぶってる、良い感じのオジサンっていう。歳の頃は40くらいの。


ふうか:そうなんだ。


GM:で、この場にはKJKの姿は見えません。


影介:あれ? そうなの?


GM:はい。兄ちゃんは「今回、お聞きしたいのは……」と聞き出すんですが、普段はノリノリで取材するはずなんですが、珍しく緊張しているようですね。上手く口が回ってない感じ?


影介:アレだ。ファンだからね。


GM:うん。


銀造:(小声で)アシストしろ、アシスト。


影介:わかった。


GM/黄一郎:「それで……あの……カサ……イさん。何で……辞めちゃったんですかね……歌。お、俺、大ファンだったんですよねー……」


ふうか:うわ、めっちゃ緊張してる!


クルミ/カサイ:「まだ辞めてねーわ!」


銀造:イヤイヤ、それだとさすがにシャレになんねー(笑)。


影介:ねえ、カサイさんは、歌、辞めたの? 辞めてないの?


GM:あなたは、残念ながら、カサイジョウジにあまり興味がなかったので……あれから調べてあったかな? もう1回、【知力】判定をしていいよ。


影介:行くよ……【知力】判定低いんだよねー。60%しかない。あ、〈機械修理〉とか〈特殊機械操作〉よりも高い。


クルミ:そう聞くと、すごく残念な感じになるね、〈機械修理〉とか。


影介:でも2回に1回以上は成功するから……(コロコロ)……あー良かった。成功だよー。


GM:了解。何と、あなたはあの後、ちゃんと調べてあった!


影介:そう。恥ずかしい思いをしないようにね。


GM/影介:「ググればいいんだよ、ググれば!」


銀造:目の前でググってんじゃない?


GM:うわ、イヤな感じ(笑)。


ふうか:ないわー。それはないわー。


ふうか/影介:「は!? 知ってますよ、知ってますよ」


銀造:そう言いつつ、乗っかってるじゃねーか(笑)。


GM:あなたが知る限り、カサイジョウジは歌手でしたが、喉を壊して、その後、音楽プロデュースに転職した、という感じですね。


影介:へぇー。音楽がホントに好きだったんだね。


GM:そう、自分で歌えなくなってもね。もともと歌っている時もアイドルみたいな感じじゃなくって、本格的な歌手で、玄人好みの歌を歌っていたんだよ。


影介:ふうん。


GM:だから、そんな感じのカサイが、たまたま事件にあって有名になった女子高生をプロデュースしてるもんだから、「炎上商法ですか? これがホントの!(ドヤァ)」とか言われて叩かれてますって話しだね。


ふうか:炎上商法かー。


GM:そうそう。無理してでも、世間から叩かれたりしてね。攻撃されても有名になればいい、ってヤツだね。


影介:そういう感じなの?


GM:いや、あなたが知る限り、そんな感じでもないような気がするけど、……実際のところ、どうなんだろうね?


影介:どうなんだろう。


GM:で、兄ちゃんの方は「で、どうなんですか? 何で歌辞めちゃったんですか、カサイさん!」とか聞くと、カサイの方は「あ、KJKのことを聞いて下さい」とかやってますね。


影介:じゃあ、兄ちゃんに、小声で「KJK! KJK!」って言う。


GM/黄一郎:「お、おう。ってダメだ……! (下っ腹を押さえながら)お、俺、ちょっとトイレ行ってくる……! エーちゃん、ちょっと聞いといて……!」


影介:え!?


クルミ:何、それ(笑)。


ふうか:取材中なのに(笑)。


GM/黄一郎:「こんな思い、初めて……! ハァハァ……!」


クルミ:そこまで……!?


ふうか:どんな思いだよ!?


銀造:意味わかんねー(笑)。


GM:……というわけで、兄ちゃんはトイレに行ってしまって、あなたは部屋に取り残されました。


影介:うーん……。〈交渉〉はあまり得意じゃないんだけどなー……。


GM:でも、あなたは調べなきゃいけないんだよね? KJKを。


影介:うん。


銀造:まあ、〈交渉〉ってのは、あくまでも技能だから、それまで頑張って話を進めていけば、それなりに話を聞き出せるかもしれないんじゃないかな?


