ACT33 エンディングフェイズ 風見鶏ふうか 『えーーー! じゃあ1年生からやり直しなの!?』

GM:では、次は?


銀造:できれば、ふうかと一緒にエンディングをやりたいんだが。


ふうか:うーん……。私は、自分のクラスがどうなったのか知りたいんだよー。それでもいいなら同じシーンにしよう。


銀造:おー、いいよ。


GM:了解。では、ふうかは自分のクラスの様子を確認したいと。しかし、あなたの生活は大きく変わっているよ。だって、「風見鶏ふうか」サンというヒトは「死体」ですから。


ふうか:なんでだよー。ひどいよー……。


GM:なんと! ご両親から連絡がない。


クルミ:あー……。


銀造:戸籍上いない人かよー。


ふうか:えー!? ってことは、新しい「風見鶏ふうか」として生きるしかないんだー。


銀造:めちゃくちゃ切替え早いな!


影介:早すぎるね。


ふうか:同じ名前の完全な別人で!


クルミ:それにしては変わった名前すぎると思うけど(笑)。


GM:もちろんあなたがガーデンに協力するのであれば、ガーデンはあなたに新しい身分を与えてくれるだろうけど。


銀造:あ! 「風見鶏」の「鶏」が簡単な「鳥」になるんだ!


ふうか:なんない!


GM:そんなつまらない身分は用意しない!


ふうか:じゃー、ガーデンに入る!


クルミ:決断早いねー。


ふうか:だってガーデンに入らないと犯罪者扱いされちゃうじゃん!


銀造:そうすると、新しい身分で名前が「ももか」とかにされて「桃山」と間違えられやすくなったりするのかー。


ふうか:ならないっての!


GM:では、あなたはこれからどうするの? どこかに転校するの? それともあの学校に通い続けるの?


ふうか:あの学校に通い続ける!


一同:!!


GM:スゴイなー!


クルミ:えーーー!? どうやってーーー!?


影介:え、いくらなんでもそれは……。


銀造:学校だけは転校しないと無理だよね。どうやっても。


クルミ:だって、死んだことになってるんでしょ?


銀造:確かに。顔がヤケドの痕とかで変わっているんならともかく。


ふうか:変わってないよ(笑)。


銀造:顔も変わってないんだからさー。


影介:そもそもお金とかは? 銀行口座の。


銀造:凍結されてるんじゃなかったっけ?


GM:はい、凍結されていますね。ほら、さっきも説明したけど、あなたのクレジットカードも使えなくなっているし。


銀造:そうそう。


GM:で、ガーデンから支給される図書券で生きてるし。


クルミ:えーーー!?(笑)


ふうか:えー……。じゃあ、ちゃんと転校しなきゃ……か(がっかり)。


GM:まあ。


ふうか:えーーー!? じゃあ1年生からやり直し!?(怒)


一同:(笑)。


銀造:意味わかんないよ!!


クルミ:転校なんだから、学年は変わらないでしょ?(笑)


影介:それだと再入学だね。


ふうか:えー? じゃあ、高校2年生のままでいいの?


GM:まあ、1年生からやり直してもいいけど(笑)。


ふうか:え? 何で転校できるの!?


クルミ:ガーデンが新しい身分を用意してくれるからでしょ?


ふうか:そっかー!


クルミ:むしろ、難しい高校なんて転校して入った方が楽だよ。


GM:まあ、そういう感じで転校はできるよ。ガーデンが用意したニセの身分を……。


ふうか:ニセじゃないもーーーん!(怒)


銀造:え? ちょっとどういうこと? 何で納得してないの?


ふうか:だって、中学とかも知らない学校に通っていたことになるんでしょ?


GM:だね。ガーデンが作った経歴にある中学。


ふうか:ヤダ。かなしーよーーー!


銀造:早く進めろや!(笑)


GM:しかし、そういう感じで、あなたは新しい人生を歩み始め……る? ……た?


ふうか:(勢いよく)……た!!


GM:そして、そんな生活にも慣れてきたころ……ん? そう言えば、「経歴」はなんだったけ?


ふうか:『擁護』だよー。


GM:では、あなたがガーデンで働いているのは……。


ふうか:そうしないと生きていけないから。もう親からも見放されたし。


GM:そう。そして、あなたを知る者ももういない。……こうやってガーデンは鉄砲玉を用意しているんだ(笑)。


クルミ:(笑)。


GM:では、あなたはガーデンとして新しい人生を始めたよ。というエンディングシーンだね。


ふうか:うん!


銀造:あれ? ちょっと待って!? 俺と一緒にやるんじゃなかったの!? エンディングシーン。


ふうか:あ、忘れてた!(笑)


銀造:キサマ……。絶対ワザとだろ……。


ふうか:いいじゃん、1人でやれば。


クルミ:最後だよ? トリだよ。 よかったじゃん!


銀造:そうかなー……。





 相棒(バディ)を組んでいた同士、同じシーンでちょっと小粋なセリフを吐きつつも余韻の残るエンディング。


 そんなシーンをするつもりが、まさかの事態に。


 「最後は主人公(ふうか)で締め」などと考えていた自分の愚かさを呪った一場面である。

 まさか、「転校」と「再入学」の区別もつかないヤツが主人公だったとは……。


 風見鶏ふうかには再入学を強く勧めるべきである、と第二臨教特命教師(自称)白井銀造は考えるのであった。

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