影介:確かに。KJKの名前も知らないし、どこから発掘したのかも分かってないもんね。


クルミ:そうだね。


影介:(突然)「カサイさん!」


GM/カサイ:「お!?」


GM:あなたにいきなり話しかけられて、カサイさんは驚いたようだね。


影介:「世間では、『KJK』っていう名前で通ってますけど、そもそも本名は何ていう名前なんですか?」


GM:そんな話をしている時もトイレから「ダメぇ! お腹がぁぁぁ!」という兄ちゃんの声が少し聞こえた気もしますけど。


ふうか:どんだけお腹痛いんだよ!?


GM:「仕方ないな」という感じでカサイさんの方は答えて、「アシスタントかぁ……」と言った後、カサイさんは「新聞には載っていると思ったけど、『KJK』は、芸名でも何でもなく、本名で活動しているんだけど」と言うよ。


影介:「そうなんですか?」


GM/カサイ:「『水無月詩歩(みなづき・しほ)』。それが彼女の本名だよ」


影介:えーと、「水無月詩歩」か(メモメモ)。


ふうか:(噛みしめるように)「水無月詩歩」。……ヤツか……。ヤツが私を殺(や)ったのか……。


クルミ:ヤツ!?(笑)


銀造:まあ、正確には「殺って」はないけど。


影介:「その詩歩さんですけど。えっと、どうして目を付けたんですか?」


銀造:「目を付けた」とか……! もう少し、違う言い方出来ないのか!?(笑)


GM:すると、カサイジョウジは、サングラスの奥で少し笑って「目を付けた……。スゴい言い方をされたなぁ……」と言った後、手元のタブレット端末を操作して、動画サイトにアクセスする。


影介:動画サイト?


GM:うん。そうすると、カサイさんの小さなタブレット画面の中で小さな女の子が歌っているところが映し出されるよ。


影介:「歌ってみた」みたいなヤツ?


クルミ:無名の女の子がアップしたのを、カサイさんが見つけ出したってことなんだ。


GM:そうだね。で、カサイさんは「どう思う?」って聞いてくるけど。


影介:歌ってるところを見て……どんな感じなの?


GM:……気付くかどうか……〈観察〉を。


銀造:ヤベェ! クルミ以外のみんなが低い〈観察〉……。 しまったぁ! 〈観察〉をもっと上げておくべきだったんだぁ!


GM:基本ですよね、〈観察〉。


クルミ:ふふん。(←90%だから)


影介:うーん、48%かー。……(コロコロ)……あ、成功!


GM:あなたは、歌を聴きながら、動画投稿サイトのタイムラインに気が付くんだけど。


影介:えっと。どういうこと?


GM:「あ、これ、例の事件の前だよね」と。


影介:事件の前? おかしいじゃん。


GM:で、あなたが聴いた感じ、「上手いは上手いけど、そこまで上手くないよね」っていう感想を持つ。カサイジョウジの方は、影介の反応を見て、改めて「どう思う?」と聞いてきます。


影介:「あの、ちょっと質問してもいいですか?」


銀造/カサイ:「質問に質問で返すなぁぁぁ!」


GM:そんな言い方はしません。が、カサイさんは「おお?」という感じの反応をしますね。


影介:「これは、どんな状況で歌っている曲なんですか?」


GM/カサイ:「これは、動画投稿サイトに『歌ってみた』という感じで、『誰かが見てくれないかなー』といった具合に歌っているものだよ。で、これを聴いてどう思う?」


影介:自分たちで実際に聴きに行った時って、吸い込まれるような歌だったんだよね。


GM:そうだね。今、聴いたのとは全然違うね。


影介:「実際に聴きに行った時とは全然違いますね。やっぱりカサイさんはスゴイですね」


GM/カサイ:「やっぱり違いがわかるのか……。でも、“ナマ”だからじゃない」


GM:そういうと、カサイさんは端末をいじって、もう1回再生を始めると、タブレット端末から歌声が流れ出します。そこから流れてくる曲は、この前、ライブ会場で聴いた曲と同じ。その曲には、明らかに引きつけられるものがある。


影介:上手いってこと?


GM:そうですね。もの凄い上手い、というか、引きずり込まれるような歌ですね。


影介:「ブラックホールのような……」


GM/カサイ:「そう。まるでブラックホールだ。……彼女の、そう詩歩の歌は……初めて聴いたのはこっちの方だ。彼女はね……そう、大化けするよ」


影介:「大化け……」


銀造:え、こっからまだ化けるの? 今でもブラックホールみたいだって言うのに。ちょっとヤバくない? 今後の展開的に。


GM/黄一郎:(無駄に朗らかに)「あーーー! スッキリしたぁーーー!」


銀造:何だよ、オイ! このシーンは終わりっていうお知らせか?


クルミ:お兄ちゃんのトイレが終わったから(笑)。


銀造:「さぁ! 聞くことも聞いたし、帰るぞー!」みたいな。


GM/黄一郎:「あ! カサイさん、これ、『ファイアースターター』じゃないですか!?」


影介:曲のこと?


GM:あなたは知っている。カサイジョウジの名盤の一つだね。


ふうか:『カサイ』だからね。


GM:うん。そうだね。


ふうか:……ところで『ふぁいあーたーたー』ってナニ?


銀造:『たーたー』じゃなくて、『スターター』! つーか、『たーたー』って何だよ!? せっかくのカッコいい曲が、急にかわいくなっちゃったよ!


クルミ:かわいー(笑)。


GM:『ファイアースターター』、だね。「火を付けるもの」とか、そういう意味だね。


ふうか:なんだー。『ふぁいあーたーたー』じゃないんだー。かわいいのにー。


クルミ:でも、私も今の「火を付けるもの」っていう説明を聞いたら、「チャッカマン」のことしか頭に浮かばなくなっちゃったよー。


GM:“チャッカマン”詩歩、みたいな。


一同:(笑)。


GM:というわけで、影介はこの後、どうする?


影介:えーと、取材は終わったんだよね? それじゃあ、兄ちゃんに「いろいろ聞けたよ。ありがとう」って。


GM/黄一郎:「え、ええーーー!? エーちゃん、何か……」


銀造:あれ? そう言えば、兄ちゃんが取材するはずだったんだよね?


GM:そうだったんだけど。カサイさんの方も「アシスタントさん、良い仕事してくれましたよ? 録音もしてあるようだし。あんな感じで記事上げてくれれば……」


銀造:って録音してあんの?


影介:! も、もちろん録音してあるよ?


ふうか/影介:「あーーー! ボタン、押してなかったぁーーー!」


影介:そんなことやるわけないじゃん! ちゃんとやってあるよ、当然!


銀造:ホントかなー?


影介:そんな初歩的なミスなんてしないって。


GM:ですよねー(笑)。


銀造:その割には、録音してあるか怪しかったような気もする受け答えだったけど(笑)。


影介:まあ、ホラ、そんなのはロールするまでもないから。


銀造:「ロールするまでもない」……それは言わない方が良かったんじゃないの? GMから「じゃあロールして下さい」とか言われるから。


GM/黄一郎:「え!? あれ? 私の取材の方は……? もしかして……おしまい!?」


GM/カサイ:「でも、取材の方は、そっちのアシの方が全部やってくれましたから。まあ、そういう感じでウチの詩歩を……」


GM/黄一郎:「ちょっと待ってください。そうすると『ファイアースターター』をそのまま水無月さんに歌わせるということで……?」


GM/カサイ:「ああ、そう考えてもらって構いません」


GM:そこまで言うと、カサイさんは「さあ、帰った、帰った」という感じになります。……とここで〈観察〉を。


銀造:来たね、〈観察〉!


ふうか:やっぱり、〈観察〉が大事だったんだよ!?


クルミ:何かあるね、この〈観察〉。


影介:おヘビさんが、おヘビさんが……。


銀造:何だよ、おヘビさんって(笑)。


影介:……(コロコロ)……ギャー!


GM:はい、失敗ですね。そうするとあなたは、兄ちゃんがトイレから帰ってきた時に、その足元にまとわりつく、ぼんやりとした影のような、ヘビのような、このくらい(両手を30cmくらい広げる)の……。


影介:キターーー!


銀造:いや、〈観察〉失敗してるから、たいして来てない。


GM:で、あなたの手元にはデジカメがあるわけですが……。


影介:撮るよ! 押すよ!(人差し指で勢いよく)ポチッと!


銀造:どんな押し方だよ!? デジカメ持ってんだろ、いつも!?(笑)


クルミ:明らかに慣れてないねー(笑)。


GM:ドロンボー的な押し方!(笑)


ふうか:アハハハハハ!(笑)


GM:まあ、でも構えてなかったからね。というわけで、反射的にシャッターを押すことが出来たかどうか……【敏捷】……はないから、【身体】判定で。


影介:やった、高いところだ! 【身体】16だから……80%! ポチッとな。


クルミ:やっぱりそこは「ポチッとな」なんだ(笑)。


影介:うん。机の上に置いてあったからね。……(コロコロ)……79!? ギリギリ成功!


ふうか:ホントにギリギリ!


GM:では……パシャ! 「多分……撮れたはず……!」


GM/黄一郎:「エーちゃん! 何をしてるんだ、勝手に! カサイさん、すみません!」


GM:で、そのヘビのようなものは戸口から外に出て行ったよ。


影介:(小声で)怖いね。でも多分、アレだね。KJKの話をしていると出て来るんだよ。


クルミ:怖いぃぃぃ……!


GM:/黄一郎:「じゃあ、帰ろうか。録音した取材内容も後で聞かないといけないし。……それに歳かな。最近、腹の具合がどうも悪くて……」


銀造:何か、残念臭がプンプンとするなー。この兄貴。


GM:というわけで、あなた方は取材会場を後にします。


影介:じゃあ、兄ちゃんが帰ってから、撮った写真を見てみよう。


銀造:兄ちゃんのカメラじゃなかったっけ?


影介:あ、そうか! じゃあ、兄ちゃんが帰る前に見ないと。


GM:どうやって? どうやってデータを抜く?


影介:うーん……。


銀造:ひーかーり! ひーかーり! つーしん! つーしん!


ふうか:フレッツ光通信!?


クルミ:そこは普通にデジカメを借りた方がいいんじゃない?


影介:そうだね。じゃあ、「さっき、デジカメの調子がおかしい感じがしたから、ちょっと見ておくよ」って言うよ。


GM:すると兄ちゃんは「イヤ、中に入ってるのは大事な資料だし……」というわけで、〈交渉〉を。


影介:30%しかない……。「(朗らかに)大丈夫、さっき撮った1枚を見ればわかるから!」


GM:ムチャクチャ強引すぎるわ!


影介:……(キャラクターシートを見つつ)……うーん。


クルミ:お兄ちゃん相手に、能力使おうとしてるの?


GM:みんなが成功率30%上がる能力を持ってるけど、自分の能力と絡めて使うのがなかなか……。〈交渉〉に光の能力を使うのとかね。


影介:仕方ない……。ここは〈交渉〉してみて、ダメだったら、〈光波干渉(オプティカルインタフェア)〉を使ってデータを抜き取ろう。


GM:ヒドイよね、兄ちゃん相手に能力使うとか(笑)。


影介:来い来い来い来い! ……(コロコロ)……あぁーーー! ダメだぁぁぁーーー!


GM/黄一郎:「いや、今日のところはデータもあるし、これで帰るよ」


影介:「そっかー」って言って兄ちゃんが帰ろうと背中を向けた時に……。


銀造:ナイフでブッスリ。


ふうか:それ、私だから! やられたの。背中から「ぶすっ」って。痛かった。


銀造/影介:「だ、だから……お、俺の言うこと、聞いときゃ良かったんだよぉぉぉぉぉ!」


GM:どんだけ怖いヒトなんだよ!?


影介:うーん……。ここは《†ステルス》で。


GM:どんな能力だっけ?


影介:どのような場所でも自身が[隠密]状態になれる。で、[隠密]状態になってデータの入ったカードを抜き取る。


GM:おおー。いいでしょう。ではまず〈特性能力〉を使って下さい。


影介:まあ、100%だからね。じゃあ、コストの「疲労2点」を消費して。……(コロコロ)……成功。


GM:あっぶねー。94ってギリギリなんですけど。


影介:危ない危ない(汗)。


GM/黄一郎:「エーちゃーん! 帰るぞー! あれ? どこ行った?」


GM:というわけで、兄ちゃんには影介が見えてません。


影介:じゃあ、今のうちに……。


GM:了解。では、あなたはデジカメのメモリーカードを抜きました。


銀造:こんないいお兄さんを騙すようなことをして……(笑)。


影介:ホントに危なかったよー。94とか。失敗しそうだったー。で、どんな画像が入ってた!?


GM:いや、メモリーカードだから、画像は今ここじゃ確認できないよ。


影介:あ、そっか。じゃあ早く帰って画像を確認しないと。


GM:じゃあ、そんな感じでシーンを終了するよ。おしまい!


クルミ:次はー?


GM:PC②のクルミ。


クルミ:わかったー!

